インド州議会選で与党インド人民党(BJP)が大敗~モディ政権は露骨なバラマキ政策へ~
インドの5つの州議会選挙でナレンドラ・モディ首相率いる与党インド人民党(BJP)が大敗
インドの5つの州で行われた州議会選挙で、ナレンドラ・モディ首相率いる与党インド人民党(BJP)が大敗を喫しました。
来年の総選挙の前哨戦として注目されてきた今回の州議会選挙を落としたことで、ナレンドラ・モディ首相の前途に暗い影が差し始めてきています。
与党インド人民党(BJP)が15年間支配してきた3州を落とす~ナレンドラ・モディ政権の退潮鮮明化
今回の州議会選挙では、これまで与党インド人民党(BJP)が15年間に渡り多数派をキープしてきた中部マディヤ・プラデシュ州、中部チャッティスガル州、西部ラジャスタン州の3州でも大敗、過半数を割り込む状況になっています。
これらの州は特に2014年の選挙で党の躍進を後押しした州であるだけに、ナレンドラ・モディ政権の退潮を印象付ける状況となっています。
なお、南部テランガナ州、北東部ミゾラム州、は地域政党が過半数を突破しています。
国民の6割を占める農家の支持を得られないナレンドラ・モディ首相と与党インド人民党(BJP)
今回、ナレンドラ・モディ首相率いる与党インド人民党(BJP)が大敗した5州は農業人口を多く抱える州です。
インドは国民の約6割が農家であり、農家の票を失っているということはそれだけ政権の存続性を危うくする事態ということになります。
過去には高い経済成長を達成したバジパイ政権なども農業票の取り逃しで政権崩壊に至っており、モディ政権の今後も似たものになるのではないかとの観測も生まれてきそうです。
高い経済成長率を訴えてきたナレンドラ・モディ首相と与党インド人民党(BJP)
ナレンドラ・モディ首相率いる与党インド人民党(BJP)の政権は今回の州議会選挙において、2014年の就任以降に高い経済成長率を達成してきたことをアピールにしてきました。
一人当たり名目GDPでみると1576→1939ドルへと増加しており、確かに経済成長はかなり進んでいます。
しかし、その主張が農村部に住む人々には届かず、今回の大敗に繋がっています。
このことは、インド経済の発展が中間層の富裕化によるものであり、農村部の人々の生活はあまり改善していないことを示している可能性がありあmす。
インドは連邦制。上院議員は地方議会で選出~ナレンドラ・モディ首相率いる与党インド人民党(BJP)は上院議席を減らす可能性
インドは連邦制の国です。
上院議員は選出方法がややこしいのですが、大多数は地方議会での選出に寄ります。
つまり、今回の与党インド人民党(BJP)の大敗により、上院議会の議席数も減らすことになりそうです。
実質的に下院優位とはいえ、これは政治的混迷に繋がりかねません。
#ElectionsWithNews18: As Congress outperforms BJP in #Chhattisgarh, #Rajasthan and #MadhyaPradesh, the map of India isn't saffron anymore. A look at the changing hues of a new political landscape. A @News18Graphics visualization. pic.twitter.com/eL49EfQAOJ
— News18.com (@news18dotcom) December 12, 2018
ナレンドラ・モディ首相およびインド人民党(BJP)は露骨なバラマキ政策に転換か?
ナレンドラ・モディ首相率いる与党インド人民党(BJP)は7月、農家から政府が買い取る農産物の最低保証価格を引き上げるなど、積極的なバラマキ策を打ち出し始めています。
また、9月には貧困層向けの健康保険制度を導入して貧困層の不満に応えようともしています。
最近では、インド準備銀行に介入してパテル総裁を辞任に追い込み、後任に自身の政策に忠実に従う元財務次官のダース氏をつけるなど、住宅金融部門を通じた露骨なバラマキ政策を推し進める構えを示しています。
ナレンドラ・モディ首相率いる与党インド人民党(BJP)の大敗をマーケットはむしろ好感
ナレンドラ・モディ首相率いる与党インド人民党(BJP)の大敗をむしろマーケットは好感しているようです。
上記はBSE30ですが、選挙戦以降上昇しています。
来春の総選挙に向けて、ナレンドラ・モディ首相および与党インド人民党(BJP)は積極的なバラマキ策に転じる可能性を好感しているとのことです。
とりあえず、今回の地方議会選挙の結果から見えるのは
「インドの経済発展の恩恵が、一部の上位層のみに偏っている」
という可能性です。
インドは長らく民主主義が定着しており(ネルー家への暗殺などは頻発しましたが)、とりあえず、農村部の人々は自分たちが豊かになるためには投票に行くことが重要であると認識しているそうです。
以前、なんだったかの番組でみましたが、インドでは農村部のほうが投票率が高いとのこと。
今回の一件をみると、それが真実なのだろうなと思います。
来年の総選挙に向けて、ナレンドラ・モディ首相および与党インド人民党(BJP)は露骨なバラマキ策をとるのでしょう。
それがインドの長期的な発展にとって良いのか悪いのか、そこらへんはよくわかりませんが。。。
以上。