ジェームズ・ダイソンがEV生産をシンガポールで開始する理由~Sakti3の全固体電池は採用せずか~

ダイソンがシンガポールでEV生産へ~Sakti3の全固体電池は採用せず?~

 

ダイソンがシンガポールでEV生産へ

昨年10月、ダイソンがシンガポールにEVの開発・生産のための拠点を建設すると発表しました。

ダイソンはかねてよりEV生産への意気込みを持っていましたが、どこで作るのかに注目が集まっていました。

今回選ばれたのはシンガポール・・・そう、人件費がとても高い国の一つであるシンガポールです。

多くの人は中国ではないか、と予想していたなかでのシンガポール生産に驚きが広がっています。

とりあえず、今回はダイソンの生産・開発拠点がなぜシンガポールになったのかについて、考えてみたいと思います。

 

 

ダイソンがシンガポールにEV開発拠点をおいた理由~多額の補助金・優秀な技術者・知的財産の流出リスクの低さ~

ダイソンがシンガポールにEV開発拠点を置いた理由として、2018年10月30日付けのNewsweekは主に三つが挙げられると書いています。

  1. 優秀な技術者が手に入ること
  2. 多額の補助金
  3. 知的財産権の保護

確かにシンガポールは世界最高水準の平均賃金ですが、そのぶん優秀な技術者が手に入りやすい環境でもあります。

そして、延長可能な5年間の税制優遇措置や、ビジネス効率改善プロジェクト費用の3割を政府が補助してくれるなどの政府補助金も充実。

さらには知的財産権の保護もしっかり守られており、これがダイソンにとっては極めて重要だったのではないか、と書いています。

 

 

ダイソンのEVはSakti3の全固体電池を採用?

ダイソンがEV開発に乗り出したキッカケは明確にはされていませんが、

一説には、掃除機に採用しようと買収したSakti3というスタートアップの全固体電池を応用できると見込んだから、とも言われています。

このSakti3の全固体電池ですが、リチウムイオン電池の2倍の容量があるとされ、さらに液漏れなどの心配もない、衝突などで電池ユニットが破損してもリチウムのように発火しない、などの利点があるとされています。

実際のところはまだSakti3の電池自体がモノとして出てきていないので何とも評価が難しい所ですし、噂によると上手くいっていないのではないか、とも言われています。

ですので何とも言えないところはありますが、こういった知財関連を重視した開発を進めるにあたり、やはり中国ではいろいろと不都合があった、とみるべきだと思います。

 

 

 

個人的に考える、ダイソンがEV生産・開発をシンガポールで行う最大の理由

Newsweekなどが指摘していない点ですが、個人的にダイソンがシンガポールでEV生産を行おうと考えた最大の理由は、

「EVの生産がほとんど全自動化できるから」

ではないかと思います。

現在、自動車の生産ラインはかなりの部分が自動化されましたが、部品の組付けや配線などの細かいところは人間が行っています。

コンベヤの上を流れてくる複数の車種を人間が配線を行うのが、現在の自動車生産ラインの作り方です。

なぜわざわざ一つのラインに複数の車種を流すのかといえば、消費者が求めるクルマが多様であることのほかに、ライン作業の単調さを解消するためでもあると、以前、自動車メーカーの生産管理の方が話していました。

でもこのようなラインの設計は当然、人間の能力が生産効率向上の制限になってきます。

もしすべてをロボットなどで行えるなら、ユニット化して配線処理を単純化できるなら、労働者はほとんど雇わなくていいはず。

スマホ生産のようにほとんどの工程を機械で行えるなら、EV生産のコストは超絶低くなるのではないか・・・

ダイソンは家電メーカーですから、家電の自動生産技術は理解しています。

そういった技術を応用してくるのではないか、と個人的にはみています。

もちろん、車種の多様性は失われますが、そのぶん安ければ消費者は喜ぶでしょう。

 

 

 

 

個人的には、ダイソンのEVへの参入はいろいろと面白いと思います。

クルマ自体の性能だけでなく、生産技術の革命もみてみたい。

そんな風に思っています。

多くの企業がこの影響を受けます。

そこは覚悟しておいた方がいいと思います。

 

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以上です。