世界最大のEV電池メーカーCATL(寧徳時代新能源科技)とホンダが技術提携へ
CATL(寧徳時代新能源科技)とホンダがEV電池を共同開発
世界最大の電池メーカーであるCATL(寧徳時代新能源科技)が、日本国内(栃木県宇都宮市)に拠点を設立し、ホンダと車載向け電池の共同開発に乗り出すと日経新聞、ロイターなど各種メディアが報じています。
ですが、これは実は昨年5月24日に報じられていた内容の続報です。
18年5月24日午後NEWS 寧徳時代新能源科技股(CATL)が日本に本格参入
CATL(寧徳時代新能源科技)といえば中国の国策企業的な立ち位置の企業であり、そうした企業と西側陣営に属す日本企業ホンダが提携するというのは、当時も非常に驚きをもって受け止められています。
今回はこのあたりの事情についてもみていきましょう。
CATL(寧徳時代新能源科技)とホンダが提携、19年上半期に拠点設立へ
今回のCATL(寧徳時代新能源科技)とホンダの提携ですが、さきほども書いたように、一年ほど前から提携交渉が進められてきたものです。
共同開発を始めるのが、19年上半期ですから、もう資機材の調達などはめどがついているのでしょう。
ホンダへのEV用電池供給は中国のCATL(寧徳時代新能源科技)の工場から
今回の提携では、開発はCATL(寧徳時代新能源科技)とホンダが共同で日本国内で行いますが、生産は中国の工場で行うそうです。
ホンダとしては、あくまでも共同開発のみCATL(寧徳時代新能源科技)と組み、生産はお任せする、という態度のようです。
ホンダは内製化を完全に諦め、餅は餅屋に任せるという態度のようです。
ホンダはCATL(寧徳時代新能源科技)の他にもGSユアサ、パナソニックなどと提携
ホンダはすでにGSユアサ、パナソニック、GMなどともEV用電池で提携しています。
GSユアサとは共同出資のもとブルーエナジー社を設立して生産などもおこなっています。
今後、開発のみ共同で行い、生産はお任せするということになるなら、ホンダはこうした既存取引先との関係性も変えていくことになりそうです。
ホンダはCATL(寧徳時代新能源科技)から電池を調達し、2025年までに20車種のEV、PHVを中国に投入へ
ホンダは2025年までに20車種のEVとPHVを中国に投入するとのことです。
この大部分が、CATL(寧徳時代新能源科技)の電池を搭載した車種となる模様です。
ホンダは世界で販売するEV、PHVもCATL(寧徳時代新能源科技)からの電池調達に頼る方針
ホンダは今回、中国だけでなくアジア地域全体の供給に関してCATL(寧徳時代新能源科技)からの電池調達に頼る方針を示しています。
なにより、CATL(寧徳時代新能源科技)は原材料や部品の調達能力から供給能力まで非常に高水準にサプライチェーンをくみ上げています。
中国企業はコバルトの原産地のコンゴ民主共和国にガッツリと権益をもっています。
コンゴ民主共和国DRCのコバルト生産~少年兵と鉱山における児童労働
【統計】コバルト生産量と埋蔵量~DRC(コンゴ民主共和国)が世界生産の約2/3シェア【グラフ】
ニッケルの権益は中国系のステンレスメーカーがインドネシアで大規模なものを握っています。
そのコバルトやニッケルを用いて、インドネシアで正極材向け材料を生産する工場も作っています。
阪和興業、格林美(GEM)、青山控股集団、寧徳時代新能源科技(CATL)、IMIPなどとスラウェシ島でニッケル、コバルトなど電池材料大量生産へ
さらには、リチウムの生産企業のSQMなどにも中国企業が大規模に出資をしています。
リチウム生産大手SQM(ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリ)は天斉リ業に買収されるのか?
そうやって上流を握った中国系企業は、CATL(寧徳時代新能源科技)やBYDなどに原材料を下ろし、それら企業がリチウムイオン電池を作って、中国のEV生産に使います。
非関税障壁で守られた寧徳時代新能源科技(CATL)は中国製造2025を象徴する企業だ!
完全に上流から下流へのサプライチェーンができているわけです。
CATL(寧徳時代新能源科技)はホンダだけでなく、ありとあらゆるメーカーと提携
CATL(寧徳時代新能源科技)は上記のように、最大級のEV向け車載電池メーカーであり、サプライチェーンも完成した企業です。
こうしたメリットをみて、BMW、フォルクスワーゲン、上海汽車が真っ先に提携関係を構築。
さらには日産なども提携を深めており、もはやCATL(寧徳時代新能源科技)は中国国内のみならず、世界の電池サプライヤーとなりつつあります。
とりあえず、この分野は完全に日本企業も欧米企業も出遅れました。
規模感、コスト競争力の面で中国企業に負けています。
もしこれを逆転できるとすれば、新たなバッテリー技術の開発ができることですが・・・どうでしょう。
CATL(寧徳時代新能源科技)の開発陣にはオークリッジ国立研究所出身の方がいます。
論文の引用数もこの分野でトップクラスでしょう。
日本企業は全固体電池だとかやってますが、CATL(寧徳時代新能源科技)はとりあえず、三元系正極材&シリコン・グラファイト負極材で現実的な容量増加を目指す方向のようです。
個人的には、たぶん、CATL(寧徳時代新能源科技)の方がうまくいくように思います。
とりあえず、以上です。