日産自動車が17日にも新たな会長選任へ~経産省出身の豊田正和社外取締役が主導か
経済産業省出身の豊田正和社外取締役が日産会長人事選定を主導か?
日産自動車がカルロス・ゴーン元会長の後任会長を選任する方向で調整しているとのことです。
後任会長は現在の取締役から選任されることになっており、社外取締役3人によってその選定が行われるとのことです。
この社外取締役ですが、経済産業省出身の豊田正和、レーシングドライバーの井原慶子、ルノー出身のジャンバプティステ・ドゥザンから構成されており、経産省出身の豊田正和が委員長を務めているとのことです。
なお、会長後任は西川広人社長の兼任で調整すると既に噂が広まっているとのことで、既成事実化を図る動きが出てきているようです。
豊田正和社外取締役は西川広人を推すも、ルノーとのアライアンス基本合意書では会長はルノー側からと約束
日産がルノー側と取り決めているアライアンス基本合意書(RAMA)では、日産の会長はルノー側がたてることになっているとのことです。
【日産】改定アライアンス基本合意書(RAMA)は親子上場の弊害を表す最たる例【ルノー】
フランスのルメール経済相も日産の会長人事はルノー側が主導すべきと発言しており、このあたりをどう判断されるかが重要なポイントになってきています。
経済産業省出身の豊田正和社外取締役に公平な判断ができるか?
今回の日産会長の後任人事ですが、その選定を行う委員会の委員長を経済産業省出身の豊田正和社外取締役が担うことになっています。
経産省という省庁は、基本的に親方日の丸の国粋主義者の集まりみたいな省庁です。
今回のカルロス・ゴーン放逐は、当初からフランスでは日本政府および経産省と西川一派による国家ぐるみのクーデターとの見方がありましたが、もし仮に今回、豊田正和社外取締役が西川もしくは日本側に都合のいい人材を日産会長の後任に据えようとした場合、大きな波紋が広がるように思われます。
国家ぐるみの企業乗っ取りとして海外で報じられ、日本のイメージが大きく毀損する可能性には注意が必要です。
豊田正和社外取締役は有名な原発推進派~過去には再生可能エネルギーに否定的なコメントも~
豊田正和社外取締役という人物は、天下り役人として経産省の省益の代弁ばかりしてきたような人物なのではないか、と個人的には懸念しています。
福島第一の事故があったあとに日本エネルギー経済研究所の理事長に就きますが、日本記者クラブの会見では
「“2030年代に原発稼働ゼロ”という目標が盛り込まれているが、これに対しては重大かつ深刻な懸念を持つ。」
「原子力の安全性に対する信頼を回復することが必要で、そのためには原子力安全規制の国際標準に戻るのが一番よい。今回の福島第一原発事故については政府の責任は大きいと思っている。独立性のある規制機関がなかったことが問題だ。経産省の中に原子力の推進官庁と規制官庁である原子力安全・保安院の両方が入っていたのは、国際原子力機関(IAEA)による10の基本安全原則にはずれている。」
再生可能エネルギーの拡大も具体的裏付けに欠ける。
と発言。日本記者クラブ主催記者会見(2012年9月27日)から
原発廃止を訴えるのではなく、原発行政の組織変更で困難を乗り切るべきとのアイデアを提案。
再生可能エネルギーの普及に対しても現実的ではないと切って棄てるような態度を示しており、先見性のなさを露呈しているようにみえます。
日産自動車はリーフなどのEVでエコなイメージがありますが、この豊田正和という人物からは、そうした清潔なイメージを受けるでしょうか?
経産省出身の豊田正和社外取締役にバランス感覚を求めるのは酷~下手したら国際的な問題に発展しかねない~
とりあえず、この豊田正和社外取締役という人物は、甘利や北畑などと同様に、経産省らしい経産省人材なのではないか、という疑念は付きまといます。
様々なしがらみもあるでしょうし、決断はどうしても経産省の意向を反映したものになりがちではないでしょうか。
今回もまた、外交や金融行政全般にはほとんど目もくれず、経産省の省益にのみコミットしていく可能性が高く、それが日本全体の利益に反することになりかねないのではないか・・・そんな風に懸念しています。
以上です。