科大訊飛のAIを搭載~北京快如科技、Smartisanが展開する子弾短信(Zidan Duanxin)はテンセントのWechatの牙城を崩せるか?
公開してまだ2週間しか経っていないにも関わらず、中国で720万ダウンロードを記録し、爆速で大ヒットしているアプリがあるといいます。
今週のFinancial Timesが伝えています。
New Chinese messaging app Zidan Duanxin takes on WeChat
北京快如科技が開発しSmartisanが展開するこのアプリの名は子弾短信(Zidan Duanxin)、正答率97%以上を誇るという科大訊飛の音声認識AIを利用したアプリなのだそうです。
北京快如科技が開発した子弾短信はテンセントのWechatのようなメッセージングアプリなのですが、声と、声を文字に変換したメッセージを送信することが可能なのだそうです。
Wechatにもそういった機能は搭載されたり、他にもそういった機能もあるにはあるのですが、この子弾短信は科大訊飛の音声認識・変換AIが優れていてサクサク変換できることと、独特のUI(ユーザーインターフェース)がウケているのだそうです。
中国語AI音声識別技術のアイフライテック(科大訊飛/iFlytek)についてみてみよう
この子弾短信ですが、「Fatty Luo」こと46歳の元英語教師Luo Yonghaoが開発したとのこと。
Smartisanという新興スマホ&PCメーカーが、この子弾短信(Zidan Duanxin)を採用したスマートフォンやデスクトップPCを開発・販売しており、まずはそこから火がついていったようです。
下の動画はSmartisanのOSを搭載したスマートフォンを解説したものですが、この動画の4分くらいのところから子弾短信(Zidan Duanxin)の解説が始まります。
なお、デスクトップPC版の子弾短信(Zidan Duanxin)はこちらの動画による解説がわかりやすいです。
ここで言われているTNTってのは、「TNT=Touch aNd Talk」の意味だそうです。なんかめちゃめちゃコジツケくさいですね。「aNd」ってなんですか(笑)
とりあえず、英語での変換はまだまだ改善の余地がありそうですが、しかしこの子弾短信のインターフェースはよいですね。もう少し改善すればなかなか快適そう。
北京快如科技による子弾短信のヒットを受けて、同社にはさっそくベンチャーキャピタルなどからオファーが殺到しているとのことです。
なお、どうやら子弾短信は決済機能にAlipayを搭載するようであり、Newsアプリもテンセントのものを使えない?ようなので、陣営としてはアリババ側になりそうな感じです。
さて問題は、この子弾短信がテンセントのWechatの牙城を崩すのでしょうか?
これについては、開発車のFatty Luo自身が否定しています。
Wechatと子弾短信は共存していくだろうと。
いますぐWechatを消すのは現実的ではない、との意見のようです。
個人的にも同感です。
そもそもこのUIですが、どうみてもオッサン向けじゃないですか。
指先でメッセージを書くのが苦手だから、音声で入力できたらいいな・・・みたいな。
オッサンにありがちな発想から始まっているように感じます。
もっというとシニア向け商品って感じもします。
このUIからはお堅いイメージしかわきません。
キラキラ感、ワクワク感がない。
TicTocやMOMOみたいな、なんかヤバい感じがないんですね。
ワンチャンなさそうっていうか(笑)
開発者のLuo氏は元英語教師ということですし、アリババのジャック・マーと経歴が似てます。
ジャック・マーはエンタメにとことん弱い。ビジネス向けサービスは強いんですが、対消費者向けサービスは弱い。
WechatやLINEは、ここら辺のバランスが上手くとれているなぁと感じます。オフとオン、どちらにも利用できる感じで。
とりあえず、個人的にはこの子弾短信は、今後のUIの進化に繋がる一歩を示してくれた記念碑的な作品になるんじゃないかと見てはいますが、このアプリがWechatの牙城を今すぐ壊すようには思えません。
ただひとつ、このアプリでみえてきたことは
スマホ向けの演算処理装置に改善させる余地が見つかったこと。
現状のSnapdragonではこういった処理に特化できていないはず。AIをガシガシ動かすためにも、もしかしたら中央演算でなく別ユニットがしばらくは必要かもしれない。
そこに商機が出てくるんじゃないか?と感じました。
何はともあれ、スマホはまだまだ進化できる余地がある。
それが示されただけでも、今回の子弾短信の価値はあると思います。
今後の動向が楽しみです。