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市況:ガス株が値下がり中 自由化による競争激化を受けた流れか

もはや電力株・ガス株はディフェンシブ株にあらず 自由化進展で業績悪化必至か?

2018年7月31日、ディフェンシブ株といわれてきた大手ガス株が大きく値下がり中です

 

 

 

 

チャートをみるとそんなたいした下落ではないようにみえます?

今日の前場で東京ガス3.54%安、大阪ガス2.14%安、東邦ガス4.83%安となっています。

昨日も同様の下げを示しましたので、これで二日連続となります。

2日で1割近い下落。けっこうな下げ方だと思います。

およそディフェンシブとは程遠い動きです。

 

 

 

5月13日付の当ブログ記事でも取り上げましたが

大阪ガス 2018年3月期決算短評 ~関西圏のガス販売はレッドオーシャン化~

 

全国的に、電力vsガスの流れが加速しています。

当初関西圏で始まった関電vsダイガスの対決が、地域・業界の枠を超えて広がっています。

上記ブログでリスクを指摘したのち、5月15日につけた2431.5円をピークに大阪ガスの株価は自利下げ、直近2149円まで下げています。

チャート的にはまだまだありうる、そんな動きをしているように見えます。

 

 

 

電力・ガスともに、直近出てきたQ1決算はなかなかに悪いです。

東京ガスは2019年Q1決算が売上0.7%減、本業の利益をあらわす営業利益が32.9%減となっています。
東邦ガスは同期間、売上3.0%増、営業利益21.3%減となっています。
関西電力は同期間、売上1.7%増、営業利益18.5%減です。

 

この減益には燃料費のスライドの影響もあります。

ただ、燃料費調整制度を含めて考えれば、東京ガスなどは売上がプラスにならないとおかしい。それなのに減収減益なのです。もちろん春先の温暖な気温の影響もありましたが、これは超ネガティブだと思います。

東京電力や新興電力各社との競合が起きていることを示しているようにみえます。思ったように値上げできていない。

そもそも、完全に自由化した競争環境では燃料費調整制度自体が時代遅れ化する可能性すらあるわけです。

いまの同業界の置かれたポジションとしては、一昔前の石油元売り各社の競争環境に似ています。

いままで護送船団でマージンを守られてきたのに、いきなり自由化市場に放り込まれて、これから揉みくちゃになって自由競争を戦ってください、という状態です。

しかもやたらプレイヤーが多い。これからが競争の本番です。

これが嫌気されないわけがない、と個人的には思います。

 

 

かつて電力株・ガス株はディフェンシブ株と言われてきた時代がありました。

景気に左右されずに安定したマージンを確保できる企業群として、鉄道株、ガス株、電力株がディフェンシブ株と言われてきた時代がありました。

とくに、不動産事業比率の高い鉄道株と異なり、電力、ガス株はそういった不動産価値の変動リスクが少なく、むしろ逆に安い簿価で大量の土地を持つ資産株としても見られていました。

各社ともに配当も重視しており、バブル崩壊後の利下げ傾向の中でも2%程度の配当を確保していた電力、ガス株はまさにディフェンシブ株という名にふさわしい銘柄群でした。

日本のエスタブリッシュメントたち、政治家や資産家や、さらには皇族たちも買っていたといわれます。

それが崩れたのが福島第一原発のメルトダウンからの一連の流れです。

原発が動かず、高コストの火力発電に頼らざるを得ない状況がつづきました。

とりあえず当座の処置として、需要家(家計、企業部門)にこのコスト分を転嫁することにしましたが、そのことに反対する動きが主に企業側から出ました。もっと安い電力価格にしてくれ、と。

世界的な潮流として再生可能エネルギーの利用も増えてきました。競争が激化し始めます。

小売り自由化が電力で始まります。さらにガスでも始まりました。

今まさにこの段階です。。。

 

かつてと同じディフェンシブ性は、もはやこれら電力・ガスセクターにはありません。

これら銘柄にディフェンシブ性を期待して投資をしている人は、覚悟が必要だと思います。

目利き力が試される局面に入ってきていると思います。

以上です。

 

なお、上記はあくまでも中卒くん個人の見解を書いたものです。特定の投資スタンスをお勧めするものではありませんので、その点、ご了承ください。