サウジアラムコの東証上場はガチで警戒した方がいいと思う件
サウジアラムコが東証に上場するのでは?との観測ながれる
先週あたりから、サウジアラムコが東証上場を選ぶのではないかとの憶測記事が流れています。
背景にあるのはBREXITと香港暴動と報じられています。
サウジアラムコはかねてより香港市場と英国市場に上場しようとしてきたものの、英国はBREXITに伴うポンド安などの混乱が懸念されるほか
⇒ハードブレグジット(Hard BREXIT)になると思う・・・という件
香港市場は逃亡犯条例の問題を巡って大荒れ状態
こうした状況を受け、一時は消えかけていた東証への上場が再度検討されているというのです。
この報道を受け、東証を傘下におく日本取引所の株価は上昇しました。
一部には日本の金融市場にとってポジティブとの声も流れています。
サウジアラムコ上場は一旦お流れになった経緯
サウジアラムコですが、実はずっと以前から上場が囁かれています。
一昨年、去年も上場するのではないかと言われていました。
しかし、できなかった。
なぜかと言えば、原油価格がそれほど大きく上昇しなかったから。
原油価格が上昇せず、利益がたいして膨らまなかったことで、サウジアラビア政府の期待する株式売却収入が見込めなかったことが最大の要因です。
そしてもう一つの理由が、ムハンマド皇太子にかけられたサウジ人記者ジャマル・カショギ氏殺人事件の容疑です。
サウジアラムコ上場の可能性を消し去ったジャマル・カショギ氏殺人事件
昨年2018年10月2日、サウジ人のジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏が在トルコのサウジアラビア領事館の中で忽然と姿を消しました。
その後の捜査で、サウジアラビア政府の高官たちによる組織的な殺害の様子が発覚。
しかもそのサウジアラビア政府高官は、サウジアラビアの実質的な行政トップであるムハンマド・ビン・サルマン皇太子(ムハンマド皇太子)の側近中の側近であったことも判明。
ムハンマド皇太子による指示によって、ジャマル・カショギ氏がミンチ肉にされてしまったのではないか・・・そんな報道が世界を駆け巡りました。
ムハンマド皇太子はサウジ国王の息子のひとりであり、次期国王として米政府が推している人物でもありましたが、この報道を受けて完全に謹慎モードに入りました。
これが、サウジアラムコ上場を決定的に破談に持ち込んだ要因でした。
なおこの事件では、トルコの諜報組織はサウジの領事館の様子を傍受しており、行われていた行為が筒抜けであったことも判明。
トルコとサウジ、トルコとアメリカの関係なども急激に悪化する一因となりました。
⇒「ジャマル・カショギ氏殺害はサウジ当局の計画・実行」国連が調査結果まとめる~国連人権理事会で報告へ
⇒米国家安全保障局NSAはジャマル・カショギ氏殺害を命じるムハンマド皇太子の発言を傍受していた可能性
⇒ジャマル・カショギ氏の最期をCNNが報じる~サウジ側の説明と異なる部分
⇒「ジャマル・カショギ氏殺害はムハンマド皇太子の指示」とCIAが報告
⇒サウジ当局が5人に死刑求刑で事実上の「口封じ」へ~ジャマル・カショギ氏殺害事件
⇒電気ショック、メス、信号妨害機~ジャマル・カショギ氏を殺したサウジ部隊員が持ち込んだ荷物のX線写真公開される
サウジアラムコが上場先にNY証取を選ばないわけ
なお今回のサウジアラムコ上場ですが、本来これだけ大きな事案であればNYSEを選ぶはず。
ですが、サウジアラムコはそれを避けています。
なぜか?
それは、米国内でサウジ政府に対して911テロを巡る訴訟が起こされる可能性があるから。
サウジ政府としも、何かやましいことがあるのでしょうか。
訴訟リスクで資産差し押さえなんてことになったら困るため、上場先はアメリカ国外を選んでいるもようです。
ようするに、最初からいろいろと曰く付きなわけです。
サウジアラビアがサウジアラムコを上場させたいのは、単にカネがないから
今回のサウジアラムコの上場の件ですが、日本では
「取引高が増えて金融都市としての魅力が増す」
などと喜ぶ声もあるようです。
しかし、どうも個人的には嫌なニオイがしてしかたありません。
まずそもそもの目的として、上場するのはなぜなのか?
単純にサウジアラビアという国にカネがなくなっているからでしょう。
サウジは非常に高福祉の国として知られていますが、それを賄ってきたのは原油の販売収入です。
しかし、近年はそれでも賄えなくなっています。
原油価格が110ドル程度を恒常的に上回らなければ、財政を維持できないと言われています。
そのため、サウジは売れるものを売ってカネに替えたい・・・
そのためのサウジアラムコ売却です。
このような理由で売却する場合、いずれまたサウジの財政悪化で株式売却になることは目に見えています。
もとより、カネが入ればすぐに武器やヨットを買いたがるムハンマド皇太子のことですから、サウジアラムコ売却益は必ずすぐに使い果たします。
再度株式売却をし、さらにまた株式売却をし・・・いずれ株式を日本人に大量に買わせたあとはどうなるか?
個人的には、その時は接収なり、何かのアクションが起きるのではないかと予想しています。
アメリカもグルになって。
そのとき、日本の家計金融資産はゴッソリと持っていかれることになるでしょう。
無理難題を吹っ掛けられて、結局採掘権を失ったアラビア石油の一件を忘れちゃいけません。
基本的に、この手のビジネスはあちらさんの言いなりになるしかないんです。
紳士的な対応を求めていたら、カモにされます。
なんせムハンマド皇太子案件です。
サウジアラムコの東証上場を喜ぶ人達は、かなりお人よりだと思います。
以上です。