米国がHuawei(華為技術/ファーウェイ)製通信機器の使用排除を同盟国に要請

米政府がHuawei(華為技術/ファーウェイ)製通信機器の使用排除を同盟国に要請~安全保障上の問題で~

 

米政府が安全保障上の問題を理由に、米軍が駐屯している日本、ドイツ、イタリアなどの政府とメーカーに、Huawei(華為技術/ファーウェイ)製通信機器の利用をやめるよう要請しているとのことです。

U.S. Urges Allies to Avoid Using Huawei Equipment, WSJ Says (2)

米政府関係者は、Huawei(華為技術/ファーウェイ)の通信機器に関する安全保障上の問題点を指摘。

いざという時にバックドアで遠隔操作される可能性があるため、Huawei(華為技術/ファーウェイ)製の通信機器は利用すべきでないとしています。

 

なお、この件は質問箱で質問された内容に追記して書いています。

https://twitter.com/chu_sotu/status/1065860656518156288

 

いつも質問ありがとうございますです。

 

 

 

 

Huawei(華為技術/ファーウェイ)ではないが、実際に過去には盗聴事件も

Huawei(華為技術/ファーウェイ)ではないのですが、実際に過去には通信設備機器メーカーが中国政府と協力して他国の通信傍受をしていたのではないか?と疑われる事例も発生しています。

アフリカ連合のビル建設や通信システム構築を中国に頼んだら、通信傍受されまくった・・・という事件です。

これを理由に、Huawei(華為技術/ファーウェイ)などを排除する動きがおきました。

雑感 中国によるアフリカ連合本部ビル盗聴とソフトバンクの5G展開

 

 

 

 

Huawei(華為技術/ファーウェイ)は基地局向け通信機器の最大手

Huawei(華為技術/ファーウェイ)は世界における基地局向け通信機器の最大手であり、4Gでトップシェア、5Gでもダントツの技術力を持っているとされています。

とくに5Gでは他国に先駆けて中国市場が5G投資を活発化させていることもあり(すでに中国では5Gの基地局投資が始まっている)、現時点ではHuawei(華為技術/ファーウェイ)は5G分野でほぼ競合のない状態にあります。

 

 

Huawei(華為技術/ファーウェイ)は多くの通信企業と提携

Huawei(華為技術/ファーウェイ)は5G技術における多くの特許を握っているとされ、また他社に比べて非常に安い通信設備ということで、ほとんどの国の通信企業と提携関係にあります。

世界初、中国企業が5G向け商用チップセット開発 3月8日

日本でもドコモやKDDIがHuawei(華為技術/ファーウェイ)と提携しており、おなじく中国系のZTEと近づいていたソフトバンクとあわせ、中華系通信設備企業とは密接な関係を築いてきました。

 

 

米政府は本気でHuawei(華為技術/ファーウェイ)排除を狙っている~ドイツは応じる構えか?

しかし、米政府は今回、本気でHuawei(華為技術/ファーウェイ)の排除を目指していると思われます。

すでに米国は独自に中国系企業の通信設備納入を拒絶しており、同盟国にもこれを要求。

ドイツはこれを受け入れる可能性があると、報じられています。

ノキアとエリクソンが西側の5G網構築を独占か? 9月12日

ドイツ政府、5Gインフラ調達からHuawei(ファーウェイ/華為技術)を排除か?~エリクソンとノキアには追い風 11月15日

 

 

日本でもHuawei(華為技術/ファーウェイ)は排除される?

なお、この件に関し日本でも気になる動きが出ています。

日本の通信設備企業のNECがサムスンと、富士通がエリクソンと組むことを表明したのです。

これらの提携はちょうど10月くらいの時期にぽんぽんと決まりましたので、何かあると思っていましたが、これがHuawei(華為技術/ファーウェイ)排除の布石だったとすると合点がいきます。

Huawei(華為技術/ファーウェイ)が消えれば、事実上エリクソンとノキアの二強体制になります。

サムスンはまだ未知数ですが、ものにして仕上げてくる可能性は残っており、NECと組むのもそういった目的なのだろうと思います。

というわけで、

 

日本、ドイツはHuawei(華為技術/ファーウェイ)排除するかも?

と思います。

60%~70%程度の確率でしょうか。

イタリアは、乗ってこない気がします。なんとなく。あまりメリットないですし。

 

なお、ドイツ、日本がHuawei(華為技術/ファーウェイ)の通信設備を排除するとしても、それは外交上の力関係とか、中国側の反応をみてのものになるはずです。

中国側が日本からの電子部品調達に対抗関税をかけたりだとか、自動車関税を引き上げたりだとか、なんからの対抗策をとってくると、日本側としてもやりにくくなると思います。

ドイツなども、VWへの締め付けを中国が強めてくる可能性はあり、安易に米国側の要求をのむことは難しい部分もあります。

とりあえず、ここら辺はある程度様子を見ながら、ということになると思います。

 

Huawei(華為技術/ファーウェイ)の端末は排除されない?

なお、これはあくまでも基地局側の話であって、端末メーカーとしてのHuawei(華為技術/ファーウェイ)を排除するという話ではないと思います。

アメリカはそこまで要求してくる可能性もありますが(米国企業であるアップルの利益のため)、さすがにそこまでいくと露骨すぎますし、端末を国民が使うだけでは安全保障上の問題などもないはずですから(悪意のあるBotが走ってたりするなら別ですが)、とりあえず、今回はそこまでは要求してこないと思われます。

 

 

Huawei(華為技術/ファーウェイ)排除で喜ぶのはノキア、エリクソン

間違いなく、Huawei(華為技術/ファーウェイ)排除で喜ぶのはノキアとエリクソンです。

これらの企業は通信設備で2位、3位集団ですし、5Gでも中心的な地位を占めるとみなされています。

 

 

Huawei(華為技術/ファーウェイ)排除で損をするのは通信事業者と国民

なお、Huawei(華為技術/ファーウェイ)が排除されることで損をするのは、通信事業者と国民だと思います。

エリクソンとノキアからの調達に限られるとなると、寡占化したマーケットのなかで非常に高い金額をふっかけられる可能性があります。

この費用は通信事業者と利用者が払うことになります。

アメリカ政府はHuawei(華為技術/ファーウェイ)排除をすれば補助金を出すとか言ってますが、どの程度の期間、どの程度の金額を提供するのかはわかりません。

事業の予見性も落ちますし、通信事業者にとっては厳しい状況になると思われます。

とくにURLLCを実現するために、5Gでは今までよりも数段大きな投資が必要となっています。

5Gは超高信頼低遅延URLLCがキモになる 11月21日

もしもノキアとエリクソンのみに頼ったら、Huawei(華為技術/ファーウェイ)を利用する場合に比べて倍程度は予算が必要になるのではないか、と個人的には予想しています。

 

 

以上、とりあえず今の時点の考えをつらつら書きました。