日本政府、福島第一原発事故で100ミリシーベルトの甲状腺被ばくをした女児の存在を公表せず
震災から約8年、福島第一原子力発電所事故で100ミリシーベルトの甲状腺被ばくした女児の存在が明かされる
震災から約8年たち、ほとぼりも冷めてきた今日この頃ですが、
なんと今頃になって、重大な被ばくを甲状腺に受けた女児の存在が明らかになりました。
この女児は当時11歳。
福島第一原子力発電所にほど近い福島県双葉町に住んでおり、原発事故により放出された放射能を浴びたものと予想されています。
福島第一原発事故で甲状腺に100mSV被ばくした少女の記録~「朝の対策本部会議メモ」~
福島第一原発事故で甲状腺に100mSVの被ばくを受けた少女についての記録は2011年5月2日の放医研「朝の対策本部メモ」に書かれているとのこと。
これは東京新聞が情報開示請求して公開されたものとして報じており
11歳少女、100ミリシーベルト被ばく 福島事故直後 放医研で報告 東京新聞
これによると
「頸部(けいぶ)5-7万cpm(GMで測定)」
「取り込みが3日前として、甲状腺等価線量で100mSv程度」
と記されていたとのことです。
なお、当日はNaI(ヨウ化ナトリウム)サーベイメータがなく、GMサーベイメータを使用したとのことで、適切な遮蔽が行われていたかどうか、シンチレーターの性質上、空間線量の影響を受けた可能性などももちろん考えねばなりません。
ただ、その後、この少女の身体を拭きとって計測した際にも5万から7万cpmという数字が出たとのこと(ソースはNHK)で、やはり甲状腺の被ばくを疑った方がいいとして現場から上司には報告されていたとのことです。
この報告が、どこかの時点でうやむやにされ、公表されませんでした。
甲状腺に100ミリシーベルト被ばくした児童のうち、がんの発症確率は1000人中2人
なお、東京新聞によれば国や福島県の公表資料には
「がんのリスクは100ミリシーベルト未満で検出困難」
「チェルノブイリ事故では100ミリシーベルト以上でがん発症」
と記されているとのことです。
甲状腺被ばくが疑われる少女は等価線量換算で100mSV超ですから基準に引っかかっていることになりますが、現在まで適切なフォローが一切行われず放置されてきたことになります。
なお放射線医学総合研究所によると、100mSVの被ばくをした児童のうち、がんの発症確率は1000人中2人とされています。
政府原子力災害現地対策本部が検査したのは30キロ圏外の1080人のみ~福島県にはデータがない~
なお、政府は11年3月下旬にNaIシンチレーション式サーベイメータを使って15歳以下の子供の被ばく線量を測定していますが、これは30キロメートル圏外の児童、1080人のみが対象でした。
30キロメートル圏内にいた児童の被ばくは当時から疑われていましたが、これまで政府からはその状況を明らかにされてきませんでした。
なお、福島県も独自に避難者11万4000人あまりを3月12日~3月31日にかけて検査していましたが、詳細な記録があるのは3月13日~3月17日にかけての7286人分。
それ以外はデータがないもようで、今回の高い被ばく疑い例もデータとして残っていないとのことです。
政府・県、放射線医学総合研究所そろって隠ぺい体質
要するに、今回の例を一言でいってしまえば隠ぺい体質でしょう。
政府も県も関係機関も、都合の悪いデータは「データの取り方が問題」とか言いながら消去、隠滅する。
それが当たり前に行われてきたのがこの国です。
そしてそれは、この国に限ったことではありません。
どこの国でも、地方自治体レベルでも、会社でも、家庭でも、およそ組織というものは隠ぺいする体質がある。
とりあえず、そういう社会の中で生きているという意識を持って、常に政府のいうことを信じない態度が必要だと思います。
以上。