中国の本音は構造改革持続・デレバレッジ~「標的型中期貸出制度TMLF」により金融政策はよりターゲットを絞ったものに

中国の本音は構造改革持続・デレバレッジ~「標的型中期貸出制度TMLF」により金融政策はよりターゲットを絞ったものに

 

中国の金融政策は「標的型中期貸出制度TMLF」中心へ

ここもと、中国株の頭が重たい展開となっています。

この背景に、ここもとの経済統計の好調さと、それによる金融緩和姿勢の転換観測があります。

【統計】中国2019年3月固定資産投資

【統計】中国2019年3月鉱工業生産指数

【統計】中国主要都市 新築・中古不動産・住宅価格2019年3月

【統計】中国不動産投資・住宅販売統計~2019年3月

 

 

中国の株価指標、上海総合指数はこれら統計が発表されたあたりから弱含み始めています。

ちょうどボリュームゾーンにも入ってきており、売られやすい状況にありました。

そのタイミングで好材料が出てきて、とりあえず売っておこうという動きでしょう。

直近、出来高も減少傾向にあり、エネルギーが落ちてきていることがみてとれます。

 

特に不動産セクターなどで大きく下げるものが目立っており、明らかに金融緩和のやりすぎに警戒感が出てきているようにみえます。

 

 

「標的型中期貸出制度TMLF」で中小向け融資をピンポイントで刺激したい中国政府

中国では経済政策をめぐり、中国政府と中国人民銀行(中央銀行)に微妙な温度差があります。

他の国と異なり、中銀は緩和傾向、政府は引き締め傾向を示しているのが面白いところです。

中国、経済政策をめぐり李克強首相と易綱人民銀行総裁のあいだに方針の違いか 2019年2月24日

19/3/18~3~中国、量的緩和せず・李克強首相

 

とりあえず、株価も不動産も、上げすぎと見られれば緩和姿勢変更が意識される展開となります。

背景にあるのは圧倒的な民間債務バランスの悪さ。

とりあえずここにきて中国人民銀行もすべてのターゲットに資金供給するのではなく、「標的型中期貸出制度(TMLF)」で資金供給するようにしてきています。(※1)

Economic Watch: TMLF operation underscores China’s targeted …

Central bank uses TMLF for market injection

当局はあきらかに、バブルの再燃は嫌がっています。

広範な金融緩和姿勢が続くとの見通しが市場に広がるのを嫌気しているようにみえます。

 

※1「標的型中期貸出制度TMLF」とは

「標的型中期貸出制度TMLF」とは国有企業に比べて貸し剥がしされやすい中小企業や民間企業を支援するために導入されたMLFのひとつ。

ターゲットを絞った政策にすることで広範なバブルを抑える意図も持っているとされる。

貸出期間は3年間

適用金利はMLFよりも15bbp低い水準を設定。

もちろんMLFがなくなるわけではないが、今後の資金供給はTMLFによる中小支援が重視されるとされている。

 

 

とりあえず、当局の姿勢の変化には、気を付けた方がいいかもしれません。

タカ派になったとまでは言いませんが、株高や不動産高による景気刺激は求めていない可能性が高いです。

李克強首相は減税中心で家計支援な政策を推し進めており、この効果をまずは見極める展開となるのではと思われます。

よほどのことがない限り追加緩和姿勢はなく、現状維持ではないかと思われます。

以上です。