レオパレス21連鎖倒産を想定か~金融庁が一斉調査へ

レオパレス21連鎖倒産がおきれば取引先、個人オーナー向け融資が焦げ付く可能性

 

不正施工問題を受け、レオパレス21連鎖倒産リスクを意識する展開に

東京テレビ系列の報道番組「ガイアの夜明け」による独自取材で暴かれたレオパレス21の不正施工問題が波紋を広げています。

ガイアの夜明けによると、レオパレス21は長年にわたりアパートの不正施工を黙認。

防音や防火、界壁不備などを指摘されたレオパレス21施工のアパートが多数に上るとして(※1)、同社はこの修繕に多額の費用がかかることを発表しました。

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同時に、レオパレス21は決算見通しを下方修正。

今期通期決算の赤字転落見通しを発表するとともに、同社には十分な自己資本があり、現預金もあることから倒産の可能性はない、と主張しました。

※1・・・現在把握できている物件だけでも、33都府県に1324棟が新たに不正施工発覚。これまで調査した約1万4000棟のうち8割以上で何らかの不備が発覚しているとのこと(毎日新聞)で、今後も全棟検査を行えば更なる増加が懸念される状況のようです。なお、入居者14443人には転居を促し、引っ越し費用、敷金などを補償するとのことですが、引っ越しのハイシーズンにあたっており、新たな受け入れ先の受けいれ、引っ越しのコスト上昇などが懸念されています。

 

 

レオパレス21に倒産の可能性はない?

レオパレス21が言うには、同社には十分な自己資本があり、現預金もあるため、倒産の恐れはないとのことです。

具体的には、平成30年12月末日時点での現金預金(連結)が892億円、自己資本(連結)は1069億円とのこと。

同社はこれを根拠に、今回の施工不備に伴う特別損失430億円は十分に許容可能である、としているようです。

 

 

資本市場はレオパレス21の倒産を織り込みに行く可能性?

ただ、市場はどうにもレオパレス21の

「自己資本・現預金は十分にあるので安心だ」

という主張を真実として受けとめていないように思います。

レオパレス21の株価は2日連続のストップ安売り気配

その後も大幅安で下値を掘り下げる動きとなっており、下げ止まる気配が見えない状況となっています。

資本市場ではレオパレス21の倒産可能性を織り込みに行く可能性が出ており、予断を許さない状況となっています。

 

 

新たな不正施工が発覚し続ければレオパレス21倒産の可能性

市場が懸念しているのは、レオパレス21の不正施工問題が、さらに拡大することではないかと思われます。

これまで同社は不正施工の実態を正確に公表してきませんでした。

そして、そのことをガイアの夜明けに指摘されると一転して公開。

対応が後手後手に回っており、まったく信用を失っているようにみえます。

さらにいうと、調査対象の8割に不備が見つかっているというのも大変な問題。

軽微なものも含まれているのでしょうが、この調子で全棟検査をした場合にはいったいどれだけのコストがかかるのか見当もつきません。

 

 

検査済み棟数から考えるトータルコストとレオパレス21の倒産可能性

レオパレス21の管理棟数は3万5000棟超と言われています。

現在、調査が済んでいるのは、報道によれば1万4000棟程度とのことです。

ということは、まだ2.5倍程度の棟数が検査されていないことになります。

現在、特別損失として計上されているのは約430億円です。

仮に2.5倍とすると1075億円です。

レオパレス21は、「平成30年12月末日時点での現金預金(連結)が892億円、自己資本(連結)は1069億円あるから倒産はしない、大丈夫だ」といったようなことを決算時に発表していますが、ざっくりとした計算によれば、この数字を超えることになります。

果たして、レオパレス21が倒産しないと誰がいえるでしょうか。

 

 

 

 

ブランド価値が低下して施工受託が消滅すればレオパレス21に倒産危機?

今回のガイアの夜明けによる報道は、完全にレオパレス21のブランド価値を消滅させてしまいました。

同社のブラックかつコンプライアンス無視な企業体質は白日の下に晒されてしまいました。

レオパレス21を糾弾する声は、不正施工問題だけでなくサブリース契約のズルい手口やらまで広がっており、この状況でレオパレス21に新たにアパートを建築させようという不動産保有者はほぼ皆無でしょう。

もしいたにしても、かなり優遇された条件でなければ不動産オーナーとしてはレオパレス21に施工を頼まないでしょうし、それでは同社としては実入りが少なく、利益になりません。

レオパレス21にはさらなる業績の悪化可能性があり、倒産リスクがないとは言い切れない状況になっているのではないかと思われます。

 

 

レオパレス21倒産の可能性で新規受注減になれば工務店も倒産?

上記の流れになりますが、そもそもレオパレス21には倒産の可能性がちらついており、そんな会社に30年物サブリース契約を結ぶ奴はよほどの酔狂な奴だけです。

普通に考えて、今このタイミングでレオパレス21にアパート建設を発注する人はいないでしょう。

よほどレオパレス21のケツ持ちがしっかりした企業がついて、銀行団の支援がしっかりしている・・・そういう状態でなければ、アパートの受注はほぼできないのではないか、と思われます。

もしレオパレス21が新規のアパート受注をできないとなると、レオパレス21の業績にも影響が及びますが、同時に、レオパレス21と取引をしてきた各地方の工務店などにも多大な影響がでます。

 

 

レオパレス21の取引先(仕入れ先2364社、販売先306社)に連鎖倒産の可能性?

東京商工リサーチのデータによると、レオパレス21の取引先は仕入先が2364社、販売先が306社、直接レオパレス21と取引する1次仕入先は615社、そのうち建設業が335社だそうです。

このうち、どれだけがレオパレス21専属の工務店なのかはわかりませんが、レオパレス21向けの事業比率が高い企業ではリスクの高い展開になりつつあるように思います。

こうしたリスクを受け、金融庁はレオパレス21による連鎖倒産リスクが金融リスクに発展しないかどうか査定し始めたとのことです。

 

 

 

レオパレス21の連鎖倒産を避けるためには前受金での工事受託が必要

レオパレス21を中心に受注してきた工務店は、今回の界壁不備などによる補修の受注が舞い込むことが予想されますが、ただもしそれを受注できたとしても、レオパレス21のカネの支払いがどうなるかが問題です。

仮に後払いですと、工事だけやって、お金をもらえず、レオパレス21の倒産と共に連鎖倒産という可能性もありえます。

とりあえず、界壁不備の補修などで工事量は増えることが予想されますが、前受金で受注できるかどうかというのが一番の問題になってきそうです。

 

 

 

 

界壁不備解消が遅れれば資金繰りショートでレオパレス21は倒産か?

レオパレス21は今後、不正施工された建築基準法違反アパートを修繕していくとしています。

しかし、現在日本全国でインバウンド向けのホテル建設などが相次いでおり、工事を受託できる工務店・作業員が減っています。

また、上記の通り受託しても資金が払われない可能性があるレオパレス21向けの工事はスルーしようという工務店も出てくる可能性があります。

もしそういった受注拒否のような流れになった場合、不正施工問題の解消には相当長い時間がかかることになり、この期間の家賃保証コストが莫大なものになる可能性が懸念されます。

とりあえず、不正施工が解除されなければ建築基準法上、賃貸アパートとして貸し出すことはできませんので、同社は収入ゼロでオーナーに支払い続けることになります。

こんなことが長く続けば金融機関は見捨てるでしょうし、当然資金ショートでレオパレス21倒産ということもありえます。

 

 

 

 

 

サブリース契約の解除や家賃引き下げをしにくくなり、レオパレス21倒産の可能性も

目下、あまり言われていないことですが、レオパレス21の商法の一番のキモは、30年間家賃保証という甘言によるサブリース契約を途中で契約変更するところにあったと思います。

レオパレス21によるこうした手口が今回の不正施工問題と共に叩かれており、今後はレオパレス21はサブリース契約を一方的に解除するなどの手口を使いにくくなるのではないかと思われます。

思えば、こうしたサブリース契約の一方的解除がまかり通るキッカケとなったのは、第一二三号建物賃料改定請求事件(平成10年8月28日東京地裁、平成12年1月25日東京高裁、、平成15年10月21日最高裁)ではなかったかと思われます。

借地借家法三二条一項による借主側の減額請求権を認めるこの判例により、レオパレス21に限らず、サブリース業界が色めき立ちました。

当時はまだ不動産不況の雰囲気を残す時代であり、バブル時に結ばれたサブリース契約の改定ができる、とした最高裁の判決には一定の評価が集まりました。

なお自分は当時からサブリース契約の改定にお墨付きを与えるこの判決には否定的でした。

さすがにレオパレス21による今回のような不正施工事件まで起きるとは予想していませんでしたが、サブリースオーナーがなかば騙されるようにして賃料改定させられまくる事態は十分に予想していました。

案の定、一部のサブリース主体のアパート受託施工会社が判例をいいことに悪乗りします。

あまい言葉で近づいて、あとからひっくり返せばいい、というやり口で大量のアパートを建て始めます。

将来リスクの予見可能性を一個人が証明できるはずもありませんから、サブリースのオーナー側は泣き寝入りをするしかありませんでした。

今回、レオパレス21の不正施工問題とともに、サブリースの問題点も指摘されています。

阿漕な手口が明らかにされており、レオパレス21に限らず、多くの同業はサブリース契約を数年後にひっくり返す手口を使えなくなる可能性が出ています。

もし今、裁判が徹底的に行われたら、オーナー側が勝訴する可能性すら出ているのではないか、と思われます。

この点は、レオパレス21にかぎらず、同業界全体において非常にリスクだと思われます。

 

 

 

レオパレス21が倒産したら、オーナーも連鎖倒産?

なお、レオパレス21でアパートを建てるオーナーの多くは土地持ちの地主が多いと思われますが、中には多額の借金を背負っている人もいるとのことです。

レオパレス21がもし倒産すると、こうしたオーナーは収入を断たれます。

そうなると、金融機関への支払いが滞ることになり、最悪自己破産の可能性が出てきます。

金融機関はただでさえ低金利で利ザヤが縮小していますから、レオパレス21のアパートオーナーの自己破産が続けば痛い問題となってきます。

特に都市部の信金クラスだとそうしたリスクがあるのではないか、と思われますが、具体的にはよくわかりません。

この点については、金融庁がリスクの査定に着手したと伝えられています。

 

金融庁がレオパレス21連鎖倒産リスクを懸念か

なお、毎日新聞の報道によりますと、レオパレス21は家賃保証したサブリースオーナーに対して毎月250億円程度のサブリース費用の支払いを行っているとのことです。

これにさらに入居者の引っ越し費用負担、不正施工問題の修繕工事費、信用不安による調達金利コスト上昇などが絡めば、レオパレス21の倒産もあるかもしれない、と金融庁は見ているもようで、国土交通省と共に、レオパレス21倒産の可能性と影響を見積もっているとのことです。

 

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以上。