【投資戦略】インテルショックは起きなかった件~年後半からの在庫循環回復が市場参加者のメインシナリオに~

インテルショックは起きなかった件

 

2019年1月25日のアメリカ市場で、インテルショックは置きませんでした。

その前日、24日引け後に発表されたインテルの決算は非常にネガティブなものでした。

内容はこちら⇒【INTC】半導体大手インテル(Intel)の業績と株価

 

で、アメリカ市場のAHではインテル株が8%安。

他の半導体関連にも波及するか?といった感じがありました。

 

 

日本市場、アジア時間でインテルショックは起きなかった

しかし、日本市場が開いてみると全くそういった雰囲気がない。

むしろ、SUMCOや太陽誘電が1日で10%超上昇

アドバンテストや東京エレクトロン、信越化学が4%台の上昇率と絶好調

これらは前日にも大幅高を示しており、明らかにインテルショックに抗う動きが見えていました。

台湾の半導体関連、電子デバイス関連も軒並み上昇しており、インテルショックなんて無視する動きでした。

 

 

インテルショックがおきなかった理由

インテルショックがおきなかった理由は、一言で言ってしまえば

「年後半からの回復が市場のメインシナリオとして意識されているから」

ではないかと思われます。

ここもと出てきた電子部品セクターの決算、テキサスインスツルメンツ、ザイリンクス、ウェスタンデジタル、SKハイニックスなどなどなど、どの会社も年後半からの回復を示唆しています。

そして、インテルもまた、同じく年後半から強烈なラインナップで攻勢をかけると宣言しました。

インテルが新型CPU『Ice Lake』(アイスレイク)を発表~19年末までに10nmプロセスで製造開始へ

 

 

電子デバイスセクター低迷とインテルショックに至る経緯

電子デバイスセクターの現在の低迷は、主に供給側の複数の要因により、顧客側の買い控えが発生していることにあると思われます。

その1つは、インテルのCPUの微細化(14nm⇒10nmへの移行)が手間取っていること。

簡単にいってしまえば、自動車で言うモデル末期というやつです。

もうすぐ新車が出る、すごい性能のマシンが出るらしい、だけどそれの開発が手間取っているから、みんな買い控えている。

周りの部品メーカーも需要が減って困っている、そういう状況です。

インテル製CPUが足りない?~マイクロンテクノロジーCEOコメント~ 2018年9月21日

インテルに周りがお付き合いしている状況がここもと続いていました。

一番影響を受けたのは、台湾のマザーボードメーカーなどです。

 

電子デバイスセクター低迷の原因、もう1つは、5G向けの端境期になっていることと思われます。

先進国の通信企業は、5G向けの投資額が数兆円規模に上ることを理解していますから、現在4G向けの設備投資を物凄く絞っています。

また、端末の購入に関しても同様で、いま使っている端末に不満を感じている人でも、5Gが出てきてから買い替えようと考えているユーザーが多くいます。

 

 

インテルショックの発生も、5G向けの端境期の問題も、実は総統前からみえていた

インテルの最新CPU待ちでデータセンター投資を手控えていることと、5Gに向けた需要の端境期とが一緒にやってきたのが現在の状況です。

そしてそれは十分にわかっていました。

シクリカルセクターへの投資はタイミングが大事 村田製作所(6981) 2018年3月19日

上記は自分が書いた記事ですが、昨年3月19日の記事です。

この記事の中で自分は以下のように書きました。

これらの悪材料は、向こう二年間のうちにいくつか顕在化する可能性があります。とくに新規格を前にした買い控えは深刻に作用するように思います。すでに鉱工業生産からみると在庫増出荷増の第一象限にいますが、これが約一年半程度で第三象限に向かう可能性があります。個人的には、2020年~2021年のどこかで本格的に良い買い場くるのではないか、とみています。

 

この「悪材料が顕在化した状態」こそが、現在だと思います。

まだ2020年になっていませんが、バリュエーションの水準的にはもう十分に美味しい水準になった、というふうに個人的には思います。

 

上記のように、5Gによる端境期効果は自分ですら感じていたことですから、世界の運用担当者は概ね2018年のメインシナリオとしてみていたと思います。

既にリスクの可能性を意識している慣れた人たちはポジションを落としていました。

そして現在、そういった慣れた人たちが帰ってきている・・・と個人的にはみています。

 

自分のこの2カ月の見立ては、上のとおりです。

安いから下げないというわけではありませんが、既に相当安い。

業績の底が見えたら株価も底打ちする、そんな風にみてきました。

そして、電子デバイスセクターの業績の底が2019年Q1かQ2に来ることが見えました。

そんなところだと思います。

 

 

あとは、このメインシナリオが崩れることがあるかないか。

また上昇しすぎてバリュエーションの魅力が落ちないかどうか。

半導体、電子デバイスセクターは、そこに注意だと思います。

以上。