世界の石炭火力発電所の42%が赤字収支~石炭資源が座礁資産になる恐れ~

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世界の石炭火力発電所の42%が赤字収支~石炭資源権益が座礁資産になる恐れ~

 

 

世界の石炭火力発電所の42%が採算割れ~このままでは権益の多くが座礁資産に

「世界の石炭火力発電所の42%が採算割れ」というリポートがCarbon Trackerによって纏められました。

More than 40 pct of world coal plants are unprofitable -report

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カーボン・トラッカーは全世界の6685の石炭火力発電所を調査。

これは現在稼働中の95%の設備、および建設中の90%の設備とのことですが、これらの調査からわかったことは、すでに42%の設備が採算割れしており、さらに2040年までに72%がキャッシュフローでネガティブに転じるということだそうです。

 

太陽光や風力などの再生可能エネルギーの採算改善により石炭権益が座礁資産に

この調査ではまた、2030年までに太陽光発電や風力発電は、現在稼働中および計画中の96%の石炭火力発電所よりもコストが安くなるとのことです。

こうしたなか、太陽光や風力などの再生可能エネルギーが普及していくことで、石炭火力発電所および石炭資源権益の価値が大きく毀損するリスクが高まっています。

 

 

座礁資産とは?

座礁資産とは、ビジネス環境の変化によって

「そこに埋蔵されているのに、採算が悪くて掘れない。だから会計上も減損しないと・・・」

といった状態に至った資源権益などのことをいいます。

たとえばサウジアラビアやベネズエラ、ガイアナなどは莫大な原油埋蔵量を誇っていますが、世界中が太陽光や風力でエネルギーを賄えるようになった場合、究極的にはエネルギー価格はゼロに近づきます。

こうした環境で、わざわざ多くの資本を投下して権益の開発をするのは馬鹿げていますし、ビジネス上の優位性がない、という状態になります。

そうなると、現在は資産の部に載せている権益資産なども、ちゃんと実勢にあわせて価値を引き下げる(減損)する必要に迫られます。

そういったものを座礁資産と呼びます。

 

 

実際、中国では座礁資産化が進んでいる可能性

個人的にもこの石炭権益の座礁資産化はずいぶん昔から感じていることです。

というのも、中国株をしている人なら一度は聞いたことがあるであろう会社に「華能国際電力/ファネンパワー」という会社があります。

かつて江沢民時代には電力閥の雄として親会社がぶいぶい言わせていた会社なのですが、この会社が近年赤字決算に陥ることが増えているのです。

中国では電力価格が統制されており、上流部の石炭価格の変動を電気代に転嫁しきれていないというのもあるのですが、それにしても環境対応コストなどの面からまったく不採算になってきているのです。

そして、電力設備は古いものから休止していっていますし、調達してきた石炭権益のいくつかも小規模なものは潰されています。

こうしたものも座礁資産の一例じゃないかと思います。

 

 

中国の既存電力資産と石炭資源が座礁化する一方で、再エネ導入は活発化

中国は近年、ものすごい勢いで再生可能エネルギーを導入しており、このことで石炭を使った火力発電および石炭権益が座礁資産化しているのです。

【統計】太陽光発電設備設置規模 各国別発電容量【グラフ】

【統計】世界の風力発電容量 各国別ランキング【グラフ】

 

 

モンゴルの炭田が座礁資産化

この中国の環境意識の高まりのとばっちりを受けたのがモンゴルです。

モンゴルは昔から中国に対して石炭を輸出してきました。

中国の火力発電量が大きな伸びをしめしていた2000年代には高い伸びを示していましたが、近年、中国が環境意識を高めて石炭輸入などを制限していることから輸出が不振になっています。

これが経済全般に影響を及ぼしてきています。

【統計】モンゴルの一人当たりGDP【グラフ】

 

 

化石燃料権益の座礁資産化は静かに進行中

以上のように、再生エネルギー先進国の中国とその周辺国では、座礁資産化の動きはかなり急激に起きています。

しかしまだ、多くの国においては対岸の火事といった感じでしょう。

しかし、いずれこの動きは世界中を飲み尽くします。

 

 

こと石炭関連ビジネスを座礁資産化を懸念して外すという点においては、ESG投資は理に適っている可能性

自分はESG投資という代物には否定的な意見を持っているのですが、こと石炭権益および石炭火力などを外すという点においては、ESG投資は長期的な視野でみた場合、意味のあることだと思います。

ここもと、石炭権益を手放す大手資源メジャ―が多いですが、逆に買いに向かっている企業もあります。

とうぜん、売る人がいるのですから、買う人もいないといけない。

けれど、どうもその買い手のつけている値段が、先々のリスクを十分に考えていないんじゃないか?と思うような値段だったりして、ちょっと恐ろしくなります。某日本の中堅商社とかですけど。

 

 

とりあえず、座礁資産化は避けて通れない道です。

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あらゆるエネルギーが電気中心に回るようになります。

そうした時代に必要とされる企業にのみ投資をしていくことが、長期投資であればあるほど必要ではないかと思います。

以上です。