ペンス副大統領の対中演説、2回目は腰砕け気味

ペンス副大統領の対中演説、2回目は腰砕け気味

 

ペンス副大統領がふたたび対中演説

マイク・ペンス副大統領がウィルソンセンターにて、ふたたび対中演説を行いました。

 

前回、2018年10月4日に行った対中演説では、そのほとんどが中国共産党のdisりに割かれており、

「米中の対立は貿易戦争から安全保障・覇権争いに発展した」

と多くの人々に知らしめることに繋がりました。

 

演説初期においてはあまり材料視されませんでしたが、そのあと徐々に

「鉄のカーテンがおろされた」

「ABCD包囲網がまた始まる」

という分析がひろまり、米中対立ここに極まれりといった感じになっていきました。

 

その時の様子は以下に纏めてありますのでごらんください。

東シナ海における米中関係緊迫化のなか、ペンス副大統領が訪日へ

 

で、今回のペンス副大統領の対中演説なのですが・・・

個人的に予想してはいましたが、やはり、

「腰砕け」

でした。

 

 

ペンス副大統領の対中演説第2弾は腰砕けぎみ

今回のペンス副大統領の対中演説ですが、完全に腰砕け気味だったと思います。

 

質問箱に以下の質問をいただきました。

https://twitter.com/chu_sotu/status/1187626387798032384

ペンス演説に関しての感想を聴かせてくれ、とのことです。

質問箱のご利用ありがとうございます。

 

とりま感想だけは書きますので、あとは各人でいろいろ考えて相場張ってください。

個人的にはあまり多くの人に相場観を伝えるのはやめようと考えていて、相場観に関する部分はnoteに移行していっています。

(noteなら、何人読んだか眺めて、一定数になれば公開をやめることができますので。)

 

で、本題に戻ります。

今回のペンス演説は完全に腰砕けです。

あれやこれやと言ってますが、最終的な部分で

「中国を孤立化させるつもりはない」

「中国との対決は望んでいない」

「中国の指導部と建設的な関係を構築したい」

などと言っています。

 

ペ〇ス副大統領のタマが尽きた感じです。

 

これには、紆余曲折がありました。

 

 

ペンス副大統領対中演説2回目は延期されまくった

わかってる人はわかってると思いますが、一応書いておきますと、今回のペンス演説、何度も延期された結果のものです。

ペンス演説は今年春先、夏場頃にも行われる予定があったんです。

しかしそのたびに、米中の貿易協議がスケジュールに混ざっており、中国側を過度に刺激しないように、延期されてきました。

トランプ政権内で何かあったもようです。

 

で、なんだかんだで前回演説から1年たった10月に、また演説することになりました。

しかし、その直前に流れが大きく変わり始めていました。

 

ペンス副大統領の演説前に、既にナバロが融和姿勢に転じていた

今回のペンス副大統領の演説ですが、個人的には「あぁ、融和姿勢に転じるだろうな」と見ていました。

というのも、政権内最強硬派であるナバロ補佐官が米中貿易協議の実現に前向きなコメントを先日していたからです。

この人が対中関係で融和的な姿勢をみせることは今までありませんでした。

常に強硬派でした。

それが変化している、ということ。

その背景には、たぶん、トランプ大統領の意向があるのは明白でした。

トランプ大統領は、対イランと対北朝鮮に厳しい態度を示していたボルトンを外しました。

それと同じく、ずっと強硬路線を貫いていたら自分も外されるかもしれない、とナバロは思ったかもしれません。

とにかく、先日めずらしく、ナバロがしおらしくなっていました。

あぁ、これは政権の方針が変化したな、と感じた次第です。

なお、ナバロについては以下で書いていますのでよろしければごらんください。

米中貿易戦争は持続可能か?~ピーター・ナヴァロ著「米中もし戦わば」

 

 

そして今回のペンス副大統領の演説。

完全に、トランプ政権は対中貿易戦争の矛をおさめたい、という姿勢がみえてきています。

 

この背景にあるのは、次期大統領選を見据えた動きでしょう。

 

 

ペンス副大統領やナヴァロの思惑

トランプ大統領は2期目もやりたいんだと思います。

そして、ナバロはそこに絡みたいと思っているはずです。

なぜなら、対中戦争は残り1年では終わりようがないから。

第2期にもこの戦争をつづけるためには、いまトランプ大統領に負けてもらっては困るし、自分がトランプ大統領から外されてもいけない。

だから融和姿勢に転じたとみています。

 

本質的な部分では、米中の覇権争いは終わっていません。

しかし、いったん休戦しないとヤバい・・・とみているんでしょう。

大統領再選の可能性も、自分のクビ的にも、そして実体経済的にも・・・いま対中貿易戦争を棚上げにしなければ、マズいことになるとみているんじゃないかと思います。

 

民主党では、バイデンのスキャンダルが明るみになってエリザベス・ウォーレンが大統領候補レーストップになっています。

彼女がもし大統領になったらどうなるか?

かなり大企業にとってフレンドリーでない状況になるのは目に見えています。

とくにやり玉に挙げられるのはエネルギー、金融、大規模IT企業など。

共和党の金持ち連中にとっては非常に都合が悪い。

 

エリザベス・ウォーレンみたいな左派が選ばれるはずがない、と多くのアナリストは予想しているようですが、個人的には彼女は経済的に見ると左派ではない、とみています。

リーマンショック後の処理の仕方に文句をつけているあたり、より自由主義経済の信奉者的な一面もあります。

茶会連中とも思想的には親和的な部分があり、ヘルスケア分野の主張を控えれば目がないわけでもない、ようにみています。

 

まぁ、このあたりはまだどうなるかわかりません。

とりあえず、トランプやカーターが大統領に選ばれるような国だということは、意識した方がいいはず。

個人的には、共和党の金持ち連中はビビっていると思います。

だから、ラスベガスサンズのアデルソンは米中貿易戦争の早期終結を訴えたのだと思います。

 

 

ペンス副大統領の対中演説を中国側はどう捉えるか?

今回のペンス副大統領の対中演説は、間違いなく融和姿勢への転換です。

中国指導部はこれを受けて、今度10月28日からの四中全会でいろいろと話し合うと思います。

 

トランプ大統領は、来月のAPECで首脳会談を行い、ある程度の落としどころで合意を急ぎたいところでしょう。

果たして中国側がこれを呑むかどうか。

 

トランプ大統領の二期目をお膳立てしたとして、二期目にまた貿易戦争が起こされたら意味がありません。

そして、そうなる可能性は十分にある。

 

中国側はそんなわけですから、米国側が受け取りにくいボールを投げると思います。

それはたぶん、ファーウェイ問題でしょう。

ファーウェイへの不当な扱いをやめるなら、貿易戦争をやめてもいいよ、と言ってくる可能性が高いと思います。

もっというと、ファーウェイを見殺しにしたまま、合意をするようなことは考えにくい。

それは国家のメンツ的にも×です。

 

そして、ファーウェイ問題への対応は、かなりセンシティブです。

米国側としてはファーウェイは封じ込めておきたい筆頭格です。

これを野放しにするのはかなりの決断が必要です。

 

個人的には、そんな感じのシナリオを考えています。

とりあえず、あとは皆さんで考えて相場を張ってください。

以上です。