【統計】米国雇用統計2019年1月~雇用者数が上振れしすぎたわけだが
いや~・・・びっくりしました。
米経済は驚くべき強さです。
株価が変調をきたし、実店舗の消費にも影響が出てきたのが12月。
翌1月は消費者センチメントや製造業関連のソフトデータにも停滞感が反映されてきましたが、雇用統計は恐るべき強さを示しました。
なお前回は⇒【統計】2018年12月の米雇用統計コメント
米雇用統計2019年1月
Payrolls surge by 304,000, smashing estimates despite government shutdown CNBC
非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比30万4000人増 (エコノミスト予想は16.5万人)
昨年12月は22万2000人増(速報値31万2000人増)に下方修正
平均時給は前月比0.1%増 前年同月比では3.2%増 (前月は3.3%増)
失業率は4%に上昇 (ただし、これは政府機関閉鎖によるもの。一時帰休失業者は17.5万人。連邦職員がほとんどの可能性。)
労働参加率は63.2% 13年9月以来の水準
U6 不完全雇用率8.1% 前月7.6%
フルタイム雇用につけずパートタイム職についている労働者が50万人増 (政府閉鎖の影響か)
FRBにとって最悪のタイミングでの雇用統計結果・・・
今回の雇用統計は、FRBにとっては最悪のタイミングだったと思います。
市場へ柔和なメッセージを送ろうと、先日のFOMC後の会見でパウエル議長は極端なハト派に転じました。
関連⇒FOMC 2019年1月 パウエル議長が白旗を揚げてハト100%に
この直後にこの雇用統計です。
まず第一に、統計をちゃんと予測できないパウエル議長への信頼感が揺らぎます。
さらに、パウエル議長は会見で超絶ハト派に転じたあとですから、少なくとも9月あたりまでは利上げはできないとみている人が増えていました。
ですから、この調子で雇用が増え続け、インフレの芽がでてこないか、パウエル議長としては気が気ではないのではないか、と思います。
あれだけ弱気な姿勢を示したあとにコロッと転向するようでは、さすがに信頼をなくすでしょう。。。
雇用統計は好調も、賃金は伸びていない
ただパウエル議長にとって、いくつか安心感のある材料もあるにはあります。
まず一つ、賃金は伸びていません。
というよりも伸びが鈍化しています。
労働需給はひっ迫しているはずですが、賃金が伸びてこない。
ある一定以上の賃金水準になれば自動化する、ロボットで置き換えるという動きが世界的に進んでいます。
米国は資本効率を非常に重視する国ですから今まであまりロボットの活用はされてきませんでしたが、今後はこういった部分と綱引きになる可能性があり、実際にそれは数字にも表れてきているように思います。
もう一つは雇用統計は遅行指数だという現実。
過去にも雇用統計がよすぎて怖くなって引き締め、その結果崩壊を辿った例もありますが、今回は雇用が吹き上がってもある程度の期間はFRBは我慢することになりますので、過去と違った動きになる可能性はあります。
もしかしたらその間に雇用は落ち着く可能性もあり、そうなれば金融当局の勝ちです。
とりあえず、向こう数か月は、雇用の状況により目が向かう展開になると思われます。
以上です。