FATF(金融活動作業部会/ファトフ)による第4次対日審査で邦銀のマネーロンダリング(資金洗浄)が暴かれる?

FATF(金融活動作業部会/ファトフ)による第4次対日審査で邦銀のマネーロンダリングが暴かれる?

FATF(金融活動作業部会/ファトフ)による第4次対日マネーロンダリング審査がいよいよ来年行われます。これによって邦銀のマネーロンダリング関与が明るみになるのでは?と一部から指摘が出ています。

2019年秋、テロや麻薬などのマネーロンダリング(資金洗浄)に関してどれだけ対策が進んでいるか、問題が発生していないかを調査するための国際機関、FATF(金融活動作業部会/ファトフ)の第4次対日審査が始まります。

これにともない、邦銀のマネロン対策の不備が指摘されるのではないか、また実際にマネロンが発生していることを指摘されるのではないか、との懸念が一部の有識者より提起されています。

今回はこの、FATFとマネロンの問題についてみていきたいと思います。

 

 

FATF(ファトフ/金融活動作業部会)とは?

FATF(ファトフ/金融活動作業部会)とは、正式名を

「マネーロンダリングに関する金融作業部会(Financial Action Task Force on Money Laudering)」

といい、マネーロンダリング(資金洗浄)対策を行うために国際的に協力するために設立された政府間会合のことです。

FATF、GAFIの略称で呼ばれており、日本語では金融活動作業部会と略されます。

 

 

FATF(ファトフ/金融活動作業部会)によるマネーロンダリング(資金洗浄)などを調査するための第4次対日審査が2019年秋に実施予定

2019年秋、FATF(ファトフ/金融活動作業部会)による第4次対日マネーロンダリング審査が始まります。

2008年の第3次相互審査においては、日本は数多くのマネロンへの対処不足を指摘されました。

これを受けて日本政府も手を打ってきましたが、2014年のFATF会合でも同様の問題点を指摘されており、今回の相互審査でも問題点が指摘される可能性は十分にあるとのことです。

 

 

FATF(ファトフ/金融活動作業部会)が指摘する日本のマネーロンダリング対処の問題点

FATF(ファトフ/金融活動作業部会)は邦銀に対して、以下の点でマネーロンダリングの問題を指摘しているとのことです。

  • 取引の相手がたが誰なのか、実在するのか確認が風十分
  • テロ資金供与の犯罪化が不十分
  • マネーロンダリングの予防措置や顧客管理が杜撰
  • テロ資金の資金凍結が不十分
  • パレルモ条約の未締結

邦銀ももちろん積極的にこれらに対応しようとしていますが、様々な問題から対処しきれていないのではないか、というふうに一部から言われています。(注1)

注1・・・ロイターコラム:金融株の「ブラックスワン」、マネロン200兆円の闇=大槻奈那 マネックス証券 執行役員チーフ・アナリスト

 

 

 

FATF(ファトフ/金融活動作業部会)が設立された30年前に比べ、世界のマネーロンダリング(資金洗浄)規模は20倍に?

大槻奈那チーフアナリストの説明によると、30年前にFATF(ファトフ/金融活動作業部会)が活動を開始した当時は、マネーロンダリングの規模は850億ドルと推定。

その後、過去最大のマネロン事件として記録されているのは、総額200億ドルが洗浄された英国国際商業信用銀行BCCIであったとのこと。

しかし近年、パナマ文書流出で明るみになったデンマークののダンスケ銀行によるエストニア支店を利用した資金洗浄疑惑や

デンマーク最大ダンスケ銀行による巨額マネーロンダリング事件~エストニアの電子国家化に影響は?

ドイツ銀行による組織的な資金洗浄疑惑などが浮上

ドイツ銀行にまた新たな資金洗浄(マネーロンダリング)疑惑~今回はパナマ文書関連~

また、ゴールドマンサックスが関与した1MDB(ワン・マレーシア・デベロップメント・ブルハド)の資金洗浄疑惑が騒がれるなど、

ここもと資金洗浄、マネーロンダリング規模がかなり巨大化してきていることが問題になっています。

これら、既にわかっている分だけでも世界のマネーロンダリング(資金洗浄)の規模は200兆円

30年前の20倍に伸びています。

そして、これらマネーロンダリングに関与した銀行がどうなったかというと、ことごとく株価が暴落しているわけです。

制裁金などは課されますし、アメリカなどへのアクセスが制限されやすくなりますから、事業にも影響してきます。

これがリスクになるのではないかと、一部で指摘されています。

 

FATF(ファトフ/金融活動作業部会)による審査で邦銀のマネーロンダリング状況が暴露されたら?

今回2019年秋のFATF(ファトフ/金融活動作業部会)審査でもし邦銀のマネーロンダリングが暴露されたらどうなるでしょうか。

まず内部管理体制の強化のためにかなりのコストがかかるでしょう。

そして、アメリカへの送金を中心に、なんらかの制限がかかる可能性があります。

制裁金などが課される可能性すらありえます。

 

とりあえず、このFATF(ファトフ/金融活動作業部会)の問題は日本の銀行株、地銀株にとって大きな意味を持つはずです。

これらへの投資を行っている人は、FATF(ファトフ/金融活動作業部会)のリスクをしっかり把握した方がいいように思います。

以上です。