ロイターでふと読んだコラムが、個人的にめっちゃ同感だったので紹介します。
悲観論の蔓延の背景に、「投資家の同質化」による「予測の保守化」があるのではないかという指摘です。
このコラムを執筆したのは嶋津洋樹 MCPチーフストラテジスト。
内容は以下のようなものです。(リンクから飛んで全部およみください)
コラム:止まらない株安、裏にある投資家の「同質化」=嶋津洋樹氏
(前略)
市場参加者が同じ見通しを持つことはコンセンサスと言われ、それほど珍しい事象ではない。それでも筆者は、その形成速度、金融市場に広がる浸透スピードが日に日に増していると感じている。市場参加者の横並び意識が強まっていること、さらにはリスクに対する過剰なまでの回避姿勢が関係しているのではないだろうか。
(中略)
ポジティブな見通しは当たって当然と思われがちなのに対し、ネガティブな見通しは当たらなくても、警鐘を鳴らしたと評価されることさえある。
結果として、見通しは常に保守的で慎重なものにならざるを得なくなる。そうした流れはリーマン・ショック以降、さらに強まったと感じている。
(後略)
まったく同感です。
上にも下にもリスクを語りつくさなければならないのはストラテジストとして当然でしょうが、しかし見通しを語る時の心理的負担の違いから、得てして下方のリスクを強調しがちな面は大いにあると思います。(これは自分のような末席のブログ書きでも同様ですから、本職の方の心労たるや、かなりのものだと察します。)
下方リスクを語ると利口に思われますし、上方リスクを語ると単なるお祭り野郎もしくは突撃ラッパ吹きだと思われます。
利口に思われるためにネガティブになりやすい、というのはあると思います。
そしてもうひとつ、個人的にここで書かれている『見通しの均質化と浸透度の速さ』の背景に、情報化の影響・・・とりわけSNSなどの影響があるような気がします。
金融のインフルエンサーが語ったことが爆発的に広がって、そのインフルエンサーと同じような見通しを語る人が増えている・・・ように感じます。
自分で考えるのではなく、誰かの意見を語っているのに、本人は自分で考えたように語る・・・そして自己納得して満足している、、、そんな感じの、『意識の他者への依存』が進む状況を今のマーケットに感じます。
こうした『意識の他者への依存』が急速に進むのは、今に始まった話ではなく、昔からテレビの大衆向け報道番組などでは起きてきたことですが、近年それがマーケットにも降りてきている・・・ように思います。
(芸能ワイドショー⇒サンデープロジェクトやテレビタックルなどの政治ワイドショー⇒SNSなどの発達を受けた金融ワイドショー化)
自分は、そうした大衆化したマーケット自体の良し悪しを言いたいわけではありません。
自分は、「世の中はそういった方向に向かっている、その状況下ではこれまでとは全く別の種類の歪みが発生する」と言いたいのです。
これは、リスクでもありチャンスでもあります。
インフルエンサーが明らかにズレていれば、間違いなくチャンスはそこに転がっています。
たとえば、近年であれば某バイオ株なんていい例です。
〇〇さん銘柄みたいに煽られていましたが、いまでは株価1/8ですよ。
そういった「〇〇さん銘柄」みたいなのは、徹底的に前提を疑ってみた方がいいです。間違いなく。
こうした歪みにかけるのは、今後の投資手法として面白いかもしれません。
以上です。