テンセントの株価が直近安値にツラあわせ。暴落はおきるか?おきないか?

中国のゲーム大手テンセント 株価下落で時価総額7位に後退 アリババに再度抜かれる

 

米中貿易摩擦の激化を受け、中国人民元および中国株、香港株が大きく下落。

中国株の中心的銘柄であるテンセント(騰訊/ tencent)の株価も大きく下落しています。

テンセントは中国株をする人なら誰でも知っている&ポートフォリオに入れている人も多い銘柄ですので、同社の下落は中国株全体のセンチメント悪化に繋がります。

 

 

とりあえず、テンセントの株価チャートを見てみましょう。

(なお、テンセントの株式は香港市場上場、ティッカーは0700で取引されているほか、OTCでもTCEHYのティッカーで売買されています。)

 

テンセント 日足チャート

テンセントの株価チャートですが、見事にヘッド&ショルダー型のチャートになってます。まだ最安値に面合わせしただけですが、ここを大きく下回ってくると(いったんは反発するでしょうが)、かなり大きな下げを予想せざるを得ない状況になります。

テンセントの株価は長らく大した調整もせずに上がってきました。以下はテンセントの株価週足チャートです。

 

 

テンセント 週足チャート

 

いかがでしょう?

かなりバブリーな匂いを感じませんか?

 

テンセントの株価チャートは、2018年6月28日現在ではまだ暴落というほどのものにはなっていませんが・・・

 

とりあえず、きな臭いチャートですね。

 

 

テンセントの株価は13年で680倍にも上昇しました。

ここまで凄い上昇率は世界的にみてもなかなか珍しい。

まさに中国を代表する成長株でした。

多くの人が持っています。

多くの人が下がったら買おうと待っています。

リスク管理の観点からみると、そういうものが一番あぶない、と俺は思います。

 

 

ちなみに、テンセントの株価が2017年に大きく上がったのは、ネットゲームの「王者栄耀」※1の大ヒットによるものです。

※1 王者栄耀(Arena of Valor)・・・ジャンルでいうとMOBA、League of Legendsと同じようなタイプのゲーム。なおLeague of Legendsの開発元ライアットゲームズ(Riot Games)はテンセント子会社です。

 

そして、株価が軟調に転じたきっかけもまた、ゲーム事業の利益成長低下がみえてきたことが主因です。

テンセントの業績面については過去の記事で解説していますので、もしよろしければごらんください。

 

BATの一角・テンセント(騰訊)の業績と株価見通し

 

以下は一つ前の期の決算になります。

 

テンセント2017年Q4決算

 

自分も、今年最初のころまではテンセント株にお世話になっていました。

2017年のMy稼ぎ頭はテンセント株でした。

テンセントの社長、ポニーマー(馬化騰)氏には足を向けられないなぁと思ってます。

今までの経験則では、テンセント株は高値から二割押しで買えばほぼ確実に儲かるのがテンセント株の特徴でした。

ですから、たぶん今回も多くの人がそう考えて、2割下がったあたりで買っていると思います。400近辺でしょうか。

ですが、さすがにこのチャートでは俺は買えません。

今までとは違ったナニカを織り込みながら下がっている感じがします。

 

 

 

 

そのナニカは、中国の消費減退じゃないかと、個人的にはみています。

中国では、かなり消費構造が歪になってきているな、と感じます。ゲームのガチャに大量のカネをつぎ込んだり、ライブチャットで女が媚び売るだけでお捻りが何千万円も動いたり、およそ尋常な感覚ではない・・・と俺は思います。

俺は、貧乏人育ちです。貧乏な母子家庭の子供です。冬の朝には0度以下になるような部屋で寝起きしていました。小学生のころにバブルを経験しました。周りの子たちの羽振りの良さに大きな違和感をおぼえて育ちました。ビックリマンシールを集めるためだけのためにお菓子を買って、お菓子は食べずに捨てちゃう子が周りにいっぱいいました。そういう環境で育ちました。俺の違和感は、あたっていました。

今の中国は、不動産を媒介にした「儲かった気分」で回っているんじゃないか?最近そんな風に感じています。不動産価格が上昇して、資産がいっぱいになった気分になって(実際にキャッシュはたいして増えてなくても)購買行動が雑になってるんじゃないか?そんな感じがしています。間違っているかもしれませんが。。。それってリーマン前のアメリカや、日本の不動産バブルと同じなんじゃないか?という気がしています。なんとなく既視感があるんです。

それともうひとつ、中国版地上げともいうべきスラム街再開発プロジェクトですが、これを通じて資金供給されるカネが減りそうです。あまり大きく報じられていませんが、個人的にはこれは非常に大きなニュースです。頑張って書いたのにアクセスが少ないのでもう一度載せておきますwよんでくださいwww

 

 

デレバレッジ開始か?中国開発銀行がスラム街再開発計画向け融資を停止 

 

とりあえず、なんか元の話からズレてきているので戻しますが・・・

おいらは中国の個人消費が不動産価格上昇でドーピングされすぎているんじゃないか、という気がしています。テンセントがやっているゲーム産業はまだまだ成長産業ですが、しかし消費構造的には景気後退の影響を大きく受けることも間違いありません。Wechat/Weixin/ウィーチャット/ウェイシンは広告収入に依存します。Wechatpayを通じて集めた中国版MMFの理財通などにはリスクが潜んでいるようにみえます。近い将来、同社は業績面で失望を誘う結果をもたらすのではないか、個人的にそんな気がしています。

まだ市場は、そこまでのネガティブな業績を織り込んでいません。株価は変化を買うものです。変化を売るものです。個人的には、非常に危険な匂いを感じています。

 

なお、上記はあくまでも中卒くん個人の見解であり、特定の投資行動をお勧めするものではありません。俺だって外れることはあります。アテにしないでください。投資に当たっては自己責任、自己判断でお願いいたします。

 


2018年8月23日追記です。

やはり、といったところでしょうか。

 

テンセント株が予想通り暴落しました!

 

 

テンセント株は2018年8月15日、13年ぶりの減益となった四半期決算を嫌気する形で大幅安になりました。

しかし、この傾向は今に始まったことではありません。昨年のQ4決算の内容あたりから、どうも風向きの悪さはみえていました。

拙ブログを始めたのは2月初めころからですが、その当時から見てくださっていた方たちは、いまテンセントに起きていることが、おいらがQ4決算後に予測した展開に似てきていることを理解していただけると思います・・・

もちろん、完璧には予測していません。ゲーム産業の認可が大幅に遅れているというのは、ちょっと想定外ではありました。

しかし、テンセント株価のおおまかな推移と、同社を含めた中国IT企業のニューリテールなどの展開が躓いていることは、おおむね予想通りといったところです。

テンセントのO2Oビジネス展開とコングロマリットディスカウントについて 2018年2月19日

テンセントのVAS部門減収は一過性なのか?それとも・・・2018年3月22日(これがQ4決算後)

BATの一角・テンセント(騰訊)の業績と株価見通し2018年5月17日

 

そして、今お読みのこの記事を最初に書いたのが6月28日です。

概ね、予想は当たっていたと思います。

 

 

また、米中の貿易戦争が激化することも想定通りでした。

世界は陰謀でまわってるぅ~~米中貿易戦争~~ 2018年3月24日

そう、間違ったことを書いてはいないと思います。

 

とりあえず、テンセントの株価に話を戻します。

テンセントの株価は高値から直近安値まで約35%程度の大きな下げを経験しており、いったんはアク抜け感が出ているかなと思います。

ゲーム事業が属するテンセントのVAS事業も、不振はPUBGやモンスターハンターワールドの認可の遅れによるものであり、同社の販売能力・開発能力などが問題になっているわけではないと、個人的にはみています。

また、テンセントは政治的リスクに左右されやすい中国市場ではなく、マレーシアなど東南アジア諸国への浸透を図る構えをみせています。

テンセントの経営陣や技術者の水準は相当高いと個人的にはみていますが、そのことを市場は忘れていると思います。

しかし、中国の家計債務は過去最大規模に上昇してきており、テンセントが注力する小売、ゲームなどのマーケットの伸びは頭打ち感が出てきてもおかしくない状況です。

ゲーム産業を取り巻く政治的環境もいろいろとめんどうくさい状況になりつつあるようで、それがテンセント株のリスク要因のひとつとなっています。

米中貿易戦争は激化することはあっても、緩和することはないでしょう。これはあくまでも覇権主義の問題であり、中国が完全にアメリカに隷属する方針を示さない限り終わりませんが、そんなことはありえません。

ノースバンド取引などをみていると、テンセントの株価が400香港ドルを割れたあたりでは、かなり大きな中国国民からの買いが入っていたようです。

この中国本土の投資家層は短期売買層が多いようですが、これがテンセント株のナンピンで懐が傷んでいる可能性があります。

テンセントの株価は現状360近辺ですが、個人的にはもう一度、二度下を試してからでないと底入れを確認したとは言えないと思います。

今のテンセント株はまさに落ちるナイフであり、これを掴みに行くのはあまりにもリスキーだと個人的には思います。

とりあえず、テンセントの株価が現状の360近辺として計算すると、アナリストコンセンサスベースでは2019年PERが約30倍となります。これは、やや高めと個人的には思います。

もちろん、テンセントはIT株だから株価をバリュエーションで評価するのはおかしい、という人もいるでしょう。しかし、テンセントの事業内容はITというよりゲーム産業、決済事業、投資事業が中心です。コングロマリット化したこれら業態を古典的なバリュエーション評価手法でみることは可能だと思います。

テンセントの株価がPER50倍を超える水準まで買われていたのは、過去の高い業績の伸びが今後も続くことを期待されてのものですが、これはたぶん、かなり期待薄ではないかと思っています。(理由はさきほど載せた過去の記事を参照。)

テンセントの株価はコングロマリットディスカウントの洗礼を受ける段階までは達していないとみていますが、今後の事業展開の方針によってはその可能性もあります。ようするに、かつてのオリックスなどと同じようなバリュエーション調整が行われる可能性が出ています。

こうした点からみて、いまテンセント株を買うのはリスキーだろうと考えています。

たしかにテンセントの株価は高値からずいぶん落ちてますから高値覚えの買いを入れたくなるのはわかります。しかし、評価軸が変化する可能性が出てきており、そのことが恐ろしいと思います。

なにも崩れている最中の株を買う必要などないんです。他にいろいろ上がる銘柄はあります。そういう銘柄を見つけて乗ればいい。銘柄に惚れないことは重要・・・と個人的には思います。

テンセントがここから大きく復活することもあるかもしれませんが、そのときには個人的には放っておこうと考えています。

とりあえず、上記はあくまでも個人的見解です。テンセント株を買うな、と言いたいわけではありません。ご自由にしたらいいと思います。

ただ、非常に大きなリスクを感じる、ということです。

以上です。