「豊田正和は経産省のドン」と言い切った太田泰彦・日経論説委員

「豊田正和は経産省のドン」と言い切った太田泰彦・日経論説委員

 

日産社外取締役・豊田正和は経産省の天下りではなくドンみたいな人

昨晩(2019年9月16日)のBSテレ東10時からの日経プラステン

特集は、日産自動車のガバナンス問題

 

そのなかで本題の合間に、太田泰彦・日経論説委員が放った言葉に非常に衝撃を受けました。

既存メディアで、ここを叩いたのはたぶん初めてじゃないかと思います。

 

以下、自分が書き起こした内容です。

聴き取りにくい箇所などやや不鮮明なところもありましたが、できる限り忠実に再現したつもりです。

間違いがあれば訂正させていただきますので指摘おねがいします。

 

「豊田さんって方はね、社外取締役っていっていますけど、要するに経産省の人ですよ。しかも経産省の天下りっていうんじゃなくて、経産省のドンみたいな人ですよ。で、西川さんをたてつつ、盾にしてね、ルノーと対峙するっていうのが日本政府のスタンスだったので、豊田さんと西川さんが組んだっていうか、まぁ、そういうシナリオだったような気がするんですけどね。」

 

 

豊田正和のパワーが落ちている証左か

周囲の人は誰もが知っているけれど、誰もが口にできなかったこと。

アンタッチャブルな内容に踏み込んだ一言でした。

個人的にも、豊田正和氏は経産省の非常に有力な人物だと思っています。

日本の原発外交戦略を立案したのも同氏であると言われていますし、東芝や日立、三菱重工などを巻き込んでいったのも同氏であると言えるでしょう。

このあたりの事情については以前、以下の記事に書きました。

日産自動車が17日にも新たな会長選任へ~経産省出身の豊田正和社外取締役が主導か

再生可能エネルギー拡大に反対し、原発行政の拡大を推進してきた人物です。

日経新聞も豊田正和氏をヨイショしまくっており、当時は非常にいいイメージの記事しか出てきませんでした。

 

ただ、日経新聞の報道姿勢も徐々に変化してきています。

今回の日産内部の権力闘争のゴタゴタはいろいろとリークされていますが、日経は豊田正和に関してあまり良いことを書いていません。

 

 

西川氏の早期辞任の流れがほぼ固まるなか1人が異論を唱えた。日産幹部によると、経済産業省出身で指名委員会の委員長を務める豊田正和氏が「もう少し時間をかけて後任を選んでもいいのではないか」と提案した。多くの出席者は納得しない。「1カ月で決められないか」の問いかけに「うーん……」と豊田氏はしばらく黙り込んだ。そして「2カ月、10月末までならばなんとかできる」と絞り出した。西川氏の早期辞任が事実上決まった瞬間だった。

(2019年9月11日 日経新聞朝刊 日産苦悩のリセット(上)取締役会、西川氏に引導――「辞めろと言われるとは」。)

 

 

8月2日、日産とルノーの資本構成の見直しに関する協議のメールを入手したと米紙が報じると、日産の幹部陣に衝撃が走った。ルノーとの交渉内容もさることながら、日産側の交渉当事者として西川社長らと並んで社外取締役の豊田正和氏の名前が書かれていたからだ。日産の西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)は仏ルノーのジャンドミニク・スナール会長と電話やメールで日常的に連絡を取り合う執務スタイルだ。トップ同士が直接話すことが多く、最高幹部ですら最新の状況は知らされない。経済産業省出身の豊田氏は、腹心の幹部がいない西川社長にとって絶大な信頼を寄せる数少ない人物の一人だが、具体的な動きは多くの幹部にとって寝耳に水だった。

(2019年9月12日 日経朝刊 日産苦悩のリセット(中)「密室経営」10カ月、孤立した西川氏――「社外」重用で不満広がる。)

 

このような報道が日経から出てくるということは、もはや豊田正和氏にパワーがなくなっているということでしょう。

原発行政でケチがついて、再エネ政策でケチがついて、日産自動車でケチがついた豊田正和氏

 

いま起きていることは、おぼれる犬を叩きはじめた段階です。

日経も、太田泰彦氏も、手のひら返しが上手だなぁと感心します。

ほんと厭らしい。

 

豊田正和の転落で日本の経済政策・産業政策に変更がおきる可能性

とりあえず、こうした論調の変化は今後の経産省内部の力関係にも影響するはずです。

それはつまり、日本の産業政策・経済政策の変更をも意味します。

一番影響するのはまずエネルギー分野でしょう。

そして次にありうるのが、市場による支配に関してどの程度を許すのか、というあたり。

豊田正和氏は、かなり親方日の丸な方だったと個人的には認識しています。

国家による企業支配を良しとするイデオロギーの持ち主、と個人的にはみています。

それが変化していく。

 

個人的には、1960年代の資本市場に戻っていく過程なのかもしれないと、みています。

そんなあたりから日本株を眺めると、非常に面白いことに気づくと思います。

端的にいえば、大買収合戦時代の到来もあるのではないか、という話です。

詳しくはいずれまた書きます。

以上です。