連邦退職貯蓄投資理事会(FRTIB)の中国株投資をやめるようマルコ・ルビオ議員などが提言~今後おきることは中国資本市場の隔離か~
連邦退職貯蓄投資理事会(FRTIB)の中国株投資を制限するよう提言
共和党の保守強硬派マルコ・ルビオ議員と民主党のジーンシャヒーン議員が連名で、
連邦退職貯蓄投資理事会(FRTIB)に対して中国株投資をやめるよう要請する書簡を送ったとフィナンシャルタイムズが伝えています。
US government pension fund urged to reverse China investment
米国の安全保障に害となる国、企業に対して、米国の軍人の年金予算が注ぎ込まれるのは好ましくないという意見のようです。
米中貿易戦争が過熱化するなか、金融面からも中国とのかかわりを切っていくように要求する流れとなっています。
予想通りの展開ではあるのですが、果たしてどのように連邦退職貯蓄投資理事会(FRTIB)がこれに応えていくのか、応えていけるのか、そこが問題になっています。
連邦公務員の確定拠出型年金(TSP)61兆円を運用する連邦退職貯蓄投資理事会(FRTIB)
連邦退職貯蓄投資理事会(FRTIB)が運用する連邦公務員向け確定拠出型年金(TSP)は、
約550万人の退職金を扱い、預かり資産61兆円(5780億ドル)を誇る規模ということです。
これは連邦公務員向けの運用機関としては最大級とのこと。
TSPはここもと中国株を含めた運用に乗り出しており、中国株が組成されたMSCI総合株価指数(米国除く)を加える方針を決めたばかりだったとのことです。
連邦退職貯蓄投資理事会(FRTIB)のMSCI総合株価指数投資に制限か?
MSCI(モルガンスタンレー・キャピタル・インターナショナル)が算出する株価指数にはいくつかの種類がありますが、特に新興国株投資や、世界の市場に連動した指数などは非常に利用価値が高く、ETFなどでもよく参照されています。
で、このMSCIなのですが、近年、中国株の比率を大幅に引き上げていく方針となっています。
⇒中国株(A株)の『MSCI新興国株指数』への採用拡大/組み入れ比率引き上げについて注意
【EEM】新興国の大型・中型株で構成するドル建て上場投資信託~iシェアーズ MSCI エマージング・マーケット ETF~
中国株(上海A株、深圳A株)がいよいよMSCI新興国株指数に採用~外国人持ち株比率2%のローカル市場に44兆円の買い需要発生か~
そもそもマルコ・ルビオ議員などは、こういったMSCIの方針にも反対しています。
今回の連邦退職貯蓄投資理事会(FRTIB)へのイチャモンは、MSCIを巡る中国株採用問題への回りくどい攻撃、といった面もありそうです。
連邦退職貯蓄投資理事会(FRTIB)へのイチャモンの行きつく先は、中国を除くMSCI指数算出か?
これは個人的な予想なのですが、将来的には中国株を除いた全世界インデックスの創設なども、MSCIに対して求められる可能性があるのではないかと見ています。
というのも、米国がいま中国と争っているのは貿易、通商問題です。
そして、これに絡めて為替問題が語られています。
しかし、本丸はぜったいに、金融だと思われるからです。
中国は、このまま成長していけば世界最大の資本市場になることは間違いないでしょう。
何十年、何百年かかるかは知りませんが、とりあえず時間の問題だと思います。
米国が現在、外貨を獲得する手段は何か?といえば、企業の(株式市場を通じた)売却です。
いわば、企業を輸出商品としているようなものです。
この仕組みの維持のためには、ドルの基軸通貨としての維持と、世界の資本市場における覇権を握っていることが重要です。
つまるところ、アメリカにとって中国の資本市場が発展することは好ましくないわけです。
今後、アメリカは中国の資本市場をターゲットにするはずです。
貿易から金融に展開していくのは時間の問題だと思います。
今回の連邦退職貯蓄投資理事会(FRTIB)への働きかけからは、そういった動きが透けて見えると思います。
以上です。