ウィルバー・ロス商務長官が米中貿易交渉の行方に対して超絶楽観的見通しを示す
米中貿易交渉次官級協議、劉鶴副首相と易綱・人民銀行総裁が出席、ウィルバー・ロス商務長官は超絶楽観的見解を喧伝
米中貿易戦争の打開のため、7~8日の予定で米中貿易協議が中国北京で開かれています。
参加者は米国側が米通商代表部USTRのゲリッシュ次席代表が仕切るかたちで、農務省やエネルギー省高官が参加。
中国側は王受文商務次官が代表を率いています。
今回の協議、次官級協議という話でしたが、実のところ劉鶴副首相や易綱人民銀行総裁も出席したことを確認しています。
このクラスの高官が参加しているということは、中国側がかなりハイレベルの妥協を示した可能性があります。
こうした動きを受け、ウィルバー・ロス商務長官は楽観的見解を述べました。
トランプ大統領も同様に「上手くいっている」とtweetしています。
しかも、めちゃめちゃ簡単な英文で。
外国の英語を理解しない人でもわかるように。
完全に、株価を浮揚させるための材料として利用している感じです。
Talks with China are going very well!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) January 8, 2019
こうした動きを受け、株価は昨年のクリスマスイブの総悲観モードからはだいぶ上昇してきました。
センチメントは改善しており、ようやく一息ついた形となります。
しかしそれは同時に
株価材料としての米中貿易協議妥結というポジティブ材料が消えた状態
と言えます。
多くの人たちは、昨年末の時点では本当に総悲観だったと思います。
誰もかれも、米中は新冷戦に突入だの、経済戦争で世界経済は落ち込むだのと騒いでいました。
株価の動きで目が曇っている人が多かったと思います。
重要なのはセンチメントでニュースをまげて見ない癖です。
マーケットの動きでセンチメントを揺さぶられてニュースを見ていたら、常に上値で掴んで下値で投げてしまいますw
米中関係に関するこれまでの自分の見立て
とりあえず、米中関係については、自分は昨年2月3月の時点ではめちゃくちゃ悲観していましたが
(この時点では、ほとんどの人が楽観していましたよね。)
世界は陰謀でまわってるぅ~~米中貿易戦争~~ 18年3月24日
しかしその後、世界経済に景気後退色が強まってきます。
こうしたことから、自分は米中貿易交渉は妥結するとみました。
こちらの記事です。
米中貿易戦争は持続可能か?~ピーター・ナヴァロ著「米中もし戦わば」 18年10月28日
個人的に、今回の米中貿易戦争は景気後退とともに路線変更を迫られると思います。とりあえず、もしも株安、景気後退が深刻化すれば、ピーター・ナヴァロ著「米中もし戦わば」が提唱するような米中貿易戦争なんて、すっかり忘れ去られてしまうはずです。米国民はそんなに辛抱強くありません。今のうちにこのことを記しておきます。
どうでしょう?現在起きていること、そのものじゃありませんか?
その後、対米貿易改善案を中国が提出したあたりから本格的に風向きが変更したのを確認。以下の記事を書きました。
対米貿易改善案142項目を中国側が提示~トランプ大統領は乗り気のようだが・・・ 18年11月18日
この記事の中で自分は
トランプ大統領は対米貿易改善案142項目を機に、米国が得する形で米中貿易戦争を終わりにしたがっている可能性(中略)さすがに今回、いますぐにトランプ大統領が融和姿勢に転がるということはないはずです。ですが、いずれ米国株が軟調に転じてくれば、トランプ大統領は米中貿易戦争停戦のカードは切ってくると思われます。そのとき一番パフォーマンスがいいのは、たぶん米国株ではなく、中国株です。
と書きました。
とりあえず、米中首脳会談後のパフォーマンスでみると今のところ中国の方が良好ですが、今後はどうなるでしょうか。
なお、米中次官級協議は9日も継続、進展を図る動きが継続しています。
2日間の予定だったはずですが、もっと詰めたいということでしょう。
かなりの進展が期待されるところです。
ですがそれは、
株価材料としては米中貿易戦争の賞味期限が切れたということ
に等しいです。
もし今後、株価のポジティブ材料として米中貿易戦争の打開、進展を持ち出すような人がいたら、そういう人のことは素人扱いしていいです。
マーケットの本質を理解していない方・・・だと思います。
テレビに出演するような著名な方でも、この手のトンチンカンなことを言う人はいます。
気を付けた方がいいと思います。
以上です。