中国本土株大暴騰!・・・ただし上海A株、深圳A株と香港H株の動きの違いには要注意
中国本土株(上海A株、深圳A株)が大暴騰しています。
市場のニュースなどでは、この背景を
「トランプ大統領による追加関税導入延期」
「米中貿易戦争の解決期待」
などと報じられていますが、非常に視点が曇った解説だと思います。
中国本土株(上海A株、深圳A株)のチャート
上海A株 1日足
上海A株 一時間足
深圳A株 一日足
深圳A株 一時間足
中国本土株(上海A株、深圳A株)の背景に大規模量的緩和
ここもと、中国では非常に大量のマネーが市場にばら撒かれています。
そのことは統計にも出ていまして、先日も当ブログで紹介した通り
⇒【統計】2019年1月 中国新規人民元建て融資~社会融資総量残高が過去最高を更新 2019年2月17日
春節の前後の資金欠乏を防ぐため、過去最大級の資金供給を行いました。
これにより、新規人民元建て融資、社会融資総量残高ともに過去最高を更新。
昨年の今頃はデレバレッジだなんだのと叫ばれていましたが、
2018年1-5月中国固定資産投資 デレバレッジの動き始まったか?
そういった話はどこへやら、非常にじゃぶじゃぶな状態になっています。
これは中国人民銀行の政策スタンスからも明確で
⇒中国人民銀行・孫国峰金融政策局長『国内銀行に永久債発行を促す』 2019年1月22日
中国は、国有銀行に永久債を発行させ、それを保険会社に買わせることで、銀行の資本準備率を高め、保険会社の運用益を高める、国を挙げての循環トレードを実施中です。
さらには、中国政府は各金融機関および国有企業に対して、いわゆる財テクのような投資活動を解禁しています。
これらの資金が一気に流れ込むという期待が市場に広がっており、
こういった金融緩和が中国本土株(上海A株、深圳A株)の株価暴騰の最大の理由
となっていると、自分はみています。
もちろん、米中貿易戦争の解決期待などもないわけではないでしょうが、それはメインテーマではないでしょう。
ただ、ひとつ気になるのは、今回、
中国本土株(上海A株、深圳A株)は暴騰している一方で、香港H株がさほど上昇していない
ということです。
中国株はおもに中国本土株(上海A株、深圳A株)と香港H株にわけられます。
どちらも同じ中国の企業で、上場先が違うというだけの話なのですが、この動きが微妙に違ってきています。
香港H株 一日足
香港H株 一時間足
年初来安値からの回復でみれば、まぁ、深圳がトップであるのはわかるとして、上海と香港H株にさほどの違いはありません。
ただし、二月に入ってからの動きは中国本土株(上海A株、深圳A株)は暴騰している一方で、香港H株はほぼ横ばいです。
この違いは、まさに金融緩和の影響ではないかと思います。
中国本土株(上海A株、深圳A株)は基本的に国内投資家が主導する市場です。
だいたい個人が25.2%、一般法人が59.8%、投資基金2.9%、その他機関11.6%、外国人は2%程度となっています。
また売買代金でみるとこの傾向は顕著で、個人投資家が86.9%程度を占めている鉄火場となっているとのことです。(ニッセイ基礎研究所調べ)
なお、中国本土株(上海A株、深圳A株)に関しては、以下の記事も重要なのでご覧いただければ幸いです。
中国本土株(上海A株、深圳A株)をMSCI新興国株指数に採用
中国本土A株がいよいよMSCI新興国株指数に採用 ~外国人持ち株比率2%のローカル市場に44兆円の買い需要発生か~ 2018年4月28日
かなり昔に書いた記事なのでその後いろいろと進んできていますが、基本的な方針は当時から変わりません。
とりあえず、
中国本土株(上海A株、深圳A株)は、短期的にみれば個人投資家次第の鉄火場
と考えていいです。
ただ、長期的には機関投資家主導の市場になると思います。
値動きに非常に癖がありますので、その癖を見極めて、良いポジションをとっていくとよろしいかと思います。
なお、中国株に関しては以下のカテゴリーで扱っていますので、よろしければごらんください。
以上です。