「次の金融危機」引鉄を引くのは邦銀ではなくて金融庁かもという話~マネックス証券大槻奈那執行役員コラムを読んで
マネックス証券の大槻奈那執行役員が非常に興味深い記事を書いています。
邦銀が「次の金融危機」の引き金を引くのか 投資家の暴走で世界でゾンビ企業が急増 東洋経済
こちら、最近の問題意識です。お忙しいところ恐縮ですが、ご覧いただければ光栄です!https://t.co/Ni3KODWlUs
— 大槻奈那 (@otsuki7) November 11, 2018
非常に分かりやすい記事ですので出来たらリンク先を読んでいただきたいのですが、簡単に後半部分を纏めると(前半部分はリンク先を読んでね)
- 異次元緩和で国内金融市場はジャブジャブ
- 国内で預貸金利ザヤをとれなくなった大手都銀(メガバンク)が積極的に海外融資を実行
- メガバンクはそれら債権を国内地域金融機関に売却
- 銀行の国際与信総額をみると(twitter図)、日本の銀行が積極的に海外への与信を積み増した姿がみえる。
- 日本の金融機関の海外融資額は世界最大450兆円、世界シェア15%
この記事でも書いてあるとおり、2000年代の邦銀は海外に打って出る体力もなく、不良債権処理に追われた結果、サブプライムローンバブル崩壊の影響をあまり受けずに済みました。
怪我の功名みたいなものです。
それで、2010年代になると、欧米の企業が逆にサブプライムローンバブル破裂の影響でヒイヒィいってるなか、日本の銀行はどんどん海外に出ていきました。
三菱UFJなどが代表的ですが、東南アジアの銀行を買収したりなどして海外与信総額を膨らましていきました。
で、きづいたら上記のtwitterの表です。
日本の銀行が世界の与信総額の15%を占めるまでになっており、何かのきっかけで引き締めに走ったら、世界中が混乱するんじゃないか?というわけです。
この記事の題名にもあるとおり
「邦銀が次の金融危機の引き金を引く」
可能性はもちろんあります。
でも実際のところ、都銀各行の行動っていうのは、じつに調和を重んじる文化です。
抜け駆けして金融市場を混乱させようという奴は、そういないでしょう。
それよりも個人的には、
金融庁がまたなにかやらかすんじゃないか・・・
という気がしてなりません。
つまり、なんらかの規制をかけたり、地銀が都銀から買い取った海外融資債権の質を金融庁が厳密に検査したり、そういうったKYなことをやり始めるリスクです。
もちろん、リスクはそこにありますから、検査するのは正しい。
しかし、かさぶたを無理に剥がそうとする行為が、余計に炎症を酷くする可能性もあるわけです。
炎症を起こした後に塗るための軟膏をちゃんと用意してあるならいいですが、そうでなければ酷いことになるでしょう。
というわけで、自分としてはこのコラムにあるような
「銀行が引き金を引く」という状況よりも「金融庁が引き金を引く」可能性
のほうに賭けてみたいと思います。
もしも引鉄がひかれることになるのなら、その方が可能性は高いと思います。
以上です。