そんなに言うならフランス政府が日産自動車株を買ったらいいじゃない?

もう面倒臭いからフランス政府が日産自動車株を買ったらいいんじゃないの?って話

 

 

 

フランス政府が、ルノーと日産自動車の経営統合を求めているそうです。

フランス、ルノーと日産統合要求ー報道

ですが、フランス政府のこの思惑とは対照的に、日産自動車経営陣側は現在の株式保有比率を変更し、ルノーと日産との関係を平等なアライアンス状態にしたいそうです。

平等なアライアンス状態というのはあまりにも抽象的な概念です。

具体的に言ってしまえば、ルノーが日産株を売却するか、日産がルノー株をあと10%買い増しして、ルノーの持つ日産への議決権を消滅させてしまいたい・・・ということのようです。

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しかし、日産側のそんな要望を聞くほど、ルノー側はお人よしではありません。

そもそもにおいて、ルノーは日産が倒産しかけた時に資本を大量に出して助けてくれた恩人。

それにたいして出て行ってくれ、というのは虫が良すぎる&道義的に問題ありでしょう。

 

そもそもルノーの持ち株比率が消えても、安定株主のいない日産自動車

そもそもの問題として、日産自動車がルノー株を10%買い増ししてルノーの議決権を消したとしましょう。

そうしたときに、日産自動車の株主構成はどうなるのでしょうか?

株主名 持株数
(千株)
ルノー エスエイ 1,831,837
ザ チェース マンハッタン バンク エヌエイ ロンドン スペシャル アカウント ナンバー ワン 144,232
(注)
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 132,178
日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口) 111,423
日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口9) 56,771
日本生命保険 54,029
日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口5) 45,974
ステート ストリート バンク ウエスト クライアント トリーティー 505234 41,895
日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口1) 33,421
日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口2) 32,863

 

日産自動車の大株主は上記のようになっています。

43.4%のルノー持ち株が消えたとしても、その次は外資のチェースです。なお、このアカウントがどういった投資口を背景にしているのかは外部からはみえません。

その次の3つの口座も信託口です。ファンドなどが裏にいますから、経営への注文は厳しいものが予想されます。

6位にようやく日生が入ってきますが、これすら機関投資家ですから経営に対する注文は同様です。

そのあとの4つの口座も同様に機関投資家でしょう・・・

どう考えても、ルノーがいなくなれば余計に経営への監視はきつくなるとおもわれます。

 

もしもルノーの議決権がなければ、日産の株主構成はどうなる?

所有者別状況で見ても、ルノーが43.4%、ルノーを除く外国人が18.6%、個人16.1%、金融機関16.8%、国内法人2.0%、証券会社2.4%です。

仮にこの状況でルノーの議決権がなくなると、外国人の持ち株比率は33.3%、個人28.8%、金融機関が30.1%、国内法人3.6%、証券会社4.3%となります。

確かに外国人比率が低くなるので経営の自由度は増しそうにも思えます。

しかし、機関投資家の比率は相変わらず高く、スチュワードシップコードで縛られている現在、かつてのような馴れ合いによる現経営陣支持の議決権行使は確実ではありません。

また個人投資家の支持も広範に集められるかは疑問であり、経営は安定しない可能性があります。

 

 

だったらいっそフランス政府が買いまくれば解決するんじゃないの?

ぶっちゃけ、資本関係上はルノーが日産を支配するのが当然です。

「首領(ドン)への道」というシミケン(清水健太郎)が主演したVシネマがありましたが、あの作品のなかで舎弟の城之崎(五味龍太郎)は

「五分はあかん。えてして兄弟は相克する。一家にドンは二人いらん。」

と桜井(シミケン)を諫め、一度は五分の兄弟分として盃を交わした金沢(中野英雄)に舎弟になるよう迫らせます。

自分はヤクザの世界はよくわかりませんが、これはどこの社会でも言えたもんだと思います。

五分はいかんです。

きっちり上下つけた方がうまくまわります。

かつてチトー政権下のユーゴはうまく回っているように見えましたが、結局チトーの死去後に内戦に突入しました。

現在のルノー日産は、ゴーンという重しがなくなり、舎弟の日産がしゃしゃり出ている状況です。

この状況をおさめるためには、ルノーが日産株を買い増しするのが一番手っ取り早い・・・しかし、どうやらそれをすると相互密約RAMAに反するということです。

【日産】改定アライアンス基本合意書(RAMA)は親子上場の弊害を表す最たる例【ルノー】

ルノーが日産株を買い増ししはじめた途端に、相互の関係が破綻したとみなして、日産も取締役の選任などで対抗し始める可能性があります。

 

であれば、外部の投資家がガッツリと日産自動車株を買いまくって、ルノーとの協議でうまいこと話しをつければ、すべてまるく収まるんじゃないの?

という気がします。

少なくとも、無為に時間ばかり過ぎるのは何の得策にもなりません。

さっさと上下のケジメをつけて西川一味には出て行ってもらったら、すんなりうまく纏まるのではないかと思うのですが、どうなんでしょうか。

もちろん、これをフランス政府がやるか、どこかのアクティビストファンドがやるか、そこらへんはまた別の話として。

誰かがやってやったら、上手くいくんじゃないかなぁと思うのですが。

あまいですかね?

以上。