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【HESS】ヘス・コーポレーション(Hess Corporation)の業績と株価~ガイアナ沖で大規模油田開発するシェール企業

【HESS】ヘス・コーポレーション(Hess Corporation)の業績と株価

今回は米国の独立系石油会社であり、シェール開発企業でもあり、ガイアナ沖で大規模油田開発を行っている、ヘス・コーポレーションについてみていきます。

まずはヘス・コーポレーションの会社説明・事業説明からはじめます。


ヘス・コーポレーション(Hess Corporation)の会社説明と事業説明

ヘス・コーポレーション(Hess Corporation)はアメリカの独立系石油会社です。

エクソンやシェブロンなどの大型メジャークラスの石油企業と異なり、やや小粒な企業となっていますが、事業には特徴的なものがあり、影響力も大きな企業です。

 

ヘス・コーポレーション(Hess Corporation)の事業戦略~バッケン地区

ヘス・コーポレーション(Hess Corporation)に限らず、独立系石油企業の多くはシェール資産への投資をこの10年積み上げてきました。

なかでもヘス・コーポレーションは、ノースダコタ州バッケンのシェール鉱床に多額の投資をしてきました。

多くの企業はパーミアン盆地に資産を振り向けていますが、ヘス・コーポレーションはオンショアのほぼすべてをバッケンに集中しています。

なお、後述する南米ガイアナ沖の油田開発のため、バッケン地区の精製、販売、パイプラインなどのミッドストリーム権益は2016年に半分程度売却しました。

同社は、開発の中心をシェールから南米に移しつつあります。

 

ヘス・コーポレーション(Hess Corporation)の事業戦略~ガイアナ沖巨大海底油田

ヘス・コーポレーション(Hess Corporation)は、社運をかけて南米、ガイアナ沖の巨大油田開発に乗り出しています。

この油田はガイアナのジョージタウン沖合にあるスターブロック鉱区(Stabroek)、Kaieteur鉱区、Canje鉱区と呼ばれるものですが、ここにヘス・コーポレーション(Hess Corporation)はHess Guyana Exploration Ltd.(ヘス・ギアナ・エクスプロレーション・リミテッド)のかたちで30%の権益を確保しています。

なお、45%はエクソン系のエッソ(Esso Exploration and Production Guyana Limited)、25%が中国CNOOC系の投資ユニット(CNOOC Petroleum Guyana Limited)が参加しています。

 

このガイアナ沖海洋掘削プロジェクトは、過去10年に石油業界がみつけた最大級の油田です。

 

このプロジェクトに、ヘス・コーポレーション(Hess Corporation)は社運をかけています。

エクソンやCNOOCにとってももちろん大きな事業ですが、それらの企業は超巨大ですから、たとえガイアナ沖のプロジェクトが頓挫しても大した問題ではありません。

しかし、ヘス・コーポレーション(Hess Corporation)にとっては話が別。

同社はバッケン地区のシェール開発がメインの収益源ですし、ちょっとでも世界の原油価格が下がったり、パイプラインの輸送が逼迫してオンショアの価格が落ち込んだりすれば、途端に赤字転落しかねない、そういう企業です。

ガイアナ沖合のオフショア開発がヘス・コーポレーション(Hess Corporation)の命運を握っている状態であり、それゆえ、バッケンのミッドストリーム資産を半分売却したりしてでも、資金をねん出して賭けに出ています。

 

 

ヘス・コーポレーション(Hess Corporation)と、トランプ政権によるベネズエラ制裁

個人的に、ベネズエラに対するトランプ政権の制裁の背景には、こうしたヘス・コーポレーション(Hess Corporation)やエクソンモービルによるガイアナ沖合開発が関係しているのではないか、と見ています。

というのも、実はベネズエラとガイアナは海上の国境線が確定していません。

今回のヘス・コーポレーション(Hess Corporation)とエクソンによるガイアナ沖合開発にあたっても、ベネズエラは当初から攻撃的な態度をとっており、2018年暮れには、実際に探査作業船をベネズエラ側が停止させたりするなどの摩擦が起きています。(このときにはヘスの株価が12%安と大きく下落しました。)

2019年に入ってからのベネズエラの野党指導者による暫定大統領就任や、それを支持するトランプ政権の姿勢には、どうにもきな臭い、利権がらみの匂いがぷんぷんしています。

陰謀論をことさらに語るつもりもありませんし、たしかにベネズエラのやり方は酷いもんだと思いますが、アメリカにもいろいろと問題があります。

人権だとかそういった表面的なものだけでなく、アメリカの本当の思惑も含めてニュースを見ていく姿勢が必要だと思います。

ちなみに、ベネズエラは世界最大の原油埋蔵量を誇る国です。

【統計】国別原油埋蔵量とシェア~ベネズエラが原油埋蔵量1位

 

ヘス・コーポレーション(Hess Corporation)の2018年Q4業績

 

ヘス・コーポレーション(Hess Corporation)の2018年Q4業績は以下のようになっています。

https://twitter.com/chu_sotu/status/1096289202092761088

ごらんのとおり、ヘス・コーポレーション(Hess Corporation)の業績は芳しくありません。

開発コスト先行となっています。

 

ヘス・コーポレーション(Hess Corporation)の業績~修繕と設備投資~CAPEX

https://twitter.com/chu_sotu/status/1096289348008329217

ヘス・コーポレーション(Hess Corporation)の設備投資と修繕コスト(CAPEX)です。

みてわかるとおり、バッケン地区のシェール資産のコストが大きいです。

しかしこれはほぼ修繕中心なはず、減価償却に沿ったものでしょう。

注目すべきは南アメリカ。

ガイアナ沖合での開発を反映してずいぶんと支出が増えています。

 

 

 

ヘス・コーポレーション(Hess Corporation)の業績~生産量

https://twitter.com/chu_sotu/status/1096289594570469376

こちらはヘス・コーポレーション(Hess Corporation)の生産量

現状、石油、天然ガスともにバッケン地区中心となっていることがわかります。

南アメリカはまったくありません。

これを一気に南アメリカのガイアナ中心のキャッシュフローにしていこうというのが、ヘス・コーポレーション(Hess Corporation)の戦略です。

すごい山師ですw

ベネズエラ国有石油会社『PDVSA』について

【統計】ベネズエラの原油生産・石油精製能力・石油精製量・原油埋蔵量

 

とりあえず、そんなこんなでヘス・コーポレーション(Hess Corporation)の業績と事業戦略を見てきました。

とりあえず、株価もみてみましょう。

 

ヘス・コーポレーション(Hess Corporation)の株価

 

ヘス・コーポレーション(Hess Corporation)の株価はごらんのとおり、ボックス圏をいったりきたりです。

さて、ガイアナ沖合開発で一気に動くかどうか?

行方がたのしみですね。

以上。