トルコ中銀キリミジ副総裁が辞任との報~アルバイラク財務相は「大きなリスクなし」と語るも逆効果か?
トルコ中銀副総裁のキリミジ( Erkan Kilimci )氏が辞任との報で、トルコの通貨トルコリラが再び下落しています。
Turkish lira sinks after reports that a key central bank member could …
エルカン・キリミジ氏は2013年6月に中央銀行に入行
・・・という情報以外、Google検索しても目立った解説が見当たりません。同国の混乱を象徴する人事であることは確かですが、このキリミジ氏の離脱によって金融政策がどう変わるのかまでは予想できませんし、大方のトレーダーはさほど考えずに動いているような感じです。
これに先立ちベラト・アルバイラク財務相(エルドアン大統領の娘婿)は「トルコ経済や金融システムにおける大きなリスクは確認していない」と語っていました。
このような発言は、個人的には今のタイミングでは逆効果だと思います。
内閣が現状の高インフレ状態をきちんと認識していないことをアピールしているだけと感じます。
市場がやや呆れ気味に反応しているようにみえます。
また別の会見では、アルバイラク財務相は「強力な財政政策が金融政策の支えになる」との考えを示していました。
ちなみに、8月10日にはアルバイラク財務相は「インフレと戦う」と語っていました。
インフレと戦うといいながら、強力な財政政策をとっていく・・・よくわかりませんが、アルバイラク財務相の頭の中では成立しているのでしょうか。
エルドアン大統領の経済政策も突飛ですが、取り巻きの大臣がこれでは誰も制止できないわけで、投資家にとってはたまったものじゃないと思います。
アルバイラク財務相は今週パリを訪問したとのことです。また、来週には英国、その次にはドイツも訪問するとのことです。
かなり必死だなあ、、、という印象を抱かせます。
何もしないよりはマシですが。
本来であれば、電話会談くらいにとどめた方がいいのではないでしょうか・・・
というか、なぜアルバイラク財務相はスペインとイタリアに行かないのでしょうか。一番のリスクはそっちにあるのではないですか。
トルコリラ大暴落~欧州銀行BBVAやウニクレディトなどに波及?
市場との対話という点でいえば、一番の債権者であるスペインとイタリアの銀行との関係はしっかり持つべきと思いますが、アルバイラク大臣がこれに積極的だという話はとんと聞こえてきません。
どうせイタリア、スペインにいっても財政政策であれこれと注文されるのが関の山だとアルバイラク大臣は思っているのだと思います。。
とりあえず、これらアルバイラク大臣発言、キリミジ副総裁辞任など一連の流れを受けてトルコリラは急落しています。
この記事を書いている2018年8月31日3時13分時点では、トルコリラはやや直近安値からは反発していますが、この流れは完全にベアトレンドだと思います。
トルコリラは早晩最安値を更新してくるのではないか、と感じています。
そもそも実需ではトルコから資金が流出しやすい(経常収支などの面から)ですから、それにプラスして撤退の動きが加速すればトルコリラ安が続くのはあたりまえっちゃあたりまえです。
各ファンドとも下期の投資戦略はすでに決定済みであり、タイミング的にもトルコリラには新規の買いが入りにくい環境ではないかと思います。
個人的には、トルコリラはもう一段二段の安値はあるとみていますが、あくまでも見ているだけでトルコリラの相場は張っていません。
なお、アンドルー・ブランソン牧師に関しては、現地での報道も減っていますし、ツイート数もおちています。
ブランソン牧師はもはや当分のあいだは拘束されることが織り込まれており、トルコリラ相場のネタにはならない・・・と思います。
もしネタとして蒸し返されるときがあるとするなら、それはブランソン牧師が解放されたときでしょう。それまでは材料としてみるべきではないでしょう。
なお、上記はあくまでも中卒くん個人の見解であり、特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。投資に当たっては自己責任でお願いいたします。