2019年夏G20における米中首脳会談の行方~苦しいのはトランプ大統領~中国は原理原則論を貫く可能性

2019年夏G20における米中首脳会談の行方

 

G20にあわせて米中首脳会談を強く求めたトランプ大統領

いよいよG20です。

これにあわせて米中首脳会談が行われます。

今回の交渉ですが、個人的には、苦しいのはトランプ大統領だと思っています。

トランプ大統領は振り上げた拳の落としどころが見つからず、

「G20で会談できないなら関税ひきあげるぞ」

と脅しました。

自分達の態度が強硬すぎたせいで、G20で会うことすら難しくなってしまったことを悟り、

「せめてG20で会うだけでも会ってくれ」・・・という態度です。

なんとも情けない話ですが、それがすべてを物語っています。

 

 

G20米中首脳会談におけるトランプ大統領の本音

とりあえず、米中首脳会談は行われることになりましたが、さてどうなるか。

 

トランプ大統領は本音では追加関税25%の引き上げに消極的です。

この追加関税の発表があって以降、米政府に対してさまざまなロビイングが行われ、またとり急いで小売業者による分析なども行われました。

全米小売業協会(NRF)、対中追加関税による消費者負担を122億ドルと試算~一世帯当たり100万円超の負担増に~

もちろんその多くが、追加関税引き上げのヤバさを伝えるものです。

端的に言って、今のアメリカ経済に追加関税25%を受け止められるだけの強さはありません。

25%を全製品にかけたら米国経済はほんとおかしくなります。

たぶん家計が耐えられません。

 

トランプ大統領の本音としては、

ちょっとでも中国側が譲歩してくれれば、それを理由に関税延期などを発表して国内強硬派にも配慮しておこう

そんな感覚でいると思います。

 

しかし、そんなトランプ大統領に対して、中国は冷や水をかけています。

 

 

G20米中首脳会談にあわせて中国が発表した原理原則

中国は今回の米中首脳会談に対して、前提論を持ち出しました。

それは、

「ファーウェイへの制裁をやめろ」

というもの。

ファーウェイというより、スパコンなど全般が対象だと思われます。

ファーウェイ制裁は既定路線だった可能性~前川レポート後の日本と酷似

神威・太湖之光の開発元、無錫江南計算技術研究所(National Supercomputing Center in Wuxi)への制裁から透けてみえるトランプ政権の本音

 

アメリカがこうした禁輸措置を続けるなら、中国としては話をする気がない、という態度です。

 

 

 

G20米中首脳会談、中国側は喧嘩腰

しかしアメリカ政府にとって、これらスパコンや5Gおよびファーウェイ関連への制裁は経済・通商だけの問題ではなく、

安保や、もっというと覇権主義の根幹にかかわるものであって、易々と応じられるものではありません。

 

アメリカ側として呑めないだろう提案のわざわざ中国側はしてきています。

中国としては、お前がやる気ならやってやるよ、という態度です。

 

 

 

G20米中首脳会談、強気な中国と妥協したいトランプ大統領

個人的にみて、今回のG20米中首脳会談、中国側はやたらと強気です。

たぶんそれは、民主主義国家でないことのおかげです。

ぶっちゃけ、中国は共和制みたいなもんです。

上級国民たちのための国家です。

 

対してアメリカは民主主義国家ですから、ある程度のところで妥協しなければ厭戦気分の高まりから政治が持ちません。

現在の民主党側候補者を眺めれば、民主党政権に移行した場合の左傾化は避けられそうにありません。

共和党の構成員たちは金持ちが多いですが、これらの懐をえぐる可能性がある。

もちろん、そのなかにはトランプ大統領もいます。

何としても民主党政権への移行は避けたいはずです。

トランプ大統領としては、とにかく景気悪化に伴う人気の離散と大統領選再選失敗だけは避けたい。

 

個人的な見通しとしては、

1.中国側のちょっとした妥協を理由に関税導入延期がメインシナリオ

2.決裂したことを受けた場合でも、国内景気に配慮して10~15%程度の関税引き上げ

ではないかと思います。

いきなり全品目25%はさすがに厳しいです。

もしそんなことになったら、阿鼻叫喚ではないでしょうか。

以上。