米中貿易交渉の邪魔をしたのは誰なのか?~「航行の自由作戦」と関係?

米中貿易交渉の邪魔をしたのは誰なのか?~「航行の自由作戦」と関係?

 

 

米中貿易協議不成立の背景に「航行の自由作戦」?

米中貿易交渉がほとんど頓挫しかかっています。

市場ではまだ妥結の可能性があるなどと予想する向きもあるようですが、現実味がないように思います。

個人的にはこの一報を聞いた時から、協議成立可能性は1割程度でしかないとみていました。

米中貿易交渉決裂で関税25%へ?トランプ大統領の意図は?~中国側は対応をミスった可能性

この記事の中で、

「ギリギリで回避できる可能性も、やや残っています。」

と書きましたが、協議成立への期待はほんとその程度でしかありませんでした。

1割程度の確率で、もしかしたら回避できるかも?

というのが個人的な見解でした。

市場ではいまだにディール成立の可能性に期待する向きがあるようですが、個人的にはそういう見方は希望的観測すぎるとみています。

 

 

さて、今回の貿易交渉がこじれた原因、前回も書いた通り、この背景には中国側の態度変化があったと言われています。

報道によると中国側は協議成立の直前になって文言の修正を要求したとのことですが、その中身が何とも酷い・・・

 

中国政府は、知的財産・企業秘密の保護、技術の強制移転、競争政策、金融サービス市場へのアクセス、為替操作の分野で、米国が強い不満を示していた問題を解決するために法律を改正するとの約束を撤回

19/5/9~1~米中貿易交渉決裂の背景が明らかに/中国貿易統計4月

 

・・・ほぼすべての争点であり、中国側は協議の根本的な修正を要求してきた形になります。

 

米国側は今回の交渉で、あえて中国の産業補助金分野に関しては、あまり強く要求してこなかったそうです。

そこを争点にしても全く妥結めどが立たないことをライトハイザーUSTR代表はわかっていましたから、ディールを求めるトランプ大統領の手前、そこは無理に要求しないようにしていたようです。

 

トランプ大統領のこれまでの態度からして、ディールを求めていたのは確かです。

それが激怒してちゃぶ台ひっくり返すレベルですから、かなり酷い信義則違反があったのだと思われます。

たぶん、この報道にたいする否定コメントが一切流れていないことからして、たぶん正しいのでしょう。

さて、では中国側はなぜこんな態度を取り始めたのか、そこが一番興味深いところです。

 

自分はこの背景に、「航行の自由作戦」があったのではないか?

と見ています。

 

 

米海軍第7艦隊は、昨年のペンス演説のあたりから、「航行の自由作戦」を活発化させています。

中国は南シナ海の南沙諸島周辺海域を自国領内として主張していますが、

「航行の自由作戦」とは、こうした中国側の主張を無視して、米海軍にその海域を通過させるというものです。

また、米艦隊は南沙諸島だけでなく、台湾海峡の通過もこのところ頻繁に行っており、かれこれ6カ月?毎月のように艦隊を通過させています。

経済問題では米中でディールの気配を漂わせながら、安保問題では一切引く気がないことをアメリカ側は示していました。

 

とくに、貿易交渉が行われる直前にあわせるようにしてこの「航行の自由作戦」が行われることが多く、中国側はいら立ちをしめすようなことが度々ありました。

 

 

中国は、共産党がトップの支配体制です。

その下に、政府と軍があります。

軍と政府は一体化しているようで、していないことが多い。

統治機構が他の国とは違います。

 

 

今回、中国政府はディールに前向きだったはずです。

李克強首相は現実的な解を求める政治家であり、馬鹿じゃありません。

 

 

しかし、実質的な交渉の窓口になっている劉鶴副首相は習近平国家主席(共産党トップ)が政府に送りこんだ人物でした。

あくまでも習近平国家主席の意向を伝えるための特使として交渉してきました。

それが意見をころっと変えたとしたなら、習近平国家主席自身がディールに後ろ向きの姿勢になったということを示している可能性があります。

 

今回、劉鶴副首相は取引のためにワシントンを訪問する、問題を回避したいと言っているようです。

これが習近平国家主席の意向をふまえてのものなのか、そうでないのかわかりません。

一説には、国家主席の特使としての立場ではなく、中国政府として訪問するだけとの報道もあります。

それはつまり、中国の最終的な意思決定機関である共産党を代表していないということに等しい。

 

ぶっちゃけ、中国の国内で意見が統一されていないようにみえます。

この背景には、軍なのか、習近平なのか誰なのかわかりませんが、米国と本気で対峙しようとしている向きがある可能性があります。

 

今回、一番危険なのは中国共産党側がファイティングポーズを取り始めたことです。

それは本当に危険だと思います。

以上。