「ジャマル・カショギ氏殺害はムハンマド皇太子の命令」国連アニエス・カラマール氏が報告書まとめる

「ジャマル・カショギ氏殺害はムハンマド皇太子の命令」国連アニエス・カラマール氏が報告書まとめる

 

「ジャマル・カショギ氏殺害はムハンマド皇太子の命令」と国連アニエス・カラマール氏が報告書まとめる

昨年10月に在トルコ・サウジ総領事館で発生したサウジ人ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏の殺害事件に関し、国連が衝撃的な報告書をまとめました。

この報告書によると、カショギ氏の殺害はサウジの実力者、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の直接の命令によるものと断定。

「サウジアラビアの国家が指揮した裁判なしの死刑執行」

「サウジアラビアは外交特権を濫用したことをトルコに謝罪すべき」

「カショギ氏殺害調査をFBIも開始すべき」

「アントニオ・グテレス事務総長の名で国連が捜査を開始する必要がある」

とのことです。

TRT 【ジャマル・カショギさん殺害】 国連が報告書「サウジが指揮した裁判なしの処刑」

 

国連の特別報告者(special rapporteur)とは?

国連特別報告者(special rapporteur)は、国連人権理事会の任命で特定の国、事件に関して人権状況を調査・勧告する専門家。

日本でも有名な特別報告者としては、慰安婦問題調査のラディカ・クマラスワミ、 児童ポルノ関連のマオド・ド・ブーア=ブキッキオ (※1)などがいます。

※1 日本の女子学生の13%が援助交際を行っていると発言した方です。

 

ジャマル・カショギ氏殺害事件とは?

ここでもう一度、ジャマル・カショギ氏殺害事件について振り返ってみたいと思います。

ジャマル・カショギ氏はサウジアラビア出身の59歳。

一族揃ってサウジ王室とは近い位置の仕事についてきていたそうで、本人も情報分析やジャーナリズムなど王室の意向を受けた仕事に携わってきた方だそうです。

しかし近年はムハンマド皇太子との折り合いも悪く、活動場所をアメリカに移し、ムハンマド皇太子を批判的に報じるコラムをワシントンポストに寄稿するなどしていたとのこと。

 

昨年10月2日、ジャマル・カショギ氏は再婚をするため、以前の離婚届をとりに在トルコのサウジ総領事館に赴きましたが、

そのまま総領事館から出てくることなく、忽然と消息を絶ちました。

のちに、ジャマル・カショギ氏はサウジ総領事館内で拘束され、

サウジからやってきた特殊部隊によって殺され、切り刻まれ、解体されてどこかに捨てられたことが発覚。

(トルコの情報機関が一部始終を録音?録画?しており、その情報はCIAのハスペル長官も確認しているとか。)

電気ショック、メス、信号妨害機~ジャマル・カショギ氏を殺したサウジ部隊員が持ち込んだ荷物のX線写真公開される

ジャマル・カショギ氏の最期をCNNが報じる~サウジ側の説明と異なる部分

米国家安全保障局NSAはジャマル・カショギ氏殺害を命じるムハンマド皇太子の発言を傍受していた可能性

 

 

ジャマル・カショギ氏の殺害はムハンマド皇太子の指示か

ジャマル・カショギ氏の殺害はサウジの情報部トップや最高位の軍医など10人超がかかわっていることがのちに発覚しました。

このことから、このような高度に組織だった殺害行為が行えるのはサウジ当局の上層部・・・

とくに実質的な政務を取り仕切っているムハンマド皇太子の関与なくして実行されるはずがない、とかねてより言われてきました。

しかしサウジ政府としては、ムハンマド皇太子の関与を否定。

あくまでもサウジの高官たちが独自に行った制裁であった、との立場をとっています。

 

 

 

米政府もジャマル・カショギ氏の殺害をムハンマド皇太子のせいだと思っている可能性

ジャマル・カショギ氏の殺害にムハンマド皇太子の関与があったとみる見方は米当局も共有しているとされ、

CIAのハスペル長官もサウジ当局の関与を米トランプ政権に報告していたとワシントンポストは報じています。

「ジャマル・カショギ氏殺害はムハンマド皇太子の指示」とCIAが報告

また米議会などでもサウジ制裁を求める声などは出ています。

 

しかし、トランプ政権としてはサウジへの制裁は何としても避けたいところのよう。

なんせ、サウジは米国からパトリオットなどの防衛装備を購入してくれるお得意様です。

トランプ大統領が大統領就任後真っ先に向かった外遊先はサウジでしたが、そこで纏めたのが10兆円超の規模の武器・兵器の受注でした。

サウジ王室とアメリカの共和党政権中枢、およびイスラエルとはツーカーの関係であり、これをやめることは中東和平の問題にも絡むことになる・・・という立場を崩していません。

 

 

とりあえず、様々な思惑で闇に葬りさられそうになってきたジャマル・カショギ氏の殺害問題ですが、

イラン問題が緊迫化するなか、対イランの強硬派「Bチーム」の一角であるムハンマド皇太子に批判が向いたのは注目すべき流れだと思われます。

中東危機に導く「Bチーム」とは?~イランのモハンマドジャバド・ザリフ外相が命名

 

トルコの出方も含め、動向を注意深くみていくべきと思います。

以上です。