【2815】アリアケジャパンの業績と株価~ジョエル・ロブションとも提携する天然調味料大手
今回は畜肉エキス、天然調味料の大手アリアケジャパンの業績と株価をみていきます。
まずはアリアケジャパンの会社説明から始めます。
アリアケジャパンとは?
アリアケジャパンは飲食業、食品製造メーカーが使用する業務用調味料を製造している企業です。
アリアケジャパンの事業
アリアケジャパンの事業は調味料の製造がほぼ100%となっています。
とくにポーク、チキンなどを原料とした畜肉系天然調味料に強みを持っており、この分野で国内シェアトップとなっています。
ラーメン屋ご用達、アリアケジャパンの有明鳳凰と行列自慢
ラーメン屋のスープも実はアリアケジャパンの製品シェアが多くなっており(なかには独自にダシをとっているところもありますが)、ラーメンやうどんなどの日本食が海外に展開するなかで、アリアケジャパンも幅広く事業拡大を進めています。
鍋料理にも利用可能なアリアケジャパンの豚骨ラーメンスープ
↓↓↓一部で人気となっている業務用商品です。↓↓↓
アリアケジャパンとロブションが提携した『インフュージョン・ブイヨン』が「レ・グレ・ドール賞」を受賞を
アリアケジャパンは故ジョエル・ロブション氏とも提携
ロブション系列の庶民向けレストラン、ラトリエ・ドゥ・ジョエル・ロブションで使用しているのもアリアケジャパンの作った無添加、無化学調味料ブイヨン。
その提携から生まれた商品は『インフュージョン・ブイヨン』として市販もされており、家庭で本格的な味が楽しめると好評。
フランスの量販店、スーパー、企業家が構成するFEEFから「レ・グレ・ドール賞」を受賞したそうです。
【パリ直輸入】ARIAKE × Joel Robuchonアリアケ×ジョエル・ロブションJus de veau roti 子牛のグレービーソース 100g[フランス・食品・調味料]
アリアケジャパンの強み
アリアケジャパンの事業の強みは、圧倒的な量を購入する購買力と、巨大生産工場による衛生面と効率性の高さにあります。
たとえばアリアケジャパン九州工場は17000坪もの広さがあり、抽出から混合、包装から管理まで一貫して生産を行うことで、非常に効率のいい生産を実現しているとされています。
アリアケジャパンは非上場資産管理会社ジャパンフードビジネスと公益財団法人岡田甲子男記念奨学財団が大株主
アリアケジャパンの大株主は、ジャパンフードビジネスという資産管理目的会社と、公益財団法人岡田甲子男記念奨学財団となっています。
なお、ジャパンフードビジネスの株式は岡田甲子男氏(おかだきねお)が100%を保有しているとのことですので、実質的に岡田甲子男氏がアリアケジャパンの大株主ということになります。
両社合わせて40%弱の株式を保有しており、他の信託口などに紛れ込んでいる創業者系の株式を含めれば、アリアケジャパンの株式のほとんどは創業者系が抑えているとみてよさそうです。
こういった会社は企業統治、ガバナンスがぐだぐだになることがあり、そういった意味で注意が必要です。
また、岡田甲子男氏(おかだきねお)が体調を崩したりすると株式が市場で売却される可能性について思惑などが出てきますので、そういった意味でもリスクがあることは考えておいた方がいいでしょう。
アリアケジャパン創業者・岡田甲子男(おかだきねお)氏
岡田甲子男(おかだきねお)氏は昭和8年生まれ、御年85歳になります。
佐世保市生まれ、戦時中は長崎の爆心地から1.8キロの自宅で被爆したとのことです。
原爆症で体調を崩しながらも根性でこれを克服した立志伝中の人物です。
どんなスープをすすっても、何がどれだけ使われてているかを鑑定できる「べろメーター」を持っているとされ、どんなスープでも開発する開発者として、食品業界では非常に有名な人物だそうです。(現在は一線を退いています。)
アリアケジャパンの業績
ここからはアリアケジャパンの業績を会社資料などをもとに見ていきます。
まずは2017年通期までの決算は以下のようになっています。
大きな増益ではありませんが、地道にこつこつと増加していっていることがわかります。
かなりディフェンシブ性の高い事業展開をしていることがうかがえます。
(このから下は2018年12月17日に書きました)
アリアケジャパンの2018年Q2決算の業績
アリアケジャパンの2018年Q2決算の業績は売上、営業利益ともに緩やかに増加しています。
セグメント別にも見てみましょう。
アリアケジャパンの2018年Q2セグメント別業績
セグメント別にみると、米国事業が競争激化で売上、利益ともに減らしていることがわかります。
なお、アリアケジャパンの北米事業は2018年12月14日にKerry Holdings Co.,に譲渡されることが取締役会で決定されました。
譲渡価格は200億円を予定しているとのこと。
これにより特別利益の発生があるとのことです。
今後は、この資金をどのように使っていくのかが同社の経営の方向性を決定すると思われます。
個人的には、アリアケジャパンはアルゼンチンやブラジルなど、南アメリカへ投資を積極化するのではないか、と見ています。
アリアケジャパンの株価 2018年12月17日
なお、この北米事業売却の報道をきっかけに、アリアケジャパンの株価は急落しています。
ただ個人的には、今回の事業売却はそう悪い話ではないと思います。
南米事業に向けた方が、原材料も安いですし、今後需要も伸びていきます。
北米と違って競争環境も悪くありません。
ディールとしては悪くないと思う・・・けれど売られている。
これは、もしかしたら転機が近いかもしれない、という気がします。
つまり、アリアケジャパンのようなディフェンシブ性の高い銘柄を売って投資資金を確保する動きが出始めているのではないかということ。
とりあえず、今日はシクリカルな銘柄に高いものが目立ちます。
一部で資金のシフトが起きている可能性には注意が必要です。
以上、あくまでも個人的見解であり、特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。投資にあたっては自己責任で行っていただきますようお願いいたします。