相場がファンダメンタルズを反映しない理由
相場は、往々にして行き過ぎます。
高くなり過ぎたり、安くなり過ぎたり。
その理由は、相場参加者の多くが、実際にはろくに知らずに、雰囲気で投資をしているからだと思われます。
昨日朝、テレビ東京の朝の情報番組、モーニングサテライトをみていましたら、引けたばかりのNY市場からつなぐ形で、マキシムグループの久野誠太郎さんというプロの投資家の方が出演されていました。
お名前は存じませんが、それなりに有能な方のようです。
マキシムグループの久野誠太郎さんは、以下のようなことをおっしゃっていました。
「特に目を惹きましたのが半導体製造装置ザイリンクスとワイヤレス機器向けの半導体メーカー、スカイワークスソリューションズがあげられます。キーワードは5Gネットワークです。」
なお、この様子は以下の公式サイトでもごらんいただけます。
以下、転載させていただきますと
半導体関連の決算が注目されているが、久野氏が今回の決算シーズンで注目したのも半導体関連。特に目を引いたのが、半導体製造装置の「ザイリンクス」と、ワイヤレス機器向けの半導体メーカー「スカイワークス・ソリューションズ」。キーワードは「5Gネットワーク」。ザイリンクスは売上高が大きく伸び、通信部門の41%の増収が貢献した。これは5Gネットワークの導入が増えたことによる恩恵だとしている。
このような主張をされています。
たぶん、半導体関連のお仕事のかたは、ピンと来たと思います。
ザイリンクスはPLDの会社であって、半導体製造装置関連銘柄ではありません。
【XLNX】ザイリンクス(XILINX)2018年Q3決算、業績、株価
そう、マキシムグループの久野誠太郎さんのようなプロの投資家の方ですら、この程度の認識で投資を行っているのです。
ザイリンクスの株価はここもと非常によく上がっています。
ピョーンとあがっているから、マキシムグループの久野誠太郎さんも気になったのでしょう。
どうしてザイリンクスを半導体製造装置と認識したのかはわかりませんが、とりあえず、
「なんかわからんけどよく上がってるな。」
「なんか半導体関連みたいだな」
「いちばんパフォーマンスよさそうだし、適当な理由をつけてかっとくか」
みたいな感じで回しているのでしょう。
技術分野の専門の方からみると、こういう浅薄な知識でちゃらちゃらとマネーを動かす人たちを嫌がるのでしょうけれど、相場の世界はそれでいいと思います。
とりあえず、群がっておけ、というイナゴ心理で投資を行うのは鉄則です。
重要なのは、周りよりも速く、早く動くことです。
マキシムグループの久野誠太郎さんは、それを守れているからプロとして食っていられるのでしょう。
いちいち勉強して、納得して動く必要なんてないんです。
とりあえずツマんで、あとから口実をつけたり、シナリオをくっつけたりするんです。
みんな、この業界ではそうやって食っています。
株価がファンダメンタルズから乖離する理由はまさにここにあると思います。
みんな、現実なんて理解していないんです。
とりあえず、みんなが怖がっていれば自分も怖がり、みんながウキウキしていれば、自分も陽気になってしまう、それが人間です。
中身がどうのこうのなんて、ほんとどうでもいいことです。
ITバブルの頃なんてまさにそれで、秋葉原のおっちゃんがやってるFreeBSDやLinuxマニアの集うショップが暴騰したりしました。
その銘柄を解説しているプロの方の話を聞いて、頭がくらくらしたのを覚えています。
曰く、「これからは無料OSの時代だ。FreeBSDは10年後には20%のシェアをとる」
その後の状況は、業界の方ならご存知でしょう。
みんな、わかってないことを分かったように思いこんで売買しています。
上がっていれば自分の知識は正しいと思い込み、下がっていくと間違っていたのではないかと不安になって、情報を探してネット検索しまくります。
もうどうしようもないな、となると泣く泣く手放します。
えてしてそういう時は、大きく大きく価値が乖離します。
みんなと一緒に強気になったり、弱気になったりしてちゃダメです。
自分の無知さを理解して、さささと動いてさささと逃げる。
これに限ります。
以上。