ドコモ、携帯電話料金4割値下げを検討~通信コストと端末コストを分離する「分離プラン」導入へ~
NTTドコモが携帯サービスの大幅値引きを発表しました。
2019年春から導入される新プランに変更すると、概ね現状よりも2~4割携帯電話料金が安くなるとのことです。
菅官房長官に言われて携帯電話料金の値下げをするNTTドコモ
これは、さきに菅官房長官が「日本の携帯電話料金は高すぎる」と発言したことを受けたものと思われます。
実際に携帯電話料金を同じ条件で比較することは困難ですが、日本の携帯電話料金は総じて先進国全体よりもやや高め、新興国よりも大幅に高いと言われています。(ただし、繋がりやすさなどは日本の方が優れている、と各社は反論しています。)
「政府から安く電波帯域を借りて商売しているのに、営業利益率10%以上も稼ぐのはおかしい」
「ほかの商売やっている連中はそんなに稼げていない。トヨタだって10%に行かないのに、携帯電話会社はボリすぎだ」
との批判もあり、なかなか反論が難しい状態になっています。(そもそも他の事業者の利益率が低すぎるだけ、という気もしますが)
NTTドコモの携帯電話引き下げでKDDI、ソフトバンクも株価下落
とりあえず、NTTドコモは政府の言いなりになって値下げを発表してしまいました。
これにより、携帯電話料金の引き下げ競争が激化するとの思惑から、ドコモだけでなくKDDI、ソフトバンクなども大幅安となっています。
2018年11月1日11時10分現在、KDDI15.06%安、NTTドコモ11.37%安、ソフトバンク7.40%安となっています。
携帯電話通信事業の占める比率に応じて、下落率に差が出てきています。
NTTドコモの携帯電話料金引き下げでソフトバンクの資本調達(ソフトバンクモバイル上場)に影響か
NTTドコモによる携帯電話料金引き下げは、ソフトバンクによる通信子会社の上場に水を差す可能性があります。
ソフトバンクは財務が非常に悪化しており、債務の返済、新規投資などのためキャッシュを必要としています。
このため、通信事業子会社ソフトバンクモバイルを上場させ、資金調達しようとしています。
この方針が影響を受ける可能性があります。
NTTドコモの携帯電話料金引き下げは分離式か?
NTTドコモは携帯電話料金の引き下げを「分離式」で行う方針のようです。
端末料金と通信料金を混ぜこぜにして、高い通信料金から端末の分割コストを差し引くような複雑なプランで提供するのではなく、もっと明瞭な、わかりやすいプランに変更することでコスト削減を目指すということです。
実際にどれだけのコスト削減効果があるかはわかりませんが、これはたぶん以下の問題を引き起こします。
NTTドコモの通信料金、端末料金分離式料金の導入で、端末メーカーは高級端末を売りにくくなる
NTTドコモが導入を検討しているとされる端末料金と通信料金の分離型プランでは、ユーザーは端末の買い替え時にかなり大きな資金負担感を感じることになるはずです。
果たして、10万円もするような端末が今のように売れるかは激しく疑問です。
実際、2007年に同様の措置が導入された際、大幅に携帯電話端末が売れなくなる事態になりました。
格安スマホ+格安端末の流れがその後に出てきますが、今回もそういった大きな流れの変化が起きる可能性があります。
NTTドコモの通信料金引き下げで、とくにiPhoneに要注意か
NTTドコモの通信料金引き下げは、上記のような問題を引き起こしますが、とくにiPhoneを販売するAppleには影響が大きいのではないかと思われます。
Appleにとって日本市場は全体の売り上げの7~8%を占める市場です。
日本ではiPhoneのシェア率が70%弱と言われています。30%強がandroidです。
これは世界のiPhoneシェア率が20%弱、Androidシェア率が70%強、その他が8~9%程度と言われているのとは段違いです。
アップルにとって日本は金城湯池であり、これまで大きなシェアから大きな収益を上げてきました。
しかしいかんせんAppleのiPhoneは高いです。
どう考えても同じ機能でHuaweiなどの端末より二倍は高いです。
果たして今後もAppleが今までのようなシェアを日本市場で保っていけるか、難しいのではないか、と感じます。
今後は、格安端末や格安通信へ移行する人々が増えるようにおもいます。
ある意味これは、消費増税に向けた軽減策のひとつでもあるのでしょう。
菅官房長官の手腕は、さすがだなぁと思います。
以上です。