中米諸国からの移民キャラバン隊の一部が米国境に到着~背景にマラ・サルバトルチャ(MS-18)とLA18 (Mara 18)の抗争激化
中米諸国(グアテマラ、ニカラグア、ホンジュラス、エルサルバドル)からの移民集団、通称キャラバン隊の一部がメキシコと米国の国境に到達したとのことです。
Dozens From Migrant Caravan Line Up at Border, Seeking Asylum …
この移民キャラバン隊ですが、総勢5000人とも6500人とも言われていますが、今のところはまだ2000人程度の到着に留まる模様です。
彼らははるばる中米から米国境まで4000キロもの道のりを歩いて移動してきました。
背景には深刻な食糧難と、広域ギャング組織同士の抗争に伴う治安悪化が影響しているといわれています。
今回はこの移民キャラバン隊と、その発生原因と言われている広域ギャング組織「マラ・サルバトルチャ(MS-18)」および「LA18/Mara18」についてみていきたいと思います。
移民キャラバン隊の発生と「マラ・サルバトルチャ(MS-18)」および「LA18/Mara18」の抗争
移民キャラバン隊が最初に発生したのは中米ホンジュラスだと言われています。
10月中ごろ、ソーシャルメディアを通じて集まった集団がアメリカに徒歩で移動開始。
当初は100人程度の小さな集団だったそうですが、その後、どんどんと人数を膨らませて最終的には6000人を超える規模にまでなったそうです。
「マラ・サルバトルチャ(MS-18)」と「LA18/Mara18」の抗争で治安悪化→移民キャラバン発生
この移民キャラバンの発生には、中米諸国の治安悪化が原因として挙げられています。
中米では昔から治安は悪かったのですが、近年になっても抗争は継続中。
殺人発生率はエルサルバドルが10万人あたり82.84人と世界一位、ホンジュラスが56.52%で世界二位となっており、このあたりの治安が非常に悪いことがよくわかると思います。
この背景には、「マラ・サルバトルチャ(MS-18)」と「LA18/Mara18」という二つのギャング集団の存在が挙げられています。
「マラ・サルバトルチャ(MS-18)」と「LA18/Mara18」の発生
「マラ・サルバトルチャ(MS-18)」と「LA18/Mara18」どちらの集団も、戦火や独裁体制による強圧的な政治を逃れて米国に移民した中米出身者を母体としているとのことです。
彼らはあまり素行がよろしくなく、手を焼いたアメリカ政府が80年代後半頃から出身国に送還開始。
しかし彼らは特定の技能もなければ、あったとしてもそれを生かす職がない。
しかたなく麻薬生産などをしながら、米国に残る仲間と連絡を取り合い密輸などでカネを稼いでいたといわれています。
「マラ・サルバトルチャ(MS-18)」と「LA18/Mara18」による抗争
この「マラ・サルバトルチャ(MS-18)」と「LA18/Mara18」は、麻薬の運搬、誘拐、売春、殺人など、ありとあらゆる凶悪犯罪を集団で行い、お互いのシマを巡って抗争事件を繰り返しはじめます。
これにより、まったく無関係な市民の死傷者も急増。
今回の移民キャラバンの発生には、こうした混乱が影響しているといわれています。
「マラ・サルバトルチャ(MS-18)」と「LA18/Mara18」の構成員数
「マラ・サルバトルチャ(MS-18)」と「LA18/Mara18」、どちらの集団も米国内および中米各国に3万~4万人の構成員がいるとされます。
主にメキシコ国境と近い南部諸州と、中米メキシコ、コスタリカ、ホンジュラス、エルサルバドル、ベリーズ、ニカラグアなどに多いと言われてきました。
しかし、近年これら組織は中米からカリブ諸国にまで進出。
また、米国内でも北部や西部の比較的富裕な地域にまで進出しているとされ、規模がわかりにくくなっているそうです。
「マラ・サルバトルチャ(MS-18)」と「LA18/Mara18」の存在からみえる理想と限界
ぶっちゃけた話、こうした抗争事件というのは、なんら古い話ではないと思います。
洋の東西を問わず、そして太古の昔から、このような集団による暴力は行われてきました。
そして、難民化した人々は、落人としてどこかに移り住んできました。
現代は国境管理と施政権の厳格化、それを可能にする防衛技術の発達により、この移住という行動がしにくくなっていることが、いろいろと厄介です。
もともと「マラ・サルバトルチャ(MS-18)」も「LA18/Mara18」も、南米出身者がアメリカ国内で悪さして、本国に送り返されて成立したギャング集団です。
トランプ大統領がこれら移民集団を「犯罪者集団」と罵ることには一定の理屈があります。
たしかに過去にそうした経緯がありますし、もし今回、移民を受け入れたなら、また「マラ・サルバトルチャ(MS-18)」や「LA18/Mara18」のようなギャング集団になる可能性だってある、、、そう考えるのは当然でしょう。
とりあえず、移民や難民の受け入れというのはこのように難しい問題を孕んでいます。
日本ではいま、外国人労働者受け入れなどの議論が盛り上がっていますが、移民先進国であるアメリカの実情から学ぶべきことはたくさんあると思われます。
安易に考えていると、あとの世代が大変な思いをします。
よくよく考えた方がいいです。
以上。