インド総選挙 ナレンドラ・モディ率いる与党インド人民党(BJP)が地滑り的勝利~民族義勇団(RSS)によるヒンズー至上主義が蔓延る可能性
民族義勇団(RSS)によるヒンズー至上主義を煽って大勝したナレンドラ・モディ
非常に悪しき前例なったと思います。
半年前の予想を大きく覆し、インド総選挙は与党インド人民党(BJP)が地滑り的に大勝しました。
この背景にあるのがヒンズー至上主義です。
流れが直接変化したきっかけは、2月のカシミール地方の自爆攻撃と、その後の一連のナレンドラ・モディによる行動だと思われます。
カシミール地方での自爆攻撃を利用してヒンズー至上主義を煽ったナレンドラ・モディ
今年2月、インドが領有を主張しているカシミール地方で、インド側治安部隊員約40人が自爆攻撃によって殺害される事件が発生しました。
ナレンドラ・モディはこれに即座に対応。
インド空軍を利用して、パキスタン領内にある過激派武装勢力の根城と目される地域を越境空爆しました。
カシミールで起きたことを理由にパキスタンを空爆したのはやりすぎとの声も世界からは上がりましたが、
ナレンドラ・モディとしては、カシミールの分離独立主導勢力の背景にはイスラム教の過激派がおり、
それら過激派勢力を匿うパキスタンを越境攻撃しても許される、という主張のようです。
⇒インドがカシミール地方のパキスタン領を空爆~選挙を控えて弱腰をみせられないモディ政権
この行動と主張が、ヒンズー至上主義を信奉する有権者たちに届いたことが、今回の総選挙大勝の一番の理由と思われます。
ナレンドラ・モディは経済失政を民族義勇団(RSS)的ヒンズー至上主義で覆い隠すことに成功
ぶっちゃけた話、半年前まではナレンドラ・モディの与党BJPがここまで大差で勝利することを信じる人はいなかったと思われます。
なんせ、地方の州議会選挙で物凄い大敗を喫していましたから。
⇒インド州議会選で与党インド人民党(BJP)が大敗~モディ政権は露骨なバラマキ政策へ~
インドの選挙制度の仕組みからして、州議会選挙での議席の比率は国政にも影響してしまいます。
その大事な選挙を立て続けに落としていたのが、ナレンドラ・モディ率いるBJPでした。
この背景には、ナレンドラ・モディ政権の失政があります。
高額紙幣の廃止問題、農村部への振興が遅れている問題、ノンバンク破綻問題、中銀とのイザコザ・・・いろいろな問題があります。
⇒インド準備銀行(中銀)ウルジット・パテル総裁が突如辞任~背景にノンバンク問題などを巡るモディ政権との確執か~
⇒インド金融混乱~アチャルヤ副総裁がモディ首相批判、パテル総裁は辞任か?~
とりま、半年前に選挙やったら、BJPは都市部で票を確保して第一党は維持することはできても、地方票をかなり落としてかなり苦しい政権運営になっていたと思われます。
しかしそうならなかった。
ヒンズー至上主義バンザイというところでしょう。
ナレンドラ・モディが推し進めるヒンズー至上主義とヒンズー至上主義団体・民族奉仕団(RSS/民族義勇団)
ハッキリ言って、ナレンドラ・モディはヒンズー至上主義者です。
というより、与党BJP自体が、その発端からしてヒンズー至上主義と密接です。
BJPの母体となっているのは、ヒンズー至上主義団体・民族奉仕団(RSS)という組織です。
たぶん世界史を学んだ方なら覚えているかもしれません。
宗教融和を訴えたマハトマ・ガンジーを殺したのも、このヒンズー至上主義団体・民族奉仕団(RSS/民族義勇団)の団体の一員ナートゥーラーム・ゴードセーでした。
ナレンドラ・モディも与党インド人民党BJPのほとんどの構成員も、この反イスラム、イスラム憎悪の団体であるヒンズー至上主義団体・民族奉仕団(RSS/民族義勇団)をベースにしています。
ヒンズー至上主義者によるイスラム教徒虐殺を黙認した過去を持つナレンドラ・モディ
2002年、グジャラート州でヒンズー至上主義者による大規模な暴動が発生しました。
この時、ターゲットとなったイスラム教徒たちは1000人以上が殺害されましたが、これを州政府はほとんど黙認。
そして、この当時州政府の首相をつとめていたのが、何を隠そう、ナレンドラ・モディそのひとでした。
この件でアメリカは一時、ナレンドラ・モディのビザ取り消しをします。
しかし、その後は復活。
なぜか?
この背景に、対イスラムで繋がるユダヤ教団体とのつながりがあるのではないかと個人的にはみていますが、ここらへんは証拠があまりないので何ともいえません。
ナレンドラ・モディ率いるBJPおよびヒンズー至上主義団体・民族奉仕団(RSS/民族義勇団)はモスク破壊してヒンズー寺院を建立へ
ナレンドラ・モディ率いるBJPとヒンズー至上主義団体・民族奉仕団(RSS/民族義勇団)は反イスラムです。
そのことを隠そうとすらしていません。
むしろ、反イスラムこそが彼らの纏まりの軸であり、これを明確に示すことがヒンズー至上主義団体・民族奉仕団(RSS/民族義勇団)の存在意義となっています。
彼らは、対イスラムを掲げてモスクを破壊。(バーブリー・マスジド事件)
そのあとにヒンズー教の寺院を再建させようとしています。
彼らに言わせれば、タージマハルですらイスラム教の王朝によって作られた建物だから好ましくないそうです。
とりあえず、太古の昔のヒンズーの価値観で染め上げる、それがヒンズー至上主義団体・民族奉仕団(RSS/民族義勇団)とBJP、ナレンドラ・モディの目的。
彼らはそのための衝突は厭いません。
イスラム教徒が歯向かえば、それを殺します。
実際、先に書いた2002年の虐殺以外にも同様の虐殺が過去にたびたび発生しています。
完全に忘れ去られているあたりが恐ろしいところですが。
しかも、当時破壊したバーブリー・マスジドのあとに、ちゃっかり政府が支援する形でヒンズー教寺院が建てられることになっているのです。
ナレンドラ・モディ率いるBJPとヒンズー至上主義団体・民族奉仕団(RSS/民族義勇団)は対外強硬政策により国内結束へ
元来、ヒンズー教は階層構造で格差社会を固定化する宗教です。
その格差は世代をこえて続く格差です。
現代的な民主主義政治の価値観とは相いれず、ヒンズー教を母体にした政治思想が格差をこえて支持を受ける理由が本来はありえません。
しかし、今回は結束できた。。。
その理由は先に書いたように、イスラム教国であるパキスタンへの強硬姿勢。
これが見事にヒットしました。
今後、政治的に苦しくなるたびに、ナレンドラ・モディ率いるBJPは同様の政策をとるはずです。
そして、それはイスラム過激派を刺激し、大規模テロ攻撃や暗殺事件を引き起こすことになるかもしれません。
(個人的には、そうした理由で行われた攻撃をテロと定義することには大反対ですが。)
とりあえず、今回の総選挙での地滑り的勝利・・・決してインドにとって、そして周辺国にとって、好ましいことではありません。
与党大勝で株価は上がっています。
しかし、長期的に見た場合、インドは本当にいろいろマズい方向に向かいかねない・・・とみています。
以上です。