テンセントがリストラ開始!法人向けに方針転換
ゲーム大手テンセントがリストラへ。中国共産党政府によるゲーム規制を受けビジネス分野の強化を狙う
テンセント、中国共産党政府によるゲーム規制を受けコンテンツ事業部を統合。法人向けサービスで生き残りはかる。
中国のゲーム大手であり、世界においても最大のゲーム企業であるテンセントが経営環境の激変に揺れています。
今年の年始あたりまで、テンセント(騰訊)は向かうところ敵なしの株価上昇を記録してきました。
多くの人が「中国を代表するIT銘柄」として購入したいと思うような銘柄でした。
テンセントの株価は年末にむけて下記のような動きを演じます。
ところがその後、同社株は大きく下落し始めます。
現在の株価は以下のようになります。
当初、なぜ下落し始めたのか、多くの人は理解していませんでした。
その後、テンセントの業績が頭打ちにあることがみえてきます。
更にテンセントの業績下振れに追い打ちをかけるように、中国共産党政府内の足並みの乱れが露呈。
中国政府は今年春あたりからゲーム産業への締め付けを強化してきており、このことがテンセントの業績に影響しはじめてきました。
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中国共産党によるゲーム規制強化は社会主義核心価値観をもとにしており、テンセントのゲーム事業拡大はこうしたイデオロギー的なものと争わねばならない段階にはいっています。
中国共産党によるこうした表現規制強化の中、テンセントはコンテンツ事業部門をリストラして統合し、開発体制を一本化していくことを発表しました。
Tencent Targets Business Customers in Restructuring Plan WSJ
なお、今回のテンセントによる事業再編ですが、人員削減が行われるかどうかはまだわかりません。
コンテンツ事業部が3から1に変更されたり、モバイルとインターネットの事業部が統一されたりしているなどの報道がされています。
Tencent restructure includes merging internet with mobile business units
ただあまりにも大規模、ドラスチックな動きのため、「人員削減もあるのではないか」との噂も流れているようです。
今回のリストラプランにおいて、テンセントはビジネス分野を充実させるとの報道がされています。
この分野は中国IT業界のもう一方の巨人アリババが非常に強く、テンセントの社風がこの分野の拡大に向いているのかは、少々疑問があります。
(逆にアリババは、ビジネス寄りの社風であり、エンタメ分野はことごとくダメです。映画事業は常に大赤字を垂れ流しています。)
テンセントはぴかぴかの巨大な自社ビルをちょうど建築したばかり。
ちょうど80年代、90年代の日本のゲーム企業が、自社ビルを建てた途端に傾いた姿を思い出します。
くにお君シリーズのテクノスジャパンとか、ぷよぷよのコンパイルとか、サムスピのSNKとか、なんかいろいろ同じような末路を辿ったところが多すぎて全部は思い出せませんが・・・
もちろん、市場の変化で大きく揺らいだそれらと、政府主導で大きく揺らいだ現在のテンセントとは話が違うのはわかります。
ただ、人間ってのは元来飽きっぽい生き物なのだということは確かです。
中国人がいつまでもテンセントなどのモバイルゲームを飽きずにつづけていくか?というと、少々疑問があります。
それは、かれらのインバウンド消費の動向をみてもわかる。
かつては炊飯器などを爆買いしていましたが、今では全く売れずに象印は業績悪化に苦しんでいます。需要の拡大を見越して経営計画を作っていた象印は、中国人の消費行動の変化を読み間違えてしまいました。
テンセントがこういった「飽き」とどう対処するのか。
それは、政府対応よりも遥かに大変な課題ではないかと思われます。
テンセントの株価が直近安値にツラあわせ。暴落はおきるか?おきないか?