一部中央銀行による金準備保有量が増えているらしい
ロシアなど一部の中銀が米国債券から金(ゴールド)へ準備保有先をシフト
昨年の外貨準備を巡るニュースでは、中国の米国債保有高が一番関心をもって見られていたと思います。
しかし、そうした状況の背景で、ちくちくと進んでいたのがロシアによる米国債の売却です。
ロシアは、2017年12月の段階では、外貨準備に占める米国債保有が1000億ドルあったのですが、これが一気に報告義務外300億ドル以下の水準まで減少しました。
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この一方で、ロシアなどの中銀は金を準備保有しはじめており、実際に投資がひさしぶりに増加基調を速めているとのことです。
CHART OF THE DAY: Central banks bought last year the most #gold in 47 years, with 651.5 tonnes (74% higher y-o-y). This is the highest level of annual net purchases since the suspension of dollar convertibility into gold in 1971 | Full story on @TheTerminal #commodities pic.twitter.com/i9rAUptSM8
— Javier Blas (@JavierBlas) January 31, 2019
こうやってみるとサブプライムローン問題前後から金の政策保有量は増加傾向をたどっていますが、ここもとやや減速した流れを跳ね返し、昨年は大幅に金に資金が投じられたようです。
2010年前後の金の準備保有はインフレヘッジが主因
リーマンショック前後からの金の準備保有は、たぶんインフレヘッジの意識があったと思います。
あの当時は、インフレを懸念するような声が大きかった。
新興国が成長していくと、金属も資源も爆食して際限なくあがると言われていました。
金属資源価格も原油価格なども大きく上昇しました。
そういうコモディティ高につられて、金の保有も増えたのが2010年前後だと思います。
ここもとの中銀による金の準備保有増加は、米国への信認の低下か
ただここにきて、そうした流れ以外の金へのマネーフローが出てきているように思います。
それは一言で言えば米国にカネを預けておくことへの信頼感低下。
いつ何時、経済制裁を受けて預けていた米国債をチャラにされるかわかったものではない、という恐怖感。
トランプ政権の誕生以降、それが急速に意識されてきているようにみえます。
とくに米国の債券を保有する最上位国である中国に、米国から敵対的な行動がとられている・・・
そうした点も含め、米国に資産を預けるリスクを増加させているのではないか、という感じがあります。
今後も中銀による金保有はつづき、金価格は下支えされるか
今後も中国やロシアなどの中銀による金への投資は続きそうに思います。
高値を買い上がるような投資にはならないかもしれませんが、下値を支えるような買い方はされるのではないか、とみています。
とりあえず、金には金利が付きません。
そこが一つのデメリットではありますが、逆に価値の保存という点ではこれ以上ない強みを持ちます。
米国の覇権がゆらげば、ドルへの信認が落ちる。
米国の債券への魅力もおちます。
そうした時に金は一定の拠り所となります。
個人的にはあまり金への投資はすきではありません。
そして、大きく上がるようにも思えません。
しかし、下支えはかなりつよいのではないか、と見ています。
それゆえ、上に動き始めたら早いかもしれない、とみています。
とりあえず、金価格の動向には注意が必要です。
もしこれが大きく動く場合は、ドルへの信頼がガタガタ落ちている状況です。
ドル指数の大幅な低下、円高なども同時に起きかねませんので、その点をふまえて眺めておくと良いと思います。
以上です。