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米国家経済会議NECのクドロー委員長 中国に対し通商協議再開の条件を提示

米国家経済会議(NEC)のラリー・クドロー(カドロー)委員長が中国に対して通商協議再開の条件を提示

 

米大統領の経済政策助言機関である米国家経済会議( National Economic Council / NEC )のラリー・カドロー(クドロー)委員長は、アメリカが中国と真剣に貿易交渉をしたいと話しています。

Trump economic adviser says U.S. wants serious trade talks with China

 

なお、国家経済会議は1993年にクリントン政権において設立され、それ以来、ロバート・ルービン、ローレンス・リンゼイ、ローレンス・サマーズ、ゲイリー・コーンなど、局面ごとに非常に重要な役割を果たしてきた方達が就いてきました。

なお、上記の方達はほとんどがハーバードとかそーゆーとこ出てますが、ラリー・クドローさんはロチェスター大です。

べつにロチェスター大を悪く言うつもりはありませんが、ちょっと毛色が違っています。

また、ラリー・クドローはサプライサイド経済学の信奉者で、CNBCの軽口コメンテーターあがりというのも異色の経歴です。

軽口コメンテーターですから、日本の東北大震災の時にはうっかり口を滑らせてしまいました。

 

ラリー・クドロー「経済への影響よりも犠牲者の数の方が遥かに酷い。我々はこれに感謝しなくちゃね」

‘The human toll here looks to be much worse than the economic toll, and we can be grateful for that.’

 

ひでぇなこれw


 

とりあえず、こんなラリー・クドローさんが中国と真剣に貿易問題を語り合いたいよーっと言っています。

具体的には、

「(中国側が)関税を引き下げ、非関税障壁を撤廃させて市場開放し、世界で一番競争力のある我々がもっとモノとサービスを中国に売り込めるように自由貿易を受け入れること」

free trade to reduce tariffs and non-tariff barriers, to open markets, to allow the most competitive economy in the world, ours, to export more and more goods and services to China

みたいな感じらしいです。

 

 

ここで注目すべきはモノである自動車などもそうですが、サービスだと思います。

とくに、現在のアメリカの稼ぎ頭は情報技術関連です。これについては以前こちらの記事で書きましたが

関連記事:FAANG稼ぎすぎじゃね? / 国際収支統計のサービス収支内訳から見えること

日本の経常収支、欧州の経常収支などからも見えることですが、モノの貿易だけでなく、サービスの貿易でアメリカは稼ぐようになってきています。

GoogleやFacebook、Amazon、twitter、Microsoft、Instagramなどなどオンラインプラットフォームを握る企業が稼ぐ金額が年々膨らんでいます。

これらのオンラインプラットフォーム企業は、ほとんどすべて中国市場には参入できていません。

ラリー・クドロー率いる米国家経済会議としては、これらオンラインプラットフォーム企業の活動を自由に行えるように中国にゴリ押しする可能性が高いと思います。

また、映画産業や音楽産業、ゲーム産業の開放も求めると思われます。(これは旧来型のワーナーや21世紀フォックスにとって利点があるというよりも、ネットフリックスやスポティファイ、EAやアクティビジョン、ヴァルブなどにとってメリットがあると思われます。)

 

なお、これらは当然、経済だけでなく文化の侵略でもありますから、中国としては容易に呑み込むことができないかもしれません。

 

 

 

思えば、自分が子供の頃、アメリカは日本に対してエンターテインメント分野の開放をゴリ押ししてきていました。

特に音楽分野でそれが顕著で、CDの再販問題などで圧力をかけていました。

日本をアメリカ的な価値観で染め上げていきたい。そうやってアメリカにとって都合のいい市場に変えて商売をうまくやりたい。

そういう意図でやっているのはミエミエでした。

そうした中でディズニーランドが開業します。90年代には大店法が改正され、多くの外資小売が日本に上陸します。

 

 

なお、その後の展開は皆さんのご存知の通りです。

国内小売企業との過当競争で多くの外資小売は撤退しましたし、音楽もやはり日本語バリアの影響は大きく洋楽が流行ることは滅多にありませんでした。最近は洋画よりも邦画の方が流行ります。彼らの目論見が成功したかというと、微妙なところでしょう。(ディズニーランドは成功ですね。ユニバもかな。)

日本市場は独特なガラパゴス市場で、欧米資本にとっては稼ぎにくい市場ではありました・・・が、少なくとも彼らは日本市場で思う存分チャレンジはしてみた。チャレンジして散ったなら、まぁ諦めよう・・・そういう感じがあると思います。

 

今の中国市場は、チャレンジすることすら許されない。

中国企業はアメリカや欧州で買収を繰り返すのに、中国市場への参入は許されない、それはズルいじゃないかと先進各国は思う訳です。

 

 

 

中国としては、欧米のオンラインプラットフォームやエンターテインメントを受け入れることは、共産党の一党支配を揺るがす事にも繋がりかねませんから、強硬に反対すると思います。

しかし、アメリカの狙いはまさにそこだと思います。

 

検索エンジンやSNSをはじめ、ゲーム、映像コンテンツ、映画、音楽、小説などもろもろの情報産業を中国に浸透させ、中国を経済的にも、思想的にも西側陣営に招き入れたいと思っているようにみえます。

思うに、欧米の人々は中国人をよくわからない連中とは思っていません。台湾や香港、シンガポールの人たちとの交流がありますから、中華民族自体に対してはさほどアレルギーがない。

問題は、中国共産党のイデオロギー。

なんだかマルクスの亡霊みたいなのがウロチョロしている。

これをぶち壊したいというのが、米国側の狙いではないかと思います。

 

 

 

 

これは、トランプ政権で終わる話ではないと思います。

中間選挙が終わったら落ち着く?とか言ってる人がいますが、そんなはずがありません。

中国が市場解放するまで、中国共産党指導部が諦めるまで、この流れは続きます。

 

 

自分は以前、この米中の対立は経済の対立のみならず、イデオロギーまで含めた覇権争いだと書きました。

個人的見解:世界は陰謀でまわってるぅ~~米中貿易戦争~~

イデオロギーの決着がつくまで、この戦争は続きます。

たぶん、そうなると思います。