【私見】アマゾンがぜんぜん安くない~ネット販売は絶え間ない消耗戦に突入か~
ブラックフライデー期間中のネット販売28%増、実店舗は客足減少
今年もブラックフライデーがやってきました。
アメリカでは毎年、感謝祭の当日から翌週月曜日までの期間は大量にモノが売れます。
とくに感謝祭のあとの金曜日はすべての店舗が黒字化することからブラックフライデーと呼ばれ、この日の売上がアメリカの小売現場の景気を占う、大切な一日となっています。
この小売業にとって極めて重要なブラックフライデーですが、今年はいつもの年に輪をかけて、大きな変化が起きているということです。
ブルームバーグがアドビ・アナリティクスとJLLのデータを引用する形で伝えたところによると
ブラックフライデー、ネット販売が出足好調-実店舗からは客足遠のく
今年のブラックフライデーはオンライン中心に移行しているとのこと。
具体的には、オンライン売上高は前年同期を28%上回る一方で、JLLの管理する東海岸の大型モールでは62%あまりが客足は前年並み、13%近くが前年より減っていると答えたとのこと。
電気製品などはネット販売が主戦場になっており、実店舗は試着したり、手に取って確かめたい商品の販売に移行しているということです。
私見:オンライン販売中心の時代に勝ち残る企業はアマゾンとは限らない
この記事を見て「アマゾンは安泰だ」と思ったら間違いだと思います。
むしろ、今後小売りの現場がネットに移行するにしたがって、より重要視される要素が何なのかを考えてみたなら、アマゾンが勝ち残ると考えるのは早計です。
消費者は価格に敏感~アマゾンを使うとは限らない~
自分はアメリカの実店舗の販売現場がどのような値付けをしているのかわかりませんが、ネット販売の価格を見る限りでは、アマゾンが最安値のものもあれば、ウォルマートやターゲットなどの方が安いものもあるようです。
日用品などが特にそうですが、これらオンライン販売後発組がマーケティング費用をかけてシェアを奪いにきているのが2018年Q2Q3あたりの決算から見えてきていると思います。
これはアメリカだけでなく、日本も同様です。
日本ではアマゾンをヤフーショッピングが追撃か
日本ではヤフーショッピングの利便性が非常に高くなっています。
ヤフープレミアム会員(ソフトバンクの携帯を利用している場合無料)ですと、利用頻度によっては10%程度が常にポイント還元されます。
このポイント還元分を含めて考えると、アマゾンよりも最近はヤフーショッピングの方が安いものが多いように感じます。
また、楽天なども同様に安いものがあります。
後発組は短期的な利益減少を気にせずアマゾン追い上げへ
ヤフーショッピングは、自社のマージンをガシガシ削ってアマゾンのシェアを奪いに来ています。
あらたにQRコード決済のPayPayなども始めましたが、こちらも多額のマーケ費用と還元費用をつぎ込んでいるようです。
PayPay(ペイペイ)が100億円の大盤振る舞い~12月4日から支払い分の20%還元へ~
こうした攻勢を後発組がかければかけるほど、先行組のマネタイズは遅れます。
実際、アマゾンの日本国内事業は業績が良くないといわれていますし(これは租税上の問題かもしれませんが)、他の国でもネット販売事業は業績があまりよくないのでは?と言われています。
(アマゾンは、ここら辺のデータをあまり見せようとしません。投資家にフレンドリーな会社ではない、と思います。)
勝者総どりの環境ではアマゾンも選択肢のひとつでしかない
思うに、ネット販売っていうのは勝者総どりなんだと思います。
一番安く提供できる企業が、ぜんぶをとっていく。
それがわかっているから、ネット販売の現場では、常にお得感を感じさせるようにクーポンやポイント還元が乱発されていく。
このような商売の場合、結局行きつくところはマージンゼロまで突入していくということ。
中国のJD.comが特別利益を除いたベースで業績悪化したり、アリババの業績の伸びが落ちて着るのも、間違いなくそういった影響だと思います。
人々はまだ、オンライン小売に夢を持ち過ぎです。
市場規模が右肩上がりだから、オンライン小売は高成長産業だと思われています。
この神話はいつか崩れるのではないかとみています。
以上です。