『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA)』にトランプ大統領署名~台湾、インド、東南アジアなどへの兵器輸出を目論む米国

『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA : Asia Reassurance Initiative Act )』にトランプ大統領が署名

 

 

『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案( ARIA : Asia Reassurance Initiative Act )』が発効~米国の兵器輸出が活発化へ

対中国を念頭に、中国の周辺諸国への経済・軍事支援を行うことを盛り込んだ『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA : Asia Reassurance Initiative Act )』ですが、

トランプ大統領がこの法案に12月31日署名したことで成立しました。

 

『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA)』に反発する中国

トランプ大統領による『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA)』への署名に対し、中国は新年早々に反発姿勢を示しています。

習近平国家主席は1月2日の年頭所感の演説で台湾問題について言及。

本年が「台湾同胞に告げる書」の発表から40周年にあたることもあり、再度台湾問題について5項目を示して融和と牽制の姿勢を示しました。

習氏、中台統一で軍事力行使を排除せず 「一国二制度」も迫る

この中で、同胞への攻撃はしない、しかし独立を支援する勢力には攻撃する、ような発言を習近平国家主席は行っています。

これは明確に、『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA)』を年末に署名したアメリカのトランプ大統領へのメッセージと言えるはずです。

 

 

 

『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA)』とは?

『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA)』は、インド太平洋地域における米国の立場を明確に示し、同盟国および新たに同盟国にしようと狙っているインドなどの国々に、自国のスタンスを見せるためのものとなっています。

大まかにいうと、

  1. インド太平洋地域における米国の安全保障上の利益
  2. インド太平洋地域における米国の経済的な利益
  3. インド太平洋における米国の価値観

を促進するために何をしていくか、ということになります。

これは、先日のペンス副大統領発言などにもありますが、米国の対中国脅威論の表れと言えると思います。

東シナ海における米中関係緊迫化のなか、ペンス副大統領が訪日へ

 

 

 

『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA)』における中国海洋進出への懸念

上記三つを促進するために障害となっているものとして、中国の南沙諸島などへの海洋進出を指摘して牽制。

近年中国は南沙諸島の環礁を埋め立てて滑走路を建設、基地推進をしたり、インド洋の港湾を借款のカタに取り上げるなどして海洋進出を加速。

そうした動きを『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA)』はけん制しています。

 

 

 

『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA)』における同盟国の扱い

『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA)』では日本、オーストラリア、韓国などのインド太平洋地域における同盟国との関係を強化することを明記しています。

防衛協力、軍事協力の強化を推進していくことが謳われており、これは以前からの路線と同様です。

 

 

 

『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA)』におけるインド、台湾との関係性

むしろ『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA)』においてはインド、台湾への言及の方が重要でしょう。

対中国包囲網を作るにあたり、インドとの関係強化は『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA)』におけるキモとなっています。

(なお、自分はインドは米国側に降らず、独立姿勢を貫くとみています。)

また、台湾は対中国の最前線基地として米国には扱われており、先般成立している台湾旅行法における高官交流の促進などともあわせ、軍事的な関係強化などさまざまな分野で関係強化が図られています。

 

 

『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA)』における大統領の貿易協定締結権限

『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA)』では、大統領に対して2国間、多国間貿易協定の交渉に関する権限を大幅に拡大することを許しています。

これにより、USTRの果たす役割化が拡大することが予想されており、対中国を念頭にモノ・サービス分野の貿易・通商関係が進展することが期待されています。

(個人的にはそう簡単に進まないと見ています。)

 

 

 

 

『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA)』における人権や市民の自由、法の支配、民主主義的価値観の共有への言及

『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA)』では価値観、イデオロギーの部分に関しても言及がなされています。

ようするに、中国は異質な価値観の持ち主であり、アメリカはそういった価値観に対抗する勢力を結集するぞ、といった意気込みを感じます。

 

で、とりあえず『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA)』は何がいいたいの?

で、ぶっちゃけた話、『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA)』は何がいいたいんでしょうか?

ざっくり言ってしまいましょう。

それは、

兵器を売りつけたい

ということです。

すべてはそれに尽きます。

なにもイデオロギーだのなんだのと理想論を語ったりするために『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA)』なんてまだるっこしい物を作ったわけじゃありません。

危機感を煽ることで台湾、インド、東南アジア各国に米国製の兵器を買わせたいのです。

 

 

 

『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA)』で防衛装備品売却は進むか?

先に書いておきます。

『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA)』で台湾への防衛装備品売却は進むでしょう。

台湾はここもと兵器購入をアメリカ側に打診しています。

また、日本も最新鋭の装備品購入を求めていますから、日本への防衛装備品売却は増えるはずです。

 

しかし、インドはどうなるか微妙です。

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インドはあくまでも米国とロシア、中国から等距離を保とうとしています。

欧米資本はウェルカムですが、政治的にはつかず離れずでいこうとしています。

兵器購入にしたて、S-400などをロシアから大量に購入しています。アメリカが猛反発しているのに。

こうしたことから、インドは今後も対中国の封鎖に参加するようにはみえません。

 

『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA)』は成立したが、台湾の蔡英文政権は持続可能か?

蔡英文率いる与党民進党は先日の地方選で大敗を喫しました。

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明らかに台湾国民の目線は経済成長に向いており、そのためには中国との緊張関係の継続は好まれていません。

中国政府の掲げる民族統一への反発はありますが、アメリカの求めるような強硬路線への参加というのもまた、現実味のない話でしょう。

 

 

 

 

『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA)』で通商問題は進展するか?

『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA)』における3つの大目標のうちの一つ、通商問題における大統領権限の拡大ですが、これが有効活用されるようには到底思えません。

対中国への締め付け策として機能するはずだったTPPから離脱したのはアメリカです。

こういった多国間システムを嫌がっているのがトランプ大統領であり、個別ディールの拡大はあったにせよ、決して多国間協議への再開はないと思われます。

 

 

 

 

『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA)』における米国のイデオロギー浸透は実現するか?

今回の『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA)』における三つの大枠のうちの1つが、米国の掲げるイデオロギーの実現となっています。

中国共産党の推進する専制的支配体制へのイデオロギーに嫌悪感を示し、米国のイデオロギーを普及させていきたいようです。

 

しかし、個人的にはこれも空回りすることが予想されます。

アジアの多くの国では、中国的な専制的な支配の方が為政者に好まれます。

アメリカが何をいったところで、ミャンマーやカンボジアは変わらないでしょう。

タイやベトナムもずっとあの調子でしょう。

監視ツールと正規兵の制圧能力の拡大により、以前よりも市民の反乱は抑えやすく、管理しやすくなっています。

アメリカの理想はたぶん実現不可能だと思います。

 

 

『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA)』に中国がどれだけ反発を示すかが重要

とりあえず、『アジア再保障推進法/アジア再保障イニシアチブ法案(ARIA)』は米国とその同盟国などにとっては、既存の延長線上でしかありません。

大きく何かが異なるということは、あまり期待できないと思います。

ただ、これに中国側が過剰に反応して、米中貿易交渉を流そうとしたら、それはマーケットに反応が出るはずです。

市場はすでに米中貿易交渉が進展することを期待していますから、それに反することがおきると過剰に反応するとみています。

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以上です。