【5334】日本特殊陶業の業績・決算と株価~EV化時代にジリ貧化?売上のほとんどが旧世代製品~

【5334】日本特殊陶業の業績・決算と株価

今回は日本特殊陶業のについてみていきます。

日本特殊陶業はNGKのブランドでスパークプラグを製造販売しているほか、排ガスセンサなど、

ガソリン車・ディーゼル車向けの製品を幅広く扱っています。

同社は果たして自動車のEV化時代に生き残っていけるでしょうか?

とりあえず、まずは日本特殊陶業の事業内容からみていきましょう。




 

日本特殊陶業の事業内容

日本特殊陶業の事業内容は、以下のようになっています。

 

  • 自動車関連・・・スパークプラグ、排ガスセンサ
  • テクニカルセラミックス関連・・・半導体セラミックパッケージ、工具・機械・産業用セラミック

 

自動車関連はスパークプラグや排ガスセンサなどの製造・販売を行っています。

顧客は大手自動車メーカーなどのほか、補修部品として小売店にも販売されています。

自動車関連は同社の最大のセグメントであり、利益率も20%弱と非常に高い、金城湯池となっています。

しかし、スパークプラグも排ガスセンサも、ガソリン車、ディーゼル車向けの製品であり、いずれは需要減少が予想されます。

そして実際、ここもと利益率がやや低下しています。

この点が同社の問題点です。

 

日本特殊陶業は半導体向けセラミックパッケージや半導体製造装置向け製品、工具向けチップなどの製造もおこなっています。

しかし、半導体セラミックパッケージは万年赤字事業です。

半導体製造装置向けや産業向け事業は黒字ですが、事業全体からみれば小さい事業です。

他社との競争もあり、決して安泰な事業でもない。

同社は次の事業の種をみつけるのに苦労しています。

 

 

 

日本特殊陶業は森村グループ

日本特殊陶業は森村グループの一員です。

森村グループについては

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日本特殊陶業の業績

日本特殊陶業の2018年Q4業績は、売上増加、営業利益減少

営業利益率が低下しています。

 

この背景にあるのは自動車事業の利益率が長期的に落ちてきていることにあります。

これは日本特殊陶業についてはかなり深刻な問題です。

自動車メーカーはEV化投資を拡大させており、そういった方面に研究開発費及び設備投資を膨らませています。

自動車メーカーは自動車部品メーカーにたいして値下げ圧力を強くくわえており、自動車部品メーカーは全体的に利益率を低下させています。

とくに、日本特殊陶業の扱うスパークプラグは利益率が高い。

こうしたものは叩かれやすい状況です。

 

他の事業セグメントもみてみましょう。

半導体向けセラミックパッケージは酷いものです。

この事業は長らく利益を出していないと思われます。

オーガニックパッケージとセラミックパッケージ、どちらにも一長一短がありますが、同社の製品はすでにメインストリームから落ちています。

続ける意味があるのかどうか、考え直すべきではないでしょうか。

 

工具向けなどのセラミックはそこそこ利益を出していますが、そもそもにおいてそんなに大きな売上規模ではありません。

日本特殊陶業には、次の事業の種が育っていません。

 

 

日本特殊陶業の業績推移です

ここもとほぼほぼ横ばいで推移しています。

未来の無さがみてとれます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本特殊陶業の株価

日本特殊陶業の株価は、はっきり言って安いです。

バリュエーションはヒストリカルにみてもPER10倍前後が常態化していますし

EV/EBITDAでも6~7倍と非常に低い

キャッシュフローの動向も安定しています。

 

しかし、はっきりいってこれは日本特殊陶業の将来性のなさを反映したものと言えると思います。

同社の収益のほとんどはガソリン車やディーゼル車向けの製品から上がっています。

将来的にはこれはなくなっていくでしょうから、日本特殊陶業への投資を考えたばあい、あくまでも投資資金を何年分で回収できるか、といったバリュー系のアプローチになると思います。

 

企業統治さえしっかりしていれば、10年以内に投資資金を回収できる現在の株価は非常に安いです。

「魅力的な投資先がないのなら、ちゃんとキャッシュを株主に返す」

という、欧米ならばあたりまえの経営がなされるのであれば、日本特殊陶業の株価は安い。

しかし、企業統治がおかしくて、得られたキャッシュをよくわからないような研究開発や設備投資につぎ込むような経営をするのであれば、日本特殊陶業の株価は高い、といえます。

 

つまり、財務的な内容よりも、非財務的な内容の方が重要な局面になっていると思います。

個人的には、漫然とセラミックパッケージ事業の赤字を垂れ流す同社の経営スタンスにはやや疑問を持っています。

もしこういった不採算事業を切り離し、リストラし、今よりも多くの資金を株主に還元していくのなら

(実際、自社株買いも配当ももっと大量にできるはずです。)

日本特殊陶業の株価は安い、と評価されると思います。

以上です。

 

 

なお、上記はあくまでも個人的見解です。

特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。

投資にあたっては自己責任でされるようお願いいたします。