中国旅行サイト「同程芸龍」のIPO規模が1/4以下に

IPOバブル崩壊~中国旅行サイト「同程芸龍」新規公開による調達規模が1/4以下に~

 

同程芸龍が新規上場へ

テンセントも出資する中国のオンライン旅行サイト「同程芸龍」のIPOですが、当初想定していた調達金額の1/4にも満たないことになりそうです。

Tencentbacked Chinese travel firm slashes HK IPO size amid weak …

 

同程芸龍IPOの条件規定書によると、売却株式数は1億4300万株

仮条件は9.75~12.65香港ドル

調達額は最大でも2億3300万ドルにとどまる見通しとのことです。

 

同程芸龍の資金調達は当初予定の1/4以下

これは同程芸龍と、出資者のテンセント、シートリップ側が当初予定していた最大10億ドルの資金調達の予定からすると1・4以下です。

これは、昨今の軟調な新規公開株市場を受け、資金調達規模を小さくしてでも、一株当たりの価値を高める戦略に走っているようにみえます。

一株当たりの価値が高く評価されていれば、出資者側の帳簿にのる価値は高くなりますが、逆に調達金額を増やすために低く設定すれば、出資者側の財務にネガティブな影響を与えてしまいます。

そういった、出資者側(同程芸龍であればシートリップやテンセント)の意向を汲んで、調達規模を絞ったのだろうと思われます。(これは私見です)

 

同程芸龍の事例からみえる今後のIPOマーケット

今回の同程芸龍の事例からみえる今後のIPOマーケットの行方としては、かなり暗雲が漂っているなぁという感じがします。

仮に今回、発行額を低く抑えることで一株当たりの株価を高く維持したとしても、割高なものはいずれ値下がりするはずです。

であれば、その下がった時には出資者側に評価損計上が求められるかたちとなり、それが出資者側の財務に影響してくることが予想されます。

 

ちなみに、この動きについては、当ブログでは今年5月8日の記事で指摘させていただいておりました。

中国のIPO市場に天井感が台頭

 

また、10月11日にもフォローアップ記事を書きましたが

スタートアップバブル・ユニコーンバブルの崩壊に注意~アリババ、ソフトバンクからみえること~

 

とりあえず、どちらに関してもそう大きく外していないはず、と思います。

 

同程芸龍以外にも相次ぐIPO調達規模縮小の流れ~宝宝樹(Baby Tree/ベビーツリー)

最初の記事にもありましたが、今回のIPO市場の急減速を受けて、アリババ傘下の育児コミュニティサイト宝宝樹(BabyTree/ベビーツリー)はIPOに関する会見をとりやめ。

テンセント傘下のテンセント・ミュージック・エンタテインメント(TME)も上場延期とのことです。

今後も同様の動きは相次ぐと思われ、少なくとも金融市場の面からは、イノベーションの芽がひとつ掻きとられることになりそうです。

とりあえず、今後もこの話題は見ていきたいと思います。

以上。