【3092】スタートトゥデイ(ZOZO)の業績と株価
今回は、アパレルの通販サイトZOZOTOWN(ゾゾタウン)を運営するスタートトゥデイ(ZOZO)の業績と株価をみていきます。
まずはスタートトゥデイ(ZOZO)の会社説明から始めます。
(なお、以下の説明では会社側の決算説明資料などを利用していきます。)
スタートトゥデイ(ZOZO)とは?
スタートトゥデイ(ZOZO)はアパレルのオンラインショッピングサイトZOZOTOWN(ゾゾタウン)を運営する企業です。
スタートトゥデイ(ZOZO)の沿革
1995年 前澤友作が洋楽のCDやレコードの通信販売業として創業
2000年 アパレルのオンラインショッピングサイト EPROZE 開設
2004年 ZOZOTOWN開設
2006年 CD販売部門を分社化し撤退
2007年 東証マザーズに上場
2011年 中国タオバオや韓国などに出店
2012年 東証一部上場、配送料無料化実施
2013年 WEARを発表
2016年 ツケ払い(月賦払い)サービス開始
2018年 ZOZOスーツ配布開始、社名をスタートトゥデイからZOZOに変更
スタートトゥデイ(ZOZO)のツケ払いシステム
スタートトゥデイ(ZOZO)のツケ払いシステムはGMOペイメントサービスの「GMO後払い」との提携によって可能になったシステム。
簡単にいうと、立替払いシステムを使った割賦販売法に引っかからない脱法ローン商法もいえそうな売り方である。
割賦販売法では、二カ月以上先の支払いであれば顧客の信用調査などが必要になってくるが、二カ月以内であればこの法律にひっかからない。
なぜこうした二カ月間の猶予が割賦販売法で認められているのかといえば、郵送で送られてきた振込用紙でコンビニなどで支払うまでにはそれなりの日数が空く可能性があるから・・・という理由からなわけだが、この盲点を使ったのがZOZOTOWN(ゾゾタウン)のツケ払いシステムである。
クレジットカードを持たない若者や、支払い能力の不明な未成年でもツケ払いで購入できるとして人気化。
このツケ払い導入後、スタートトゥデイ(ZOZO)の業績は一気に上昇した。
なお、この支払いを最大2カ月遅らせることが可能なZOZOTOWNのツケ払いサービス、利用上限は5万4000円となっている。
スタートトゥデイ(ZOZO)のプライベートブランドZOZO
スタートトゥデイ(ZOZO)は他社の服飾品をネット販売するサイトを運営していますが、近年、自社で製造から販売までを行うプライベートブランドとしてZOZOを展開し始めています。
このZOZOの成功如何が、頭打ち傾向を示しているスタートトゥデイ(ZOZO)の売上の上昇如何を示しているといえるでしょう。
スタートトゥデイ(ZOZO)のゾゾスーツ(ZOZOSUIT)
このスタートトゥデイ(ZOZO)のプライベートブランドZOZOで販売する洋服や雑貨などの開発のために、個人情報をビッグデータとして収集する目的で作られたのがゾゾスーツ(ZOZOSUIT)です。
このゾゾスーツを利用すると、各利用者にぴったりあった洋服を提供できるという触れ込みでサービスが開始されました・・・が、いまいちこれが成功していない模様。
ゾゾスーツの配布コストだけでなく、お直し費用などもかさんでおり、スタートトゥデイ(ZOZO)の2018年業績悪化の一つの要因となっています。
スタートトゥデイ(ZOZO)の有料ポイント会員化でオンワード離脱
スタートトゥデイ(ZOZO)は有料会員になればポイント還元するサービスを展開してようとしています。
アパレルメーカーはスタートトゥデイ(ZOZO)側が勝手にポイントをつけて実質値引きして販売するのを容認せざるをえないため、一部の反発したアパレルショップは撤退する姿勢を示しています。
オンワードはこの会員ポイントサービスにより自社の製品の販売価格の維持ができなくなることを憂慮、真っ先にZOZOTOWNからの撤退を表明しました。
訂正:スタートトゥデイ(ZOZO)の有料会員サービスですが、会員になると常に1割引きになるサービスとなったそうです。
実質的にはショップの商品が勝手に1割値引きされて販売されてしまう状況になります。
オンワードは自社でもオンライン通販に力を入れていこうとしていますから、自社で値引きしていないものをZOZOTOWNでは1割値引きされて販売されるのは困る・・・というわけで、こうした状況を受けて撤退をするようです。
ZOZOTOWN出店店舗状況
スタートトゥデイ(ZOZO)のZOZOTOWNに出店する店舗数の推移です。
ほぼ一貫して右肩上がりを示しています。
ZOZOTOWN年間購入者数
スタートトゥデイ(ZOZO)の年間購入者数はひところの勢いがありません。
やや成長が鈍化してきています。
スタートトゥデイ(ZOZO)の業績
ここからはスタートトゥデイ(ZOZO)の業績について、決算資料や会社説明資料などをもとにみていきます。
(ここからは2019年1月4日に書きました)
スタートトゥデイ(ZOZO)の2018年Q2決算の業績
スタートトゥデイ(ZOZO)の2018年Q2決算の業績は増収減益。
PBブランドのZOZOおよびZOZOSUITが不振を極めており、コスト管理が難しくなっています。
スタートトゥデイ(ZOZO)の2018年Q2業績~販管費の内訳
販管費の内訳でとりわけ目立つのが人件費の伸びと荷造り代でしょう。
特に人件費に関していうと物流関連費が伸びており、この分野で人手が足りずにコストが増加していることがうかがえます。
スタートトゥデイ(ZOZO)の2018年Q2業績~営業利益、営業利益率の推移
スタートトゥデイ(ZOZO)にとって、プライベートブランドは生みの苦しみの段階にあるようです。
ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)の配布によるコストもこれには含まれているのでしょうが、実際にはそれらがなくてもPB事業は赤字になっていた可能性が高く、抜本的な改善が求められるような状況になってきていると思われます。
スタートトゥデイ(ZOZO)の株価 2019年1月4日
スタートトゥデイ(ZOZO)の株価は2018年の高値から2/5程度の一にまで暴落。
ゾゾスーツの不振および世界的な金融引き締めの影響を受けて、大暴落となっています。
また、同社の幹部によるSNSによる口喧嘩などもやや災いしているような状況。
アンチZOZOのような層も生まれており、ちょっとよろしくない雰囲気を醸し出しています。
ただ、スタートトゥデイ(ZOZO)の株価は成長力のわりにずいぶんと安くなってきたのも事実です。
PBの成否にもよりますが、PB事業を抜いてボトムを計算すると二年後くらいにはPER20倍を割ってくる可能性があります。
とりあえず、上記はあくまでも個人的な見解であり、特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。
投資にあたっては自己責任で行っていただきますようお願いいたします。