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日米物品貿易協定(TAG)に向けて新たな展開~日本がSM-3を大量購入かも?

日米物品貿易協定(TAG)に向け新たな展開~トランプ大統領「日本はすごい量の防衛装備品を買う」と発言~SM-3を大量購入か?

 

「日本はすごい量の防衛装備品を買う」「(二国間関税交渉)日米物品貿易協定(TAG)で合意した」とトランプ大統領が成果を強調~国連総会後記者会見で~

 

 

トランプ大統領が国連総会後の記者会見で日米首脳会談の成果を強調しました。

このなかで、自由貿易協定FTAと実質的になんら変わらない日米物品貿易協定(TAG)の交渉に日本側が応じたことを成果として強調。

と同時に、もうひとつとても大切なことをアピールしました。

日本が、アメリカから大量の防衛装備品を買うことになったそうです。

トランプ氏「日本はすごい量の防衛装備品を買うことに」朝日新聞

 

 

 

 

これは以前から当ブログで書いてきたことです。

F2後継機にF22とF35のMixを採用へ? ~「防衛費1%枠」と吉田ドクトリンの終焉~

日米新貿易協議(FFR)終了~自動車関税回避なるか~

日本車メーカーは要注意?~米国自動車関税の行方~

トランプ大統領、NATO(北大西洋条約機構)に対しGDP比4%の防衛予算負担を要求?

 

これらの記事をざっくり纏めて要約すると

・日本の防衛予算は吉田ドクトリン以来ずっと低すぎる。日本の軍事予算の対GDP比は1%以下を保っており、防衛費1%枠を頑なに維持している。

 

・いままでずっと、日本は自国のことを自国で守ろうとせず、アメリカに負担を丸投げしていた。ちょっぴり基地負担はするものの、基本的にはアメリカにおんぶに抱っこの状態にあり、その浮いた予算を経済対策に回すことで日本の経済は今の状態にある。それはずっとは維持できるはずがない。

・日本の高度成長期~バブル崩壊までの史上まれなる経済復興と好景気は、世界中の国が冷戦構造で防衛費負担が膨らむ中、アメリカに防衛負担を全部おっ被せてきたことによるものであり、冷戦構造の崩壊とともに競争環境激化、新興国のキャッチアップを受けて日本経済は競争優位性を失った(これは確か大前研一氏あたりが最初に言い出したことだと思うが、まったく同感です)

・トランプ大統領(というかアメリカ人全体)としては、自分の身、自分の家族の身、自分の国を守るのは自分自身であるべきであり、他国にぜんぶ丸投げしてセコセコと金稼ぎをするのはズルいと考えるはず。

・トランプ大統領は間違いなく日本に防衛装備品の購入を増やすように言ってくるはず。

・日本がアメリカから兵器を大量購入すれば、日米の貿易不均衡問題解消にも役立つし、米国の軍需産業にも恩恵がある。同盟国日本の戦闘能力を高めることは対中国への牽制としても意味がある。

 

 

 

といった内容です。

基本的にこの見方は間違ってなかったと自分では思っています。

ただし、トランプ大統領が日本にどのような防衛装備品の購入を求めてくるかには注意が必要だと思います。

個人的にはそれは、RIM-161スタンダード・ミサイル3 (RIM-161 Standard Missile 3/SM-3)ではないかと思います。

 

RIM-161スタンダード・ミサイル3(SM-3)というのはつまり、イージス艦などに搭載されたSPY-1レーダーによって敵からのミサイルを追尾し、イージスシステムの処理により発射、敵ミサイルを迎撃するシステムです。

これをトランプ大統領は大量に日本側に買えと言ってくる可能性が高いと思います。特に地上配備型SM-3は可能性が非常に高いと思います。

 

ちなみにこれは、日本のためでなく、アメリカのためです。

アメリカが作った兵器を、日本が購入して、いざというときにはアメリカに向かう敵側ミサイルを日本のRIM-161スタンダード・ミサイル3 /SM-3で撃ち落とす・・・ということ。

これをアメリカは日本に要求してくる可能性が高いのではないか、と思います。

 

現状の迎撃能力では、RIM-161スタンダード・ミサイル3 /SM-3は日本に高速で落ちてくる敵ミサイルを迎撃するだけの能力はないはずですが、たとえば中国からアメリカだとか、北朝鮮、ロシアからアメリカなどへの長距離弾道ミサイルであれば迎撃に成功(実験レベルですが)してきています。

ぶっちゃけ、日本が現状のRIM-161スタンダード・ミサイル3 /SM-3を購入しても自国の防衛にはあまり役に立たない、と個人的にはみています。

日本中に地上配備型SM-3を設置して米本土を守ろう・・・日本を不沈空母ならぬ不沈イージス艦にしよう・・・というのがアメリカの魂胆のように思います。

 

とりあえず、これで儲かるのはRIM-161スタンダード・ミサイル3 /SM-3の開発・製造企業であるレイセオン(Raytheon)です。

 

レイセオン(Raytheon)は売上の80%超を防衛関連に頼るガッチガチの軍需産業企業です。

レイセオンはレーダーとミサイルに特化しており、有名なミサイルですとMIM-104 パトリオット、BGM-109 トマホーク、AIM-9 サイドワインダー、MIM-23 ホーク、AIM-54 フェニックス、RIM-7 シースパロー、AIM-7 スパロー、FGM-148 ジャベリン、FIM-92 スティンガー、BGM-71 TOWなどがあります。

もうほとんどすべて、ミサイルと言ったらレイセオン、みたいな感じの企業であり、戦争が起きれば確実に潤う企業です。逆に言うと戦争がないと業績おちるのですが。

 

 

とりあえず、そんなこんなで今回のトランプ大統領の発言は、

「日本がまともに防衛予算を積み増す」

という点においてはポジティブなのですが、その防衛予算の割り振りが偏る可能性があることには若干不安が残る内容となっています。

 

とりあえず、今後は日本は増税をするか、国債の大量発行をするか、医療や介護などの社会保障費をガッツリ削減するしか手はないと思います。

既に日本の財政は火の車だ!という論調が多いですから、国債の大量発行は難しいかもしれません。そうなると増税路線もしくは社会保障費削減でしょうか。

内需企業にとってはどちらに転んでもキツい状況だと思いますし、不動産なども悲惨だと思います。

日本の内需に期待するのは、ほどほどにしておいた方がいいかもしれません。

以上です。