中国人民銀行・孫国峰金融政策局長『国内銀行に永久債発行を促す』
中国人民銀行・孫国峰金融政策局長が「中国金融」に寄稿。国内の与信拡大に向けた施策を提言。
このなかで孫国峰金融政策局長は、現在、銀行の与信を制限している条件として
- 資本不足の問題
- 流動性不足の問題
- 金利波及効果の低さ
の3つを提示。
これを軽減する策を人民銀は導入しているものの、さらに各銀行側の取り組みの重要性も指摘。
具体的な内容として
「資本補充に向けて銀行に永久債の発行を促す」
としています。
China should boost banks‘ active support for economy: central bank …
中国人民銀行の政策方向性が変更。各銀行の経営に介入か。
中国は、日本の90年代のバブル崩壊の歴史から学んでいると思われます。
日本は90年代のバブル崩壊時、日銀による金融政策は緩和が遅れ、その後に緩和をしたときには、今度は民間銀行の資本不足で融資が膨らまず、長い期間にわたる低迷状態になりました。
現在、中国人民銀行は中期貸出制度MLFなどを利用して中小企業融資を促していますが、リスクを抱えることに怯えて、ケツ持ちがしっかりしているところにしか融資が回らないという声があります。
中銀としてはもう一段二段の金融緩和が必要と考えており、各銀行がリスクを積極的にとっていけるように、永久債発行によって自己資本比率を改善するよう促しています。
中国人民銀行が永久債を使って国家ぐるみの循環取引を推奨
ぶっちゃけ、永久債を誰が引き受けるのかといえば、これもまた中国政府系の企業や金融機関です。
会計上、永久債は負債として計上しますが、銀行など金融機関においては自己資本比率を満たす手段として用いることが認められており、格付け機関などにおいてもそのように扱われています。
ようするに、永久債を発行しまくれば自己資本比率が見かけ上はキレイになって融資しやすくなるということ。
それを引き受ける側も資産計上できるということ。
これですべて丸くおさまる!という方針です。
過去には永久債を用いたデットファイナンスを批判してきた中国人民銀行
じつは、こういった永久債を用いたデットファイナンスは、中国人民銀行がかつて批判してきた手法だったりします。
2017年当時、デレバレッジの必要性が騒がれていたころ、当時の周小川総裁はこういった永久債を用いた自己資本比率の改善手法をデットファイナンスだと批判。
急増していた中国企業の起債状況を懸念する表明をしました。
今回、永久債に言及したのは孫国峰金融政策局長ですから、易綱総裁の意向という形ではありませんが・・・まぁ、方針として一緒でしょう。
周りの反応を確かめるために部下に言わせているだけだと思われます。
とりあえず、今回の永久債発言は、中国人民銀行がデレバレッジ問題で白旗をあげつつあることの表れだと思われます。
中国ではいまだに一部、デレバレッジを推進する勢力もいます。
習近平も「灰色のサイに注意しろ」と言っています。
しかし、現場の担当者はなりふり構わぬ方針に舵を切りたがっています。
とりあえず、このあたりのせめぎあいがどうなるかに注目です。
以上。