10日の株価急落後にトランプ大統領がコメント。利上げ方針を堅持している「FEDはキ〇ガイになった」と批判~まるでトルコのエルドゥアン大統領のよう・・・という話
2018年10月10日の米国株市場はダウ、ナスダック、S&P500の3指数揃って急落しました。
これを受けて、アメリカのトランプ大統領は、場が引けたあとに記者会見をしています。
それによると
まぁ、一国の大統領がFEDとFRBの違いについて理解をしていないのはまぁトランプ大統領らしいのでいいとして※1
とりあえず「Crazy」っていうのはなかなかインパクトがあります。
ようするに
「(金利を引き上げるだなんて)FEDはキチ〇イになったな」
というわけです。
※1・・・FED(Federal Reserve System)、FRB(Federal Reserve BankもしくはFederal Reserve Board)
今回の場合、トランプ大統領が言いたかったのはたぶんFRB、Federal Reserve Boardのはずです。
これは、パウエル議長の中立金利発言をもとにした長期金利上昇傾向を受けた発言だと思います。
パウエルFRB議長、中立金利水準を超えて利上げを進める可能性ある
米十年債利回り推移5分足
パウエル議長は「2%をオーバーシュートを許容する」ハト派スタンスとみられてきましたから、これに驚いた債券市場は急落(利回り急上昇)しました。
年内もう一度の利上げは当然として、来年以降の利上げ回数も上昇するのでは、という懸念が広がりました。
これを受けて以降、株式市場も軟調な展開となってきました。
こういった展開を受けての、トランプ大統領の「FRBはクレイジーになった」発言なわけです。
個人的にも、まぁトランプ大統領の気持ちはわからないでもないです。
たしかに、今までパウエル議長が言っていたことと全く異なることを言っているように聞こえました。
それで、問題ですが、
今回のトランプ発言でFRBは利上げを止めにくくなった。
ということです。
トランプ大統領の願いに反して、利上げは止まりにくくなるのです。
アメリカはあくまでも金融当局が独立している、という前提にあります。
トランプ大統領の発言を受けてであろうが、独自判断であろうが、ここで利上げを先送りしたら、その独立性を放棄したとみなされかねないわけです。
もし仮に、いま株価が急落して、しっぽが胴体を振り回すような・・・つまり世界経済が後退に陥るリスクが急激に高まったとしても、ここですぐ利下げしたらトランプ大統領の圧力に屈したとみなされかねません。
そのような判断をすることは、(仮に必要なことであったとしても)かなり厳しくなるでしょう。
アメリカはトルコとは違います。
トルコのエルドゥアン大統領はことあるごとに金利上昇を邪魔しようとします。
エルドアン大統領はイマーム養成学校出身~そもそも金利に否定的な可能性~
トルコ中銀はステルス利上げをチョボチョボやってどうにかこうにか頑張っています。
でもアメリカは、そんな小手先なわざをできるようなシステムになっていません。
よりシンプルな金利調節手段しかないのです。
トランプ大統領は、景気が後退したら習近平とパウエル議長のせいにするのかもしれません。
しかし、そのどちらの火種もトランプ大統領が自らばら撒いていることには、そろそろ気づいてほしいもんだなぁと思います。
以上です。