フランスがデジタル課税を来年1月に導入~黄色いベスト運動への妥協による財政悪化懸念の回避のため
フランスがデジタル課税を来年1月から導入へ
フランスが独自にデジタル課税導入を目指すとのことです。
この理由としては二つあります。
- GAAFAなどのデジタルプラットフォーム大手から税金をと立派ぐれているから
- 黄色いベスト運動への妥協によって財政悪化懸念がうまれているため
今回はこのフランスのデジタル課税導入問題についてみていきましょう。
フランスがデジタル課税を導入する理由1~GoogleやAmazonなどオンラインプラットフォーム企業による税逃れ~
フランスがデジタル課税を導入する理由その1は、アメリカを中心としたオンラインプラットフォーム企業(Facebook、Amazon、Google、Netflixなど)が租税の安い地域に拠点をおいて、フランス国内での事業から上がる利益に税金がかけられていないことが挙げられます。
欧州で活動する企業は主にアイルランドなど租税の安い所に拠点を置きますから、フランスなどの高税率の国々にとっては利益を吸い上げられるだけで、なんのメリットもない状況になっています。
EU全体でこの問題に対してデジタル課税導入を目指しましたが、今年中の協議締結が困難になったことから、フランスは独自に税を導入することになりました。
EUがデジタル課税/デジタルサービス税の導入を断念~フランスは独自に導入を目指す
フランスがデジタル課税を導入する理由その2~黄色いベスト運動への妥協のせいで財政が悪化
フランスではこのところ、黄色い蛍光色のベストを着て政治的要求を繰り返す『黄色いベスト運動』が広がっています。
『黄色いベスト』による反マクロン抗議デモ~燃料税よりも労働法改革が問題~
これに妥協するため、フランスのマクロン政権は一度決定していた燃料税の引き上げを凍結。
さらには政府補助による最低賃金引き上げや、社会保障税引き上げの凍結、今年冬のボーナス非課税、残業代への課税凍結などなど、かなりのバラマキを行うことを表明。
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これにより、フランスの財政が急激に悪化する可能性がでており、実際、試算によれば財政赤字は対GDP比で3.2%を超える可能性といわれています。
これはイタリアに対してEUが債務比率引き下げを求めている状況からしてマズい状況。
EUの二大強国のひとつであるフランスの影響力低下に繋がりかねず、これを避けるためにデジタル課税を導入しよう、という動きになっているようです。
フランスのデジタル課税導入の今後
なお、デジタル課税によるフランスの財政収支改善は5億ユーロ、640億円ちょっとでしかないとのこと。
当然これではフランスの今年の財政赤字からみたら焼け石に水。
たぶん今後引き上げられるかもしれず・・・というか、引き上げられる可能性が高く、FAANGの業績には転機が訪れてきている可能性があります。
昨晩のNY市場ではFAANGなど情報技術関連株が大きく下落しましたが、こうしたことを嫌気した部分もあるように思います。
とりあえず、FAANGは多くのファンドが所有していますし、時価総額が大きいためETFへの影響も非常に大きい。
世界的に広がるデジタル課税の流れが、パッシブ中心でまわってきた株式相場の重しになりかねない状況になっています。
以上です。