日産自動車の有価証券報告書不実記載は会社ぐるみ。西川廣人など他の取締役も同罪では?という話
報道の通り、日産自動車のカルロス・ゴーン会長が金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で逮捕されました。
この件に関し、自分はずっとモヤモヤしたものを感じています。
そのうちのひとつが
会社の資金で住居を用意してもらってたのに報酬としてちゃんと有報に記載してなかった
というもの。
これは個人的には「は?」って思いました。
一般的にこれらは上場企業でも行われていると思います。
会社が土地、建物を用意して、それを経営幹部に使用貸借契約で利用させるというもので、それは確かに会社側から経営幹部への便宜ではありますし、税務上の報酬と扱われることもあるでしょうが、果たして有報に記載すべき報酬という性質なのかというと、甚だ疑問だと思っていました。
「なんだか変なことを言っているなぁ?検察は無理筋なことを主張しているんじゃないのかな?」
と感じていました。
そう思っていたら、翌日の日経新聞で詳報が流れていました。
「SAR(ストックアプリシエーションライト/株価連動型インセンティブ受領権 )をちゃんと有報に書いてなかったことが、有価証券報告書の虚偽記載にあたる」
ということらしいです。
これなら納得です。
確かにちゃんと立件できるでしょう。
でもちょっと待ってください。
それ、べつにカルロス・ゴーンとグレッグ・ケリーだけでできることじゃありませんよね?
有価証券報告書を二人だけで作るはずがありません。
有価証券報告書は会社が作るのであって、ゴーンとケリーだけで作るものではありません。
今回の不正は会社の関係者全員、つまり
西川廣人など他の日産自動車取締役連中も知っていたはずでは?
だと自分は思います。
もちろん、ゴーンやケリーもその一員ですから、他の取締役と同様に罪が重いでしょう。
でも虚偽記載という共同実行に参加したことにおいては、ゴーンもケリーも西川廣人など他の取締役と同罪のはずではないか?
また、監査役もこれを知っていたはずです。
なぜそれらの人物が刑事罰を受けないのか?
ここで検察は、司法取引をしたのだと主張しています。
ゴーン、ケリーの不正行為を通報して知らせてくれたから、司法取引をして罪に問わない、ということのようです。
今回、検察は西川廣人など他の取締役を逮捕していないのですから、この司法取引合意というのも、これら西川廣人などの取締役連中のことを指しているのだと思います。
ということは、つまり、
西川廣人など他の取締役が全員そろって罪を認めたから、罪を認めていない(認める機会を与えられていない)ゴーンとケリーだけが罪に問われ、共同正犯であるはずの他の取締役は罪に問われない・・・
という話になってしまいますよね?
こんな無茶苦茶な話ありますかね?
っていうか、日本で導入された司法取引って、捜査・公判協力型協議・合意制度であって、今回のような司法取引は許されないことになっていたはずです。
日本版司法取引の導入で企業犯罪の摘発はどう変わるか 西村あさひ法律事務所 弁護士 平尾覚
こんな風に司法取引を使っていいんでしょうか?
今回の件、どうゆう理由をつけてみても、非常にモヤモヤします。
結局のところ
ルノーと日産自動車の合併を阻止したい西川廣人など他の取締役たちが、自分の保身のためにゴーンとケリーを放逐しただけ
なんじゃないか?
そんなふうにみえてしまいます。
もちろん、多大な便宜をゴーンが受けてきたのは確かです。
正直ここ数年のゴーンの経営パフォーマンスは落ちており、報酬に見合ったものではないと思います。
そして、虚偽記載の罪はもちろんあるでしょう。
しかし、それは西川廣人など他の取締役とて同じことのはずでは?
いま日産自動車に必要なのは徹底的な企業統治と法令順守の意識を持つことであり、はっきりいって、今の取締役連中はみんなその能力がないと思います。
同じ穴の狢が、邪魔者を穴から追い出しただけに見えます。
とりあえず、再度しっかりと資本関係を整理して、企業統治を再生させた方が良いと思います。
【私見】会長職とCEO職を同一視するのはやめるべき~日産の問題は、親子上場の問題だ
今の問題の根底には、親子上場によるガバナンス欠如が影響しているのは間違いありません。
日産自動車は解体して、ルノーと統合した方が良いと思います。
以上。