核重力爆弾B61-12の初期生産がY-12で開始される
Y-12が核重力爆弾B61-11をB61-12へ改修中
テネシー州オークリッジにあるマンハッタン計画のなごり、Y-12 National Security Complex にて、核重力爆弾B-61のアップデート計画が開始されたとのことです。
Y-12 finishes first production unit for B61-12 bomb
2020年からと言われてましたが、2019年から早くも始めたようです。
1年前倒しする意味は、なんでしょうか・・・北朝鮮?
核重力爆弾『B61-12』とは?
核重力爆弾『B61-12』とは、簡単に言ってしまえば、B61核爆弾シリーズの最新型モデルということになります。
B61核爆弾は1965年から実用化された核爆弾でしたが、その当時から徐々に徐々にアップグレード改修しつづけ、当初よりも精度、運用のしやすさなどでかなり向上しました。
核重力爆弾『B61-12』はそのなかの最新モデルであり、これまでのB61-3、B61-4、 B61-7 、 B61-10を3倍上回る精度とのことです。
精度が上がればそれだけ破壊力を集中することができます。
山奥に陣を作っていたとしても、破壊力を集中することで効率的に攻撃することができるわけで、たとえば北朝鮮のミサイルサイロや指令基地などを攻撃するためには効果的といえるでしょう。
核重力爆弾 B61-12 寿命延長計画(Life Extension Program / LEP)
高齢化した兵器の寿命延長プログラムは、比較的低コストに旧式の兵器を最新型の装備にアップグレードできるため、近年では多用される傾向にあります。
たとえば戦闘機であればF15のAI改修などが予定されていますし、自走榴弾砲であれば155ミリM109などで行われてきたりなど一般的です。(HELP計画など)
こうした兵器の寿命延長計画(Life Extension Program / LEP )の核爆弾バージョンがB61-12というわけです。
米国の核安全保障政策において非常に重要な意味を持つ改修であり、米軍の最高機密施設のひとつであるY-12で改修作業が行われていると言われています。
核重力爆弾『B61-12』はB2-A爆撃機、F-16Cで運用実験成功
核重力爆弾『B61-12』はこれまでのところ、2017年にF-16Cでまず運用実験に成功。
これはエネルギー省(DOE)国家核安全保障局(NNSA)によって行われた模擬実験であり、起爆装置と安定翼のみ実際に使用されるものとおなじで、弾薬部分のみが模擬弾を用いて行われたとのこと。(重さなどは調整し、現実の核爆弾と一致させているとのこと)
その後、2018年6月にも同様の試験がB2-A爆撃機を用いて行われ、これも成功したとのことで、いつでも運用が可能な状態に近づいています。
核重力爆弾『B61-12』、将来的にはF-35での運用も?
この核重力爆弾『B61-12』ですが、F-35での運用が主目的となっているのは明らかです。
F-35は高度な精密攻撃システムが用意されていますが、これと組み合わせれば非常に高精度の核爆撃ができると思われます。
間違いなく、次期主力戦闘機のF-35との運用が念頭にあるでしょう。
核重力爆弾『B61-12』を1年早めて生産する意味
じつは、核重力爆弾『B61-12』ですが、2020年からの生産開始と言われてきました。
ところが、1年早く今年初旬から生産し始めたと伝えられています。
この意味は何か・・・いろいろと理由があると思われますが、一番は北朝鮮ではないかと、個人的に思います。
核重力爆弾『B61-12』の製造を急ぐ理由は、北朝鮮への圧力?それとも・・・
すなおに考えるなら、2月中旬に予定されている米朝首脳会談前に核重力爆弾『B61-12』の配備を始め、圧力をかける意図をトランプ大統領が持っている、と考えるべきかと思います。
しかし、トランプ大統領はどうも北朝鮮と手打ちしようとしている臭い部分がある。
個人的には、この核重力爆弾『B61-12』の早期生産開始は、北朝鮮と手打ちをしたがっているトランプ大統領にアピールするために、国防省やエネルギー省の一部が急いだのではないか、という気がします。
政権内部に意見の相違があるのではないか、という感じがします。
これまでも、核爆弾B61が表に出てくるときには常に緊張が高まってきました。
というか、緊張が高まった時に、これにクローズアップされる形になってきました。
今回もそうなのではないか、という気がします。
とりあえず、以上です。