【6976】太陽誘電の業績と株価~MLCC/積層セラミックコンデンサ大手~2018年Q3決算
今回はMLCC/セラミックコンデンサ大手の太陽誘電の業績と株価についてみていきます。
なお、使用している資料は同社決算発表時の資料です。
詳しくは太陽誘電ホームページでご確認ください。
太陽誘電の事業内容・会社説明
以下のリンク先をごらんください。
事業内容など⇒【MLCC】太陽誘電の業績と株価
エルナー完全子会社化の経緯⇒太陽誘電がエルナーを完全子会社化~その経緯と目的についてまとめ~
太陽誘電の2018年Q3決算・業績
https://twitter.com/chu_sotu/status/1094116850554683393
太陽誘電の2018年Q3決算が発表されました。
全体的に非常にポジティブなトーンのようにみえます。
中華圏のスマホ生産減少を受けて、太陽誘電の主力商品である積層セラミックコンデンサ/MLCCにも影響が出ることが懸念されていた2018年Q3決算でしたが、開けてみればQ2同様に前年比70%近い営業増益を達成しています。
なお、最終利益は会社側通期目標をほぼ達成していますが、通期業績の上方修正は今回はなかったようです。
太陽誘電の2018年Q3決算・業績~前期比
https://twitter.com/chu_sotu/status/1094116954959269888
太陽誘電の2018年Q3決算は、前期比では売上ほぼ横ばい、営業利益35.2%増益となっています。
営業利益は会社側想定を上回っているとのこと。
製品ミックスの改善や価格引き上げの効果が出ているとのことです。
太陽誘電の2018年Q3決算・業績~前年比較~営業利益率の改善が急
https://twitter.com/chu_sotu/status/1094117052736974848
こちらは対前年Q3比較。
売上、営業利益ともに非常に高い伸びを示しています。
価格是正が進んできたことから営業利益率は前年の10.0%から15.9%に改善しています。
太陽誘電の2018年Q3決算・業績~四半期別セグメント業績推移
https://twitter.com/chu_sotu/status/1094117150111875072
太陽誘電の四半期別セグメント業績推移です。
コンデンサの売上が極端に大きく伸びていることがわかります。
一方、スマホ需要の落ち込みからSAWデバイスなど複合デバイス関連は減少しています。
インダクタ、フェライトはほぼ横ばいです。
太陽誘電の2018年Q3決算・業績~連結業績推移
https://twitter.com/chu_sotu/status/1094117262284320768
売上、営業利益とも改善していっています。
特にコンデンサの事業に占める比率が高くなっており、ほとんどMLCCの一本足打法になりつつあります。
営業利益率は16%台まで上昇してきています。
太陽誘電の2018年Q3決算・業績~受注高・受注残高
https://twitter.com/chu_sotu/status/1094117377522843648
受注高、受注残高はやや芳しくない数字となっています。
3Q末はとくに中国のスマートフォン生産が急減速したタイミングであり、これが受注高、受注残高にも影響してきています。
太陽誘電としては、
第3四半期後半からスマートフォン向けを中心に受注が減速し、12月末の受注残高は、コンデンサの需給ひっ迫が過熱していた一時期と比較すると減少している。しかし、受注残高の水準としては、第4四半期の業績について悲観的になる必要はないと考えている。(原文ママ)
としています。
個人的な見解としては、スマホ分野はQ1にかけてもう一段減速する可能性があると思われますが、そこら辺が受注のボトムかなとみています。(年後半からは5G端末や設備向けなどに需要が立ち上がるので。)
また、自動車・産機向けのMLCCの需要も底堅く、ほぼヒモつきとみられることから、急減速は考えにくい状況にあります。
とりあえず、台湾系のヤゲオやウォルシンなどが受注を半分程度に落としているのに比べて、太陽誘電や村田製作所などはかなりマトモな数字です。さすがです。
太陽誘電の2018年Q3決算・業績~ポイント・用途分野別売上構成
https://twitter.com/chu_sotu/status/1094117523287490560
今回の太陽誘電の決算で一番ポジティブだったのは、たぶん用途分野別売上構成の数字ではないかと思われます。
スマホなどの通信機器向けは大きく減ったものの、自動車・産機向けの売上が増えています。
なお、産機は2018年後半に落ちてきていたはずですから、実質的には自動車向け(たぶんヒモ付き)が好調だったのではないかと思われます。
太陽誘電は大容量や温度特性に優れた製品に生産の軸を徐々に切り替えていっており、MLCCの使用用途を広げながら、販売量と価格・MIXを改善させる方向で経営しています。
そういった経営の努力が実を結んだのが、今回の2018年Q3決算のように思います。
太陽誘電の株価
日足
週足
今回、太陽誘電は株主還元策として上限30億円の自社株買いをするとのことです。
太陽誘電は株主還元性向30%超を目指しているとのことですが、今年度の自社株買いと増配をあわせると総還元性向は55%程度となります。
現状の株価は安すぎると太陽誘電は判断しているようです。
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以上。