マイクロン・テクノロジー(Micron Technology)、SKハイニックス、サムスン電子の反トラスト法違反行為の証拠が大量に見つかったと中国当局者
マイクロン・テクノロジー、SKハイニックス、サムスン電子がDRAMでカルテルか?~中国政府が捜査中
米半導体大手、マイクロン・テクノロジー(Micron Technology)と韓国半導体大手、SKハイニックス、サムスン電子の三社を対象に反トラスト法違反容疑で捜査をしてきた中国当局ですが、違法行為を示す大量の証拠が見つかったと発表しています。
当局は引き続き捜査を継続するとのことで、今後の行方が気になるところです。
マイクロン・テクノロジーにとって中国は大のお得意様
中国は世界最大のDRAM消費国であり、世界のDRAMの2割は中国で消費されるといわれています。
(消費と言っても、何かの製品になって最終的にはアメリカなどに還流するのですが。)
マイクロン・テクノロジーにとってもそれは同じことで、同社の売り上げのうち、約半分は中国からの需要です。
つまり、もしこの不正が認定されることになると、マイクロン・テクノロジーの業績には多大な影響が及ぶことが懸念されます。
中国政府は自国内半導体メーカーを育成中~マイクロン・テクノロジーのライバルに~
中国は大量の製品を輸出していますが、その部品は海外から輸入しているのが実情です。
半導体の約7~8割は海外からの輸入に頼っており、そのため、中国の輸入品目にしめる半導体の比率は大きく、じつは原油などエネルギー資源の輸入額よりも大きいのが実情です。
中国政府は自国内で半導体を作ることを目指しており、多額の補助金を使って国内メーカーを育成中です。
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今回のマイクロン・テクノロジー、SKハイニックス、サムスン電子へのカルテル捜査は、こういった状況下でおきたことです。
マイクロン・テクノロジーとJHICCとUMC
上記の件をふまえ、今回の中国当局側の圧力の背景にあるものを挙げておかねばなりません。
それは、以下の記事です。
中国半導体メーカー福建省晋華集成電路(JHICC)に対し、米国が輸出管理規則(EAR)に基づく制限措置を発動へ~本格的に中国企業をハブり始めた!
先月末、米国政府は福建省晋華集成電路JHICCに対する米国製半導体製造装置の輸出を禁じました。
これは、福建省晋華集成電路JHICCがマイクロン・テクノロジーの特許を勝手に使っているから、というものでしたが、現在四方の場で係争中の事案を使って政府が頭越しに制裁をする、アメリカならではの制裁方法でした。
今回、摘発の対象になっているのはマイクロン・テクノロジーであり、この福建省晋華集成電路JHICCの件と絡めて考えると、なんとなく背景が見えてくるように思います。
米中貿易戦争の犠牲になるマイクロン・テクノロジー
今回のマイクロン・テクノロジーの件、実際にカルテルがあったかなかったかはまだ定かではありません。
ただ、いまおかれた状況からするに、米中貿易戦争の犠牲になった側面もありそうに思います。
今後、こういった事例が他の企業、たとえば半導体製造装置などの分野にも広がっていく可能性があります。
すでに、中国当局による日本の工作機械メーカーへのカルテル捜査などは始まっているとされ、これも同じような理由なのかな、と感じています。
中国政府が日本の工作機械をダンピング調査~中国製造2025実現のための技術移転を狙ったもの
とりあえず、米中貿易戦争はまだまだこういった鍔迫り合いを続けるでしょう。
影響を見定めながら、歪みを見つけていけばいいと思います。
以上です。